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日本IBMがシステム製品事業戦略を発表、3つの重点施策で中堅・中小企業開拓へ


システム製品事業担当の渡辺朱美執行役員
 日本アイ・ビー・エム株式会社(日本IBM)は4月5日、2007年に向けたシステム製品事業戦略についてプレス説明会を開催した。説明会では、まず2006年の事業戦略を振り返り、それを受けて2007年の事業目標と3つの重点施策を発表。同社 システム製品事業担当の渡辺朱美執行役員が、それぞれの施策内容について詳しく説明した。

 同社では、2006年のシステム製品事業戦略として、1)IBMシステム製品の価値向上、2)社員やパートナーのスキル向上、3)業種別営業部門との連携強化、4)他社機からの置き換えによるビジネスの拡大、の4点を重点施策において取り組んできたという。その結果について渡辺執行役員は、「ビジネス全体では業界と同程度の成長率にとどまり、マイナスの結果となった。ただ、そのなかでも、ブレードサーバーは引き続き好調に推移し、サーバー統合や仮想化のビジネスも確実に伸張した。さらに、日本国内のISVとの連携体制も強化、拡大することができた」としている。

 2007年はこれを受け、「日本市場でのNo.1」を事業目標に掲げ、「日本のサーバー市場におけるシェア1位を維持するとともに、顧客満足度のさらなる向上を図っていく。そのためには、“IBMはテクノロジーリーダー”であるというメッセージを的確に伝えていく必要がある」(渡辺執行役員)との考えを示した。


 具体的に、2007年に取り組む重点施策は、1)「IBMテクノロジー」への市場からの理解の促進、2)仮想化ならびに熱・電力消費問題へフォーカス、3)パートナービジネス拡大のための施策強化、の3点。

 1つ目の「IBMテクノロジー」へ市場からの理解の促進については、まず「IBMテクノロジー」の優位性を効果的に市場に伝えていくために、今年1月にマーケティング部門の組織変更を実施。これまで、各システム製品ごとにおいていたマーケティング担当者を1つのチームにまとめることで、効果的に統合されたマーケティング活動が行える体制を整えた。また、サーバー統合やグリッド、災害対策、セキュリティなどのソリューション提案能力を強化するため、グリッドや仮想化を担当する先進ソリューション部隊とサーバー統合などを手がけるインフラソリューション部隊を1つに統合し、システム製品に関するソリューションを総合的に提案できる体制を構築している。

 このほか、システム製品事業としての産学連携へのアプローチとして、アカデミックイニシアチブへの取り組みも進めていく方針で、今年9月から武蔵大学と初の協業型でのIT教育プログラムを展開する予定。「この取り組みを通じて、大学生がITを勉強し、理解するきっかけになればと考えている。深刻化するIT技術者不足の解消にも貢献していきたい」(渡辺執行役員)という。

 2つ目の重点施策である、仮想化ならびに熱・電力消費問題へのフォーカスでは、これまで同社が長年蓄積してきたノウハウを生かして、仮想化と熱・電力消費問題への取り組みをさらに強化していく。まず、熱・電力消費問題に関しては、データセンターに向けた熱・電力消費問題解決ソリューションの提供に注力する。具体的には、「Cool Blue」ソリューションをベースに、サービス部門との連携を図ることで、マシンルーム全体の冷却化も考えたトータルな熱・電力消費問題解消ソリューションの提供を目指す。


IBMのサーバー統合手法

ビジネスパートナー向け新戦略
 一方、仮想化への取り組みとしては、仮想化によるサーバー統合計画の立案を支援する。40年の実績をもつメインフレームの仮想化技術を他プラットフォームにも積極展開するとともに、x86サーバーでのISVソリューションとの連携も推進していく。さらに2007年は、ビジネスパートナーを活用したサーバー統合ビジネスの提案力強化にも力を注ぐ考えで、1)サーバー統合によるTCO分析コンサルティング「Zodiac」、2)システム資源情報を自動収集して最適モデルを選定するツール「CDAT」、という2つのサーバー統合手法をパートナーにも本格展開し、特に中堅・中小企業をターゲットに顧客のニーズにあったサーバー統合を強力に支援していく方針。

 この取り組みは、3つ目の重点施策、パートナービジネス拡大のための施策強化にもつながるもので、「日本市場における当社の長年の課題は、中堅・中小企業の開拓ができていないこと。この課題を解決するためには、ビジネスパートナーの協力が必要不可欠」(渡辺執行役員)と強調する。

 同社では、昨年もパートナービジネス拡大に向けて、ビジネスパートナー社数の拡大を始め、ビジネスパートナーのソリューションビジネス推進のためのスキルアップ支援、ISVソリューションビジネスの推進支援といった施策を展開してきたが、2007年はこれらに加え、“IBMを売りやすくなる、売りたくなる”をテーマにした2つの新施策を打ち出している。

 まず、今年1月から新たなインセンティブ体系を開始した。この新インセンティブ体系は、中堅企業をターゲットに、日本IBMのフォーカスビジネス(仮想化、IBMミドルウェア、ISVソリューションなど)や付加価値の高いビジネスを行ったビジネスパートナーには、より多くのインセンティブを支払うというもの。

 そして、2つ目の新施策として、4月5日付で「2007年パートナー・グロース・プログラム」を発表した。このプログラムにより、新規ビジネス拡大のためのビジネスパートナーの投資活動をIBMが支援していく。具体的には、新規ビジネスのためのマーケティング費用、新規二次店増加のための活動費用、独自セミナーや研修の開催費用などをIBMがサポートする。渡辺執行役員は、「これによって、ビジネスパートナーは、より付加価値の高いビジネスを展開することが可能となる。パートナーの独自ビジネス拡大を支援することで、本格的に中堅・中小企業市場の開拓を推進していく」と、その狙いを述べている。



URL
  日本アイ・ビー・エム株式会社
  http://www.ibm.com/jp/


( 唐沢 正和 )
2007/04/05 16:15

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