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イスラエルRadware、CEOのロイ・ジサペル氏
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日本ラドウェア株式会社は6月5日、新戦略「ビジネス・スマートネットワーク(以下、BSN)」を策定。ビジネスプロセス最適化の分野へ本格的に参入すると発表した。同日に行われた記者説明会では、来日したイスラエルRadware、CEOのロイ・ジサペル氏が同戦略の概略について説明した。
これまで同社では、パフォーマンス、信頼性、セキュリティ、管理の容易性を兼ね備えたアプリケーション利用環境を提供する「アプリケーション・スマートネットワーク(以下、ASN)」を提唱。それを実現するソリューションとして、インテリジェントスイッチやアプリケーションアクセラレータ、IPSなどの製品群を提供してきた。
今回のBSNではASNの考え方をさらに推し進めて、アプリケーションの利用環境を超えて、ビジネスプロセス全体を最適化するソリューションの開発・提供していくことが主な狙いとなる。
「これまでは、すべてのアプリケーションが常に動いて、いつでもアクセスできることが重要だった。これは、アプリケーションを理解して、最適化してユーザーに還元しようという試みである。しかしこれからは、ITがビジネスに直接貢献できる環境をつくりあげることが重要になる」(ジサペル氏)。これがBSNの基本的な考え方だ。
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トラフィックからイベント情報をキャプチャして、整形、別システムへフィード
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Inflightは多彩なシステムと連動する
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Radwareがこうしたビジョンを加速させる契機となったのは、Webアプリケーションとバックエンドのシステムを連携させるソリューション「Inflight」を抱える米Covelightの買収である。InflightとRadwareのアプリケーションデリバリーソリューションを統合することで、理論だけでなく、実際のソリューションとしてBSNの実現が可能になったことが、同戦略の下地だとジサペル氏は話す。
Inflightを活用することで、ネットワークトラフィックの中からビジネス上のイベントのみを抽出して、意味ある情報に整形し、別のシステムへフィードすることが可能になる。具体的には、「誰かがある銀行口座から別の銀行口座へいくら送金したといったことが把握できる」(ジサペル氏)。コンプライアンスに準拠したシステムにフィードすれば、「不正行為の防止といった効果も期待できる」(同氏)。
これはあくまで一例に過ぎず、このほかにもInflightでは、ログ管理やWeb解析・マーケティング、BIなど多彩なシステムに情報をフィードすることが可能。「もう1つの例として、CRMとつなげば、顧客がいま興味を持っている製品、いま売れている製品などをリアルタイムに把握することも可能になる」(ジサペル氏)というように、発想次第で応用の利くソリューションとなる。
こうして得た情報を次のアクションに生かすことで、企業の生産性を高め、収益を向上させる。すなわち、ビジネスに貢献するITを実現することが、Radwareの思い描く戦略構想だ。
これまでのASNの方向性から若干の路線変更となるため、当然、サービスを提供する側のRadwareにもある程度の変革が求められる。これまでは販社のみと連携して製品を売ってきたが、そのスキームだけではInflightを販売していくには無理があると同社でも認識しているという。そこで今後は、システムおよびビジネスのインテグレーター、内部統制ソリューションを提供する企業などとの協調を進めていくとの意向だ。
■ URL
日本ラドウェア株式会社
http://www.radware.co.jp/
イスラエルRadware
http://www.radware.com/
プレスリリース
http://www.radware.co.jp/company/press/20070605.html
( 川島 弘之 )
2007/06/05 16:02
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