米Juniper Networks(以下、Juniper)は5月24日(現地時間)、アジア太平洋地域のリセラー/SIerを集めたパートナーイベント「APAC J-Partner Summit 2007」をタイのプーケットで開催。そのオープニングセッションに、米本社のCOO(最高執行責任者)を務めるスティーブン・イーロップ氏が登場した。
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スティーブン・イーロップCOO
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イーロップCOOはかつて、米MacromediaのCEOを務めていた人物。同社の買収に伴って米Adobeへ移籍したが、今年に入ってからJuniperへ入社している。アプリケーション企業でトップを務めた同氏が、まったくの畑違いに思えるネットワークベンダのJuniperをなぜ選んだのか。これについては、「成長する企業の一部になるということが魅力だった」と説明。「非常に大きく成長する市場に身を置けるのはうれしいし、また実にイノベーティブな社風にもひかれた。Juniperは、社員、パートナー、顧客、そして企業文化がすばらしい。ベンダの中には顧客を大切にしていないところも中にはあるが…」と語る。
そして、自らの仕事について「戦略の実行、つまり会社としてよりよいオペレーションをしていけるようにすること」と語るイーロップCOOは、「4カ月前に当社へ入社し、今はまだいろいろと学んでいる段階ではあるものの、会社としてよりよいオペレーションをしていけるようにすることが私の責任。さまざまな機会を十分にとらえられるように、顧客やパートナー、社内の人間と話をしている」と述べた。
次にイーロップCOOは、世の“変化”について述べる。20年前は、進化はしていたがそのスピードはかなりゆっくりとしたものであった。ところがここ3~4年は、その1年前と比較しても変わってしまう部分が多い。この理由についてイーロップCOOは「グローバリゼーションが原因だ」と指摘する。しかも今では、そのグローバリゼーションのスピードですら、とても早くなっており、「今現在は個人個人がグローバル化をしている。マウスをクリックするだけで、世界に影響を及ぼすことが可能だ」(同COO)。
イーロップCOOは、こうした流れを支えているのがネットワークだと主張する。例えばYouTubeでは、ユーザーは皆ネットワークを介してビデオを見ている。「YouTubeでは17億本のビデオが見られており、最初から最後まで見ると9000年以上かかるという。ネットワークへの要求が非常に大きくなっている」としたイーロップCOOはさらに、ID盗難や迷惑メールが大きな問題になっているほか、ビジネスの継続性に対する要求が高まっている点を指摘。リスクの面からも、信頼されるネットワークが必要になっているとした。
そこでJuniperでは、「ハイパフォーマンスネットワーキング(HPN)」に経営資源を集中させている。このHPNとは、スピードはもちろんのこと、信頼性、QoS、セキュリティを兼ね備えたネットワークのこと。すべてのユーザーが必要とするものではないが、ネットワークをビジネスに欠かすことのできないプラットフォームとして使っている企業では、必須の存在になっているという。その例としてイーロップCOOは、xSP、エンタープライズ、公共機関の3つを挙げ、ここに大きなビジネスチャンスがあると説明。全社を挙げて注力していくことを再三強調している。
「もちろんこの分野では競合もいるし、ある企業は非常に成功を収めている。また、その企業はこれからも成功を収めようとしているが、そのために彼らは多くの製品を手にしすぎたし、すべてをコントロールしたいと考えているから、エンドトゥエンドでプロプライエタリなアプローチをしている。一方で当社はネットワークにフォーカスしているし、相互運用性を重視している。HPNの展開のために、R&Dや新規製品の投入も積極的に行っている」(イーロップCOO)。
■ URL
ジュニパーネットワークス株式会社
http://www.juniper.co.jp/
( 石井 一志 )
2007/05/25 00:00
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