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「今こそiSCSIが採用される時期だ」-米EqualLogicが日本法人設立

高速型SAS HDD搭載の最上位ストレージも発売

米EqualLogicの社長兼CEO、ドン・ビュレンス氏

イコールロジックの代表取締役、秋山将人氏
 米EqualLogicは4月12日、プレス向けの説明会を開催。日本法人「イコールロジック株式会社」の設立と、同社製品としては最上位に位置するiSCSI対応ストレージアレイ「PS3900XV」を発表した。

 EqualLogicは創業して6年あまりの非公開企業。全社をあげてiSCSIに注力しているのが特徴で、SASベース、SATAベースのiSCSI対応ストレージアレイを主力商品として販売しており、iSCSIストレージではワールドワイドで米NetAppに次ぐ第2位のシェア(容量ベース、米IDC調べ)を持つ。

 iSCSI製品は、古くから注目されてきた割には普及が進まず、ともするとネガティブなイメージで見られがちだ。しかしEqualLogicの社長兼CEO、ドン・ビュレンス氏は、2005年から2010年までiSCSI関連市場が年平均75%で成長するというIDCの予測、サーバーとのiSCSI接続がFC(ファイバチャネル)接続を2008年に抜くという米Gartnerの予測を引き合いに出し、その将来性を強調。「IPへの移行がさまざまな分野で新しいリーダーを生み出している。ストレージにもこうした変化が起きるだろう」と述べ、新しい市場でのリーダーシップ獲得に関して自信を示した。

 実際にEqualLogicはそのビジネスを大きく伸ばしており、昨年の成長率は125%。iSCSIストレージの業界平均自体も79%の高い水準で伸びているが、それを大きく上回る成長を遂げている。その製品の強みは、高いレベルで仮想化対応ができていること。日本法人の代表取締役に就任した秋山将人氏は、「iSCSI自体がFCと比べて非常に仮想化に向いている上、独自技術によって、容易なストレージ追加や構成変更を可能にしている」とアピールする。

 秋山氏が述べたように、同社のiSCSIストレージ「PSシリーズ」では、ストレージの管理が非常に単純化されている点が特長。複数のアレイを「仮想化されたストレージプール」としてまとめられるので、ユーザーはどこにデータが格納されているかを意識することなく、ストレージを利用できる。


PSシリーズのSAS HDD搭載モデル

Exchange Serverでの利用において、FC接続ストレージを用いた競合ベンダよりも、多くのユーザー数を収容できたという
 また、仮想化によってアレイの移行、追加が容易に行えるのもメリット。追加に手間がかからない上、いったん構成されたボリュームのサイズを動的に変更することも可能で、導入時の綿密なプロビジョニングを不要にした。管理については、ストレージ自身が管理サーバー機能を包含しているため、別途サーバーを構築・管理する必要もなく、仮想化機能とあわせて、運用中の管理に関する手間・コストも大幅に削減できる。なお現在は8台までのアレイを1つのグループとして運用可能だが、次期ソフトでは16台までの拡張を予定するという。

 さらにストレージ自身が自動でデータを再配置してチューニングする機能も備えるので、ユーザーによるパフォーマンスチューニングも不要。秋山氏はMicrosoftがとりまとめたExchange Server利用に関するレビューを紹介し、「FC接続の他社ストレージと比べても、PSシリーズは意識的なチューニングなしで、より多くのユーザーをサポートできている。コストが安い、長距離転送に優れているというのはもちろん、性能面でもiSCSIはFCと遜色(そんしょく)ない」(秋山氏)と述べた。

 RAIDは5/10/50をサポートし、ダブルパリティのRAID 6も今後の対応を計画している。ラインアップには、容量、HDD性能などの違いでSATA HDD搭載の5モデル、SAS HDD搭載の3モデルが用意された。SATA HDDモデルの最上位「PS400E」では10.5TB(750GB×14)、SAS HDD(15000rpm)モデルの最上位「PS3900XV」では4.8TB(300GB×16)の物理容量を搭載可能。電源と冷却ファンは冗長化され、SATA HDD搭載モデルの一部を除いてコントローラーもデュアル構成を採用する。価格は、新製品のPS3900XVで1470万円より。

 なおPSシリーズでは、「(純正の)ソフトウェアオプションがなく、ストレージに必要と思われる機能を標準で提供する」(秋山氏)点も特筆できるという。スナップショット、レプリケーション、自動ストレージ階層化などの機能はすべて標準で提供されており、容量ライセンスなども存在しない。ただし、自社で提供できていない暗号化、WAN最適化、WORM化などの機能については、デクルーやリバーベッドといったパートナー企業との協業で提供するとしている。

 なお国内でも製品販売は行っていたものの、ビジネス拡大のため、日本法人を4月1日付けで設立した。現在の社員数は5名。今後はサポートエンジニアやマーケティング要員などを中心に人員の拡大を図る。ビュレンスCEOは「日本でまずしっかりとブランドを確立し、存在感をアピールしたい。今こそがiSCSIを採用してもらえる時期だと考えている」としたほか、秋山氏は、「本社が年率100%で成長しているので、日本ではその3~4倍を目指したい」と意気込みを示した。



URL
  米EqualLogic
  http://www.equallogic.com/
  イコールロジック株式会社
  http://www.equallogic.jp/
  ニュースリリース
  http://www.equallogic.jp/pr20070412-02.html
  http://www.equallogic.jp/pr20070412-01.html


( 石井 一志 )
2007/04/12 14:53

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