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小野隆男執行役員常務
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2006年度のセグメント別実績
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2006年度のIT/NWソリューション事業の概要
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日本電気株式会社(NEC)は5月21日、2006年度(2007年3月期)の連結決算を発表した。売上高は前年比5.6%減の4兆6526億円、営業利益は同3.5%減の700億円、経常利益は同8.6%増の163億円、当期純利益(損失)は、前年のマイナス101億円から192億円改善したプラス91億円となっている。
小野隆男執行役員常務は、「NGN関連事業では、KDDIのウルトラ3G構想の中核となるMMD(MultiMedia Domain:次世代移動体網)受注や、NTTのNGNへのトライアル参画など、先行商談でポジションを確立したほか、モバイルターミナルでも下期にブレイクイーブンまで改善した。しかし、半導体事業の回復が遅れ、またIT/NWソリューションの成長スピードが期待にそぐわず、経常利益が前年度から若干ながら減収となった」と総括している。
事業セグメントごとに見ると、IT/NWソリューション事業は、売上高がほぼ前年並みの2兆7588億円、営業利益は、前年から267億円減の1541億円。瑕疵(かし)補修費用の見積もり計上や売り上げが翌期にずれた影響、価格低減などの影響を受けて減益となった。さらに細かく見ると、ITサービス/SI分野は、通信キャリア向けサービスプラットフォームや、流通業・官庁・金融向けなどが堅調に推移し、売上高が前年比1%増の7756億円、営業利益もほぼ前年並みの約500億円となった。
ITプラットフォーム分野は、DVDドライブの減少などを受け、売上高は前年比5%減の6514億円だったが、原価低減で約100億円弱の黒字は確保した。NWシステム分野は、海外パソリンクが前年比約15%伸張し、売上高が同3%増の1兆263億円。MNP(番号ポータビリティ)開始後もつながりやすさ改善投資が継続し増収。営業利益は約800億円弱。社会インフラ分野の売上高は同3%減の3055億円。
モバイル/パーソナルソリューション事業の売上高は前年比23%減の9650億円、営業損益は218億円改善してマイナス335億円。このうち、モバイルターミナル分野は同27%減の3499億円。事業の縮小や売却もあり売上減となったが、下期はブレークイーブンに回復し、リストラ費用などを除く通常オペレーションでも数十億円の利益を計上したという。パーソナルソリューション分野の売上高は、同20%減の6151億円。欧州個人向けPC事業の売却や、国内PC市場の伸び悩みにより減収となったが、部材コストの削減やサポートコストの削減で約20億円の黒字化を達成したとのこと。
エレクトロンデバイス事業は、売上高が前年比6%増の8610億円。営業損失は前年より78億円改善したが、依然として230億円の赤字となっている。「半導体ではNECエレクトロニクスなどを中心に改善したが、生産増に伴う関連固定費の増加や研究開発増強による費用増が影響した」(小野氏)。
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2007年度のセグメント別業績見通し
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IT/NWソリューション事業の業績見通し
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2007年度の連結業績見通しは、売上高が前年比1%増の4兆7000億円、営業利益は前年度から600億円増の1300億円、経常利益は637億円増の800億円、当期純利益は209億円増の300億円とした。
小野氏は、「市場からの信頼回復が急務で、なによりも目標をきちんと達成する。事業を改善し成長が目に見えるように全力を尽くす」と抱負を述べたほか、「IT/NWソリューション事業がNECのコア事業であることは間違いなく、同事業と半導体のシナジー、PC・ケータイとのシナジーというのを実現していかないといけない。コア事業そのものをNGN時代に向けて拡大をしていくというのが、当社の基本的な考え方だ」と話す。
個別事業では、IT/NWソリューション事業は、売上高が前年比4%増の2兆8700億円、営業利益は199億円増の1740億円。NGNが関係するNWシステムでは、NGN構築事業の拡大に向けてグローバル競争力のある製品を順次出荷。NGNの成功商談で築いた位置を生かし、NGN商用化の動きをとらえて、導入が本格化する下期からの出荷拡大を見込む。NGN関連の売り上げは、今年度の約900億円からの倍増を目指している。
このほか、ITサービス/SIでも、通信キャリア向けや金融向け、アウトソーシング領域などで拡大を図り、着実な売り上げ拡大を狙う。ITプラットフォームでは、「サーバーなどを中心に厳しい価格圧力があるが、シンクライアントやミドルウェア、ストレージなどの製品強化と原価低減で前年並みを計画する」(小野氏)とした。
またモバイル/パーソナルソリューション事業は、売上高が前年比8%減の8900億円、営業利益は前年から395億円改善した60億円の黒字。欧州のPC事業売却の影響が若干残るが、それを除くとほぼ前年並みを計画する。「モバイルターミナルは国内に特化し、黒字定着が目標。商品力の強化も継続する。PCはデジタルテレビの録画・視聴といったAV機能強化、新コンセプトPCなどで市場を喚起し、原価低減により黒字継続を目指す」(小野氏)。
エレクトロンデバイス事業は、売上高が1%増の8700億円、営業利益は260億円増で30億円の黒字化を見込む。小野氏は、「受注残・受注高ともに底打ちで、2006年末から回復基調だ。固定費のさらなる削減で黒字化を必達する」と述べている。
■ URL
日本電気株式会社
http://www.nec.co.jp/
プレスリリース
http://www.nec.co.jp/press/ja/0705/2101.html
( 石井 一志 )
2007/05/21 18:45
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