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今回の検証のシステム構成
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日本オラクルのシステム製品統括本部 Grid Computing技術部 Grid Solutionグループ、中村智武エンジニア
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日本オラクル株式会社と株式会社日立製作所(以下、日立)は5月28日、Linuxの大規模Webシステムを支えるインフラ基盤に求められる拡張性と可用性を実証し、その成果をベストプラクティスとして公開すると発表した。日本オラクルがハードウェアベンダやSIerなどのパートナー企業とともに開設した施設、Oracle Grid Centerで検証された。
Oracle Grid Centerでは、グリッドの共通基盤検証や、パートナー製品との連携を確認する検証作業などを実施。最終的には、日本オラクルとパートナーの技術を組み合わせたグリッドソリューションを、検証を済ませた形で顧客に提供することを目指している。グリッドの有効活用のためにはいくつかの分野でソリューションが必要になるが、今回検証されたのは、事業継続のためのBCM(Business Continuity Management)ソリューションに分類される部分だ。
今回の検証システムでは、アプリケーションサーバー、データベースサーバーに日立のブレードサーバー「BladeSymphony」各8ノードを利用。またWebショッピングサイトを想定したJ2EEアプリケーション「JPetStore」を検証アプリケーションに採用している。これは、オープンソースのSpring Frameworkに含まれるサンプルアプリケーション。大規模なOLTPシステムを容易に実現できる特徴を持ち、今回は実際に、ユーザー数100万件、商品数16億件、5600同時ユーザーの規模で検証を行った。
日本オラクルのシステム製品統括本部 Grid Computing技術部 Grid Solutionグループ、中村智武エンジニアは「オープンソースであれば、公開した検証結果を再現することも簡単。また、Oracle製品向けでない一般的な設計であり、実際のアプリケーションに近い結果を得られると期待した」と、このアプリケーションを採用した理由を述べている。
今回の検証が目的としたのは、1)BladeSymphony上でクラスタ構成を運用した場合の性能拡張性を実証すること、2)アプリケーションサーバーが落ちた場合に、セッション情報のレプリケーションが行われるようにし、性能へ与える影響を確認すること、3)すべての設定項目を網羅的に検証し、それぞれの性能特性を把握することによって、構築ノウハウの確立すること、の3点。
日本オラクルのシステム製品統括本部 営業推進部の北嶋伸安シニアマネジャーは、「ユーザーから見た際には、サービス、すなわちトランザクションが継続して実行されることが大事になる。システム全体で見て、データベースやアプリケーションサーバーが落ちた場合に、それを担保するインフラが必要になる」と今回の検証の意味を説明。また、「システムとしてスケーラビリティを担保するのと、可用性を担保するのは、テクノロジー的に相反する。今回は可用性と拡張性のベストプラクティスを見いだすことに力を入れており、これが大きなアドバンテージになる」と語った。
今回の検証の結果、サーバー1ノードでの処理性能を1とした場合、1)については、4ノードで3.95、8ノードでは7.88とほぼリニアに性能を伸ばせる点が確認できた。また2)では、アプリケーション間でのセッションレプリケーションを有効にしても4ノードで3.76、8ノードで7.44という結果が得られた。これを受けて中村エンジニアは、「オーバーヘッドは1割程度で、非常に軽い。またセッションレプリケーションをしていてもきちんとスケールしていることが確認できた」とコメントした。
また3)についても、108通りにもおよぶ多くの設定の組み合わせで検証を行い、それぞれの組み合わせにおける性能結果と考察をホワイトペーパーにまとめて公開できるようにした。「従来はこういった検証を、コストを負担して検証してユーザーサイドでそれぞれやっていただいており、心苦しかった。網羅的な検証を実施し、ホワイトペーパーを公開することで検証コストを下げ、製品を選定していただけるのではないかと考えている」(中村エンジニア)。
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拡張性に関する検証結果
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可用性と性能に関する検証結果
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■ URL
日本オラクル株式会社
http://www.oracle.co.jp/
株式会社日立製作所
http://www.hitachi.co.jp/
ニュースリリース
http://www.oracle.co.jp/news_owa/NEWS/news.news_detail?p_news_code=1746
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( 石井 一志 )
2007/05/28 16:39
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