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「柔軟なブランド戦略で市場拡大を図る」、米Juniperジャッド副社長


 5月24日(現地時間)からタイで開催されている米Juniper Networks(以下、Juniper)のパートナーイベント、「APAC J-Partner Summit 2007」において、アジア太平洋地域担当副社長のアダム・ジャッド氏が登壇。エンタープライズにおける課題の解説などを通じて、同社の持つ優位性を説明した。


アジア太平洋地域担当副社長のアダム・ジャッド氏
 ジャッド氏は、現在のエンタープライズは脅威管理、アプリケーションパフォーマンス、アクセスコントロールの3つの課題を抱えていると述べる。このうち脅威管理は、企業にとって普遍的で非常に大きな問題であることは言うまでもない。これについては、どう攻撃から防御するか、リモートアクセスを含めてセキュリティポリシーをどう適用すればいいかという課題と、ネットワークの中身をアプリケーションレベルで見たいというニーズがあるとしたジャッド氏は、「こうした課題はブランチオフィスからデータセンターまで、エンタープライズのすべてに当てはまる」と指摘する。

 そしてJuniperでは、JシリーズルータからNetScreenファイアウォール、UTM製品のSSGシリーズまで、総合的なラインアップをそろえている強みがあるとした上で、「顧客は3つのベンダから買いたいとは思わず、1つのベンダから買いたいと思っている。すべてをそろえていることは大きい」と述べた。またこの導入事例として、オーストラリアの国防省を取りあげ、「すべて競合製品で構築されていたネットワーク、IPsecで暗号化をしようということになった。しかし、パフォーマンスの問題でハードウェアモジュールが必要になってしまっていたが、当社のSSGならばすべてを提供できるということで導入が決まった。技術ではなくビジネスのイニシアチブで勝った例だ」と説明している。

 またアプリケーションパフォーマンスについては、「顧客はルータやファイアウォールではなく、アプリケーションに注意を払っている。これまでは、その効率が悪くなったら帯域を広くしようというアプローチだったが、遅延の問題などもあり、アプリケーションの課題は必ずしもネットワークレベルだけでは解決できない」と、従来のアプローチでは限界があると主張する。そこで同社では、WX/DXの両シリーズの活用を推進。「いかにコストを削減できるかがCIOのメインフォーカスだが、WX/DXでは既存のインフラを利用して生産性を上げることが可能。市場で一番大きなビジネスチャンスがある。競合はスタンドアロン製品しかないが、当社はWANでもWebアプリケーションでも、すべてを解決できる」(ジャッド氏)とした。

 最後のアクセスコントロールは、「悪者をネットワークから排除するだけでなく、誰がアクセスしていいかという権限を決めるもの」(ジャッド氏)と定義。LANの中のさまざまなアクセスだけでなく、リモートアクセスを含めて、アクセス権のコントロールを適切に行えるUACソリューションの強みを強調している。

 「当社の製品こそがエンタープライズへソリューションを提供できる。市場には20億ドルの大きなビジネスチャンスがあり、当社とともに付加価値を与える提案ができる。パートナーの皆さんがさらに成功できれば、われわれもさらに成功できると考えている。全体を考えないとイニシアチブが取れなくなっているので、セキュリティ、ルーティング、アプリケーションといったすべてのポートフォリオを(セールスパートナーの)皆さんにカバーして欲しいと思っている」(ジャッド氏)。


 エンタープライズ以外の大きな市場であるキャリアビジネスについてもジャッド氏は、「ブロードバンドアグリゲーション、コアルータ、エッジルータなどで長年成功を収めてきた」と順調さを強調する。インドやマレーシアなどではDSLがまだまだ好調。日本や韓国、シンガポールといったDSLがすでに飽和しかかっている国でも、「ブロードバンドネットワークのキャパシティを増大させるために、イーサネットや光ファイバーなどの展開を増やしていきたい」と述べた。

 さらにNGN(次世代ネットワーク)に対しても継続的な取り組みを続けており、その分野で今後のビジネス成長が期待できるほか、特に日本では、キャリアパートナーと協力したマネージメントビジネスが好調だという。「世界で最も要求の厳しい日本の顧客の要求水準を満たすように設計されているため、多くの日本のエンタープライズはNTTなどのキャリアを非常に信頼している」としたジャッド氏は、そのために、「自社のネットワークの一部をキャリアに委託することに安心感を感じている」とコメント。キャリアを通じて、製品の再販を行ったり、マネージメントサービスを提供したりすることが、日本ではとても重要だとした。

 なお、ビジネスを進めていく上で重要なブランディング戦略については、同社のスティーブン・イーロップCOOが「ハイパフォーマンスネットワーキングに価値を見いだす、フォーカスするという観点から、買収製品ではなくJuniperのブランドを重視する」とコメントしたことを受け、「(Peribitなど)従来のブランドを保持していくことはできない。必ずJuniperのブランドを打ち出していく必要がある。非常に強みがあったNetScreenブランドとその製品についても、買収後4年経った今では、Juniperの中のNetScreen製品として認知されている」と述べた。

 しかしその一方では、「ブランドを何より重視しているような競合ベンダとは違うスタンスも取っている。マネージドサービスをはじめとするサービス分野においては、パートナーのブランドが前面にあって、そのサポートを当社がするという形でもいい。なぜなら、NECや日立は重要なパートナーだが、当然、日本では当社より強みを持っているし、また当社のブランドが、日本で(パートナーである)NTTのブランドに勝ることはあり得ないからだ」とも話し、自社ブランドの向上とあわせて、柔軟に対応していく姿勢を見せている。



URL
  ジュニパーネットワークス株式会社
  http://www.juniper.co.jp/


( 石井 一志 )
2007/05/25 12:00

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