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米Intel インテル・フェロー兼モバイル・ワイヤレス事業部CTOのシアバッシュ・アラムーチ氏
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インテル株式会社は6月1日、モバイルブロードバンドとして期待されているWiMAXに関する説明会を開催した。
最初に登壇した米Intel インテル・フェロー兼モバイル・ワイヤレス事業部CTOのシアバッシュ・アラムーチ氏は、「消費者はモバイルインターネットがどこでも使えることを望んでいる」とし、接続性をユビキタスな形で提供したいとする。その上で、インテルがモバイルインターネットに取り組んでいる理由について、「インターネットへのゲートウェイはPC。ほとんどのインターネットアプリケーションはPC向けであるから、PCのようなアプリケーション処理能力を持つものが必要になってくるだろう」と述べた。
その上で、こうした要件を満たすために、「小型で低価格の、まったく新しいタイプのモバイル向けインターネット機器が登場してくるだろう」としたほか、「コンシューマにとって、現在の料金と大幅に変わっては困る。定額で使えるということがモバイルでも重要になる」(アラムーチ氏)とも話している。
そして、こうした要件を満たす上では、WiMAXが適しているという。特徴的な点はOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access:直交周波数分割多元接続)方式を採用している点。複数のアンテナでデータの送受信を行うMIMO(Multiple Input Multiple Output)と組み合わせた場合に、CDMA(Code Division Multiple Access:符号分割多重接続)などの他方式と異なり、リニアに性能を伸ばすことが可能になっていることが優位性だと説明した。
次に登壇した米Intelのコーポレート・テクノロジー統括本部 通信/技術政策・標準化担当ディレクターのピーター・ピッチ氏は、無線の標準化動向について説明した。ピッチ氏によれば、無線の帯域が不足している点が、公共政策における障害になっているという。これは、米国でも日本でも、ほかの先進国でもほぼ同様で、「大部分の周波数帯がすでに振り分けられて使用されており、帯域が不足している。古いテクノロジに割り振られていて、新しいサービスに対する割り当てがない、もしくは少ない。帯域を価値の高い領域に移行することが大切だ」(ピッチ氏)。
こうした帯域の有効活用を促進するため、米国では、免許が不要なUWB(Ultra Wide Band)などのアンダーレイや、テレビの空きチャネルを利用するといった免許が不要な帯域についての改革をサポート。また、十分に利用されていない2.500GHz~2.690GHz帯域の改革サポートなどを行っていると説明している。
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WiMAXフォーラムの代表兼会長、ロン・レズニック氏
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最後に登壇したのは、WiMAXフォーラムの代表兼会長、ロン・レズニック氏。同氏はまず、WiMAXについて、「事業者の中で完全に理解していないところもいるが、音声の代替ではない。IPベースの技術で、サービスを提供するものである」とコメント。さらに、「音声市場に競合するものとして開発されたわけではなく、3Gデータサービスを強力に補完する。規模の経済メリットを生かせ、3Gでは提供できないようなものを提供できる」と述べた。
また、なぜWiMAXかという点については、OFDMA技術の採用によって高い収容能力と優れたスループットを低コストで提供できるという、従来のメッセージも主張されているが、レズニック氏は「一から作られたインターネット技術であり、革新性の高い技術。サービス事業者の能力を強化し、低コストで提供できる」という点を強調する。例えばWiMAXとADSLとバンドルして販売すれば、フルパッケージのブロードバンドサービスを提供可能になる。現在日本では3000万件以上の固定回線が契約されているものの、モバイル回線はまだ200万件に過ぎず、こうしたシナリオを生かせば、大きなビジネスチャンスが見込めるというのだ。
WiMAXを推進するWiMAXフォーラムのメンバーは、440社以上。日本企業もそのうちの約1割を占めており、国内の免許割り当てが2007年中に予定されるなど、利用の機運も高まってきた。WiMAXフォーラムでは、エコシステムを育成するなどの支援をし、こうした流れをいっそう加速させたいとしている。「まさにこれからが普及の時期。テクノロジとしてその重要性を日本でも高めていくだろう」(レズニック氏)。
■ URL
インテル株式会社
http://www.intel.co.jp/
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・ インテル、“真のモバイルブロードバンド”WiMAXの取り組み状況を説明(2007/04/09)
( 石井 一志 )
2007/06/01 15:16
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