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日本アルカテル・ルーセント、合併完了後の事業戦略を発表

7つの分野にフォーカス、幅広い通信事業領域をカバー

藤田聰代表取締役社長
 日本アルカテルと日本ルーセント・テクノロジーの合併により4月1日に発足した日本アルカテル・ルーセント株式会社は4月3日、プレス向けに説明会を開催。合併完了後の新会社の概要や製品ラインアップ、日本国内での事業展開などを明らかにした。

 昨年12月1日、仏Alcatelと米Lucent Technologiesが合併し、世界最大規模の通信ソリューションプロバイダとしてAlcatel-Lucentが誕生。これにともない、日本法人についても、同日から連携して事業展開を行うとともに組織統合を進めてきたが、このほど両日本法人の統合が完了し、4月1日から新会社・日本アルカテル・ルーセントとしてスタートを切っている。資本金は4億円、従業員数は約300人となった。

 新会社の代表取締役社長に就任した藤田聰氏は、「旧Lucentの2005年における収益比率は北米が6割超を占め、一方、旧Alcatelはヨーロッパが5割近いシェアを占めていた。この両社が合併したことで、北米、ヨーロッパ、その他の地域の市場シェアが3分の1ずつになり、本当の意味でのグローバルな通信企業が誕生した。このなかで、日本を含むアジアパシフィック地域の収益比率は15%を占めるが、市場は大きな伸びを見せている。新生日本法人では、両社の強みを日本市場で最大限に生かすことにより、U-Japanおよび日本のユビキタスネットワーク社会の構築に貢献していく」と、その事業方針を述べた。


合併前と合併後の地域別収益比率 Alcatel-Lucentの製品ポートフォリオ

マーティン・ジョーディ代表取締役COO
 具体的な事業展開としては、次世代ネットワークサービスに向けて、「IP」「ワイヤレス」「コンバージェンス」「オプティカル」「アクセス」「エンタープライズ」「サービス」という7つの分野にフォーカスして事業を進めていく。両社がこれまで展開してきた幅広い活動のなかで培った豊富な経験をもとに、各事業分野で信頼性の高いソリューションを提供し、通信事業者、一般企業、政府機関などの顧客のネットワークをサポートする。

 とくに、IPについては、通信事業者向けのマルチサービススイッチやサービスルータなどをラインアップし、NGNにおけるIPネットワークに最高レベルの信頼性と拡張性を提供していく。また、ワイヤレスでは、3Gネットワークシステムを始め、ワイヤレス伝送装置、アンテナなど幅広い製品をラインアップ。さらに、LTE、UMB、モバイルWiMAXの国際標準化と製品開発にも積極的に取り組んでいく考え。

 製品ポートフォリオについても、「固定および移動体ブローバンド」から「光およびマイクロ波」、「コンバージドエッジ/コア・ネットワーク」、「インテグレーションおよびサービス」まで、幅広い通信事業領域をカバー。マーティン・ジョーディ代表取締役COOは、「アルカテルとルーセントの両社が統合したことで、製品ラインアップが大きく広がり、すべての高成長かつ主要次世代通信分野において、業界をリードする高性能の製品を提供することが可能になった」と、その強みを強調した。実際に、エンタープライズコンタクトセンターソリューション、光伝送インフラ、アクセスソリューション、IPアドレスマネジメント分野では、それぞれ世界No.1の実績をもつという。

 また、4月3日付で新製品として、高性能の中規模Ethernetサービススイッチ「7450ESS-6」、高信頼性技術をさらに高めた「SR OS リリース5.0」、管理・監視機能を強化した「5620SAM リリース5.0」、「7450ESS、7710SR、7750SR用の新インターフェイスモジュール」の合計4種類を発表。代理店を通じて、4月2日から順次販売を開始した。


ポール・ロス アジアパシフィック広報担当ヴァイスプレジデント
 今回の説明会には、アジアパシフィック本社から広報担当ヴァイスプレジデントのポール・ロス氏も来日。「アジアパシフィック市場では今年、IPTVのリーダーシップ、3Gの投入、次世代ワイヤレス・ブロードバンド・アクセスの強化、IPネットワークへの移行、公共・産業市場の拡大といった取り組みに注力していく計画だが、これら事業戦略を進めていくうえで、日本市場は重要なキーになると位置づけている」と、アジアパシフィック戦略における日本法人の重要性を説明した。


アジアパシフィック(APAC)の概要 アジアパシフィック市場における2007年度の目標

 なお、合併後の本社は日本ルーセントの六本木オフィスに置くが、日本アルカテルの旧オフィスも品川オフィスとして引き続き活用する。「当面は、六本木と品川の2つのオフィスに分かれて事業展開を行うことになるが、年内にはオフィスも1つに統合したい」(藤田代表取締役社長)考えだ。



URL
  日本アルカテル・ルーセント株式会社
  http://www.alcatel-lucent.co.jp/


( 唐沢 正和 )
2007/04/03 16:36

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