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新会長に就任した浜口友一氏
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会見に臨む浜口会長以下、新執行部
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社団法人情報サービス産業協会(JISA)は5月31日、5月29日の総会において新会長に就任した浜口友一氏(NTTデータ代表取締役社長)が会見を行い、「モノをいうJISAを目指す」と抱負を述べた。同協会の会長としては7代目。任期は2年間。
浜口会長は、「40年近く、この産業に身を置いており、私自身、恩返しをする時期だと感じている。情報産業の発展に貢献していきたい」と前置きし、「前会長の棚橋康郎氏(新日鉄ソリューションズ代表取締役会長)は、維新の年であるとしており、その意志を継いでいきたい。情報システムが重要な社会インフラになる一方で、なにか問題があると、システムが悪いと叩かれ、すぐに損害賠償ということになる。本来、そのシステムにどの程度の信頼性が求められるのか、ユーザーはどの程度の信頼性を要求しているのかといったことが決められないままに、システムが開発されているという実態が背景にある。システムは必ずダウンするものであり、どのぐらいの頻度でダウンするのか、ダウンした時にはどう対処するのかといったことをもっと議論していくことが必要。また、コンピュータは何でもできるというのは大きな誤解。情報システムは、どういう形で成り立ち、どういう性格を持ち、どんなとらえ方をすべきか、という点を、社会に対して理解してもらうための活動が必要である。世の中に対する情報サービスに対する啓蒙活動、理解を深めていくことに対して力を注ぎたい」とした。
また、新年度の副会長には、太田清史(アルゴ21代表取締役社長)、神山茂氏(ジャステック代表取締役社長)、小川健夫氏(日立ソフトウェアエンジニアリング相談役)、春日正好氏(アイエックス・ナレッジ最高顧問)、西條温氏(住商情報システム代表取締役会長)、有賀貞一氏(CSKホールディングス代表取締役)が就任した。
各副会長のあいさつでは、魅力ある情報サービス産業の構築を目指したい、といった声が相次いだ。
JISAでは、2007年度の事業計画を明らかにし、そのなかで「重点的な取り組みが必要な中期的課題」として、1)情報システム構築、保守、運用サービスに関する信頼性の向上、2)透明性、公平性を担保できる情報サービス市場の確立、を掲げたほか、「継続的な取り組みが必要な重点項目」として、1)コンプライアンス経営の推進、2)産学連携による人材育成の推進、3)国際競争力強化への取り組みを通じた新たな夢と可能性への挑戦、をそれぞれ掲げた。
また、特命委員会として、取引成果物に関わる信頼性評価指標の枠組み検討などを行う情報システム信頼性向上委員会、ユーザーおよびベンダー間の役割や責任分担を踏まえた契約モデルや、個人情報の取り扱いに関する契約モデルの普及などを行う取引構造改革委員会を設置。さらに、人材育成支援事業などのJISA活動における分野別公益性の評価などを行う公益法人改革委員会を設置して、それぞれ2年間にわたり、重点課題に対しての取り組みを強化する。
「透明性、公平性という点では、下請け構造による不透明な取引、業界技術者の労働環境に起因した人材獲得の困難さ、ソフトウェア製品の開発に関わる海外依存率の高まりなどの課題について、さらなる取り組み強化を図らなければ、健全な発展はない」とするとともに、「人月工数単価方式の価格積算方法から脱却し、品質、生産性を評価指標とする成果物取引の環境整備などを図ることが必要」としている。
常設委員会による取り組みでは、企画委員会では、国際競争力強化や政府調達制度改革、地球温暖化対策、高度人材育成などを担当、経営委員会では、業界各社の経営問題のほか、知的財産、税制などの法制度問題全般に関する課題の検討を行う。また、技術委員会では、ソフトウェアエンジニアリング、セキュリティ、標準化などの技術分野における課題の検討を、国際委員会では、情報サービス産業における国際協力、連携などについて検討を行う。
そのほか、課題達成型の事業運営を指向するほか、経済産業省やIPA(情報処理推進機構)などを対象にし、政策に対する提言活動の強化を図る。
「情報システムは、企業競争力の源泉となっていること、経済および社会における必要不可欠な重要インフラになっているという基本認識のもと、産業・社会の情報インフラと価値創造を担う基幹産業として、自ら構造改革を進める自覚を持って行動することを基本方針とし、業界の一層の地位向上を目指した活動を展開する」としている。
■ URL
社団法人情報サービス産業協会
http://www.jisa.or.jp/
( 大河原 克行 )
2007/06/01 00:00
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