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マイクロソフト、相互運用性への取り組みを説明

Vistaロゴ取得デバイスの約3割は日本企業

ダレン・ヒューストン社長
 マイクロソフト株式会社は4月17日、相互運用性(Interoperability)に関する同社の取り組みについて会見を行った。

 ダレン・ヒューストン社長は、「相互運用性なしには、マイクロソフトのビジネスは成り立たない。相互運用性の追求は、マイクロソフトの中核にあるもの」と位置づけ、「消費者は、プリンタを接続すればそのまま使いたい、ミュージックファイルも簡単に再生したい、ひとつのリモコンでたくさんの機器を簡単に操作したいという要求がある。消費者にとって、相互運用性は当たり前のものであり、それは企業、政府、産業にとっても同様だ。PCは20世紀最大の発明といわれるが、それは相互運用性を実現しているからだ。企業は知財を保護したいと考えるが、そればかりでは相互運用性は成り立たない。クロスライセンスによって、より強力な製品を生むこともできる。マイクロソフトと東芝との協業でZuneが生まれ、NECとの協業でIP-PBXの製品が投入されている。マイクロソフトは閉鎖的な会社ではなく、相互運用性および標準化に取り組んでいる会社であることを知ってほしい」などとした。


米Microsoftインターナショナルプレジデントのジャン・フィリップ・クルトワ氏
 来日した米Microsoftインターナショナルプレジデントのジャン・フィリップ・クルトワ氏は、「相互運用性の実現は、人をつなげること、データをつなげること、システムをつなげることでもある。これにより、組織や国を越えた相互利用が可能になる。マイクロソフトは設計段階から相互運用性を視野に入れている」として、5万社の企業に対するマイクロソフト製品との相互運用性の実現や、顧客やパートナー企業、競合他社の声を背景にした協業の実現、多くの企業がマイクロソフトの技術にアクセスできる環境の実現、相互運用性の実現に向けた標準化へとの貢献と、製品を標準的技術へ対応する取り組みを行っていることを強調した。

 「昨年11月には、ノベルとの協業を発表し、ノベルとマイクロソフトがともにギャップを埋めていく努力をしている。ここでは、クロスライセンス契約を行い、OpenXMLによる相互運用性を実現した」と語った。

 また、「オープンスタンダードは、最初から決定しているものではない。数多くの技術や製品の中から、消費者が選択して使う結果、それがクリティカルマスに達し、標準化が決まる」などとした。

 さらに、マイクロソフトが2006年7月に発表した「The Windows Principles(競争促進のための12カ条)」に触れ、メーカーおよび顧客の選択肢の提供、開発者に対するビジネスチャンスの提供、ユーザーのための相互運用性の提供―を柱とするWindowsビジネスの原則を示した。

 これにより、Windowsビジネスの推進とともに、競合他社のビジネスチャンスの拡大、開発者およびユーザーに対するWindowsの訴求力強化を図る姿勢を、改めて強調した。


設計段階からの相互運用性 The Windows Principles

加治佐俊一最高技術責任者(CTO)
 一方、加治佐俊一最高技術責任者(CTO)は、「マイクロソフトにとって、相互運用性を高めることは、標準を実現する上で重要な取り組みとなる。標準を作り、それを早く実現すること、エコシステム全体で普及推進活動を行っていくことが重要」とした。

 加治佐CTOは、日本における相互運用性への取り組みとして、文字コード、ネットワーク、ハードウェア、文書フォーマットをあげ、それぞれの成果と課題を示した。

 文字コード(符号化文字集合)は、「すべての情報を扱う上で重要なもの」と前置きし、「1978年に国内標準が策定され、その後、ISO/IEC 10646として国際標準化された。海外で日本のWebサイトが閲覧できるのは、国際標準化された文字の相互運用性によるもの。だが、先進国で文字の標準化作業を今でも進めているのは日本だけ。それは外字の存在が大きい。外字をなくした形でシステムを作ったり、外字の処理のために生産性が落ちるという問題もある。国際競争力を考えても阻害要因のひとつとなっている。早期に標準化を終える必要がある」とした。

 また、ネットワークにおいては、IPv6によるマルチキャスト環境、セキュアな接続環境が実現されることを示し、「Windows VistaでもIPv6をサポートしており、IPv6の標準化に寄与する」などとした。


相互運用性の変遷 文字コード(符号化文字集合) ネットワーク

ハードウェア

文書フォーマット
 ハードウェアでは、「Vistaでロゴを取得したデバイスは約1万。そのうち、24%が日本の会社のもの。海外企業との合弁を含めると、約30%を占めている。日本のハードウェアエコシステムが、相互運用性の実現に大きく貢献している」とした。

 Vistaでは約5500ものプリンタ用ドライバが搭載されているが、そのうち約8割が日本のプリンタメーカーによるものだという。

 文書フォーマットに関しては、Office 2000から正式サポートしたXML技術が相互運用性の大きな鍵になるとしており、Office 2007からは、Ecma Office Open XMLにより、オープン化、文書の互換性により、Officeで作成したデータと他のビジネスアプリケーションとの連携、新規ソリューションとの連動を実現することができるとした。

 「XMLは、Visual Studioでも対応する予定。マイクロソフトの製品だけでなく、ISVがXMLを活用することができるような取り組みをしていく。マイクロソフトにとって、データのXML化は大きな意味を持つ、重要なストラテジーだ」とした。

 だが、相互互換性を強調するマイクロソフトにとって、Vista対応アプリケーションやハードウェアの検証はまだ不十分というのも事実。

 「β版の段階から、Vista対応に向けた取り組みは行ってきたが、遅れていると感じている。マイクロソフトとしては、決して軽視しているわけではなく、まだ活動を続けている。OSの普及戦略とともに、互換性に対しても前向きに取り組んでいく」と説明した。



URL
  マイクロソフト株式会社
  http://www.microsoft.com/japan/


( 大河原 克行 )
2007/04/17 17:24

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