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米Red HatズーリックCEOが来日、「価値あるエコシステム構築で成長を継続する」


米Red Hat, Inc 会長兼CEO兼社長のマシュー・ズーリック氏
 レッドハット株式会社は6月4日、米Red Hat, Inc 会長兼CEO兼社長のマシュー・ズーリック氏の来日に伴う記者会見を開催した。

 同社では、従来のOSを中心とした製品を提供する企業から、各種サービスを提供する企業へと転身を図っている。これについてズーリック氏は、「われわれはこの10年の間、(製品を開発段階から公開し、フィードバックを得ることで)仮想的にお客さまと対話を繰り返し、顧客主導型の革新を遂げてきた。この間、業界そのものも変化し、起業家の方は、安価なx86サーバーとOSSで容易に市場参入できるようになった。われわれの製品の提供方法もライセンスからサブスクリプションに変わり、エンタープライズ分野で利益の出る企業に変革してきた。また、Red Hat Enterprise Linuxによるエコシステムも構築しており、利用顧客は90日で1万ずつ増えている」と、従来型の製品販売だけでなく、サービスベースに変革する必然性が高まったと説明した。

 日本国内でも同様にエコシステムを構築することで、ビジネスを成長させる考え。「日本版SOX法など、セキュリティの高いソリューションをいかに提供するかが課題になっている。日本法人に関しては、採用を増やすなどして、ISVに対するサポート環境を整える。価値のあるエコシステムを構築し、顧客に提供することで、2ケタ成長を維持していきたい」と述べた。

 Linuxの成長が鈍化しているという調査結果が出ているとの質問に対しては、「スローダウンしているとはおもわない。実際、利用顧客は増えている。加速こそあれスローダウンはない」と、成長の鈍化は起きていないと主張。CentOSなど、Red Hat Linux互換のOSが企業で利用されている件については、「悪いこととは思わない。Red Hatでは、Fedore Coreを提供しているので、そちらを使っていただきたいが、OSSを企業が利用することで経験値が得られるという点ではいいことだ」と、互換OSを含め、Linuxへの認知度が上がることを前向きに評価した。

 そのほか、同社のHibernateプラットフォームのトレーニングなどを提供するコンサルティング企業に対し、同社がHibernateという名称の使用停止命令の書簡を送付したことでオープンソースコミュニティから非難を受けているという内容の記事が出ていることを質問されると、「(同社のロゴマークである)シャドーマンの商標と同様に、Hibernateという商標を守るのは企業として当然のこと。しかし、非難されるほどの行動とはおもっていない」と、正当な権利を行使しただけで、市場を萎縮させるような考えはないと語った。



URL
  レッドハット株式会社
  http://www.jp.redhat.com/
  eWEEKの記事(英文)
  http://www.eweek.com/article2/0,1759,2107113,00.asp?kc=EWRSS03119TX1K0000594


( 福浦 一広 )
2007/06/04 18:07

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