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SCSIのベンダからSATAのベンダへ-ユニファイドシリアル製品のビジネスを進める米Adaptec


 アダプテックジャパン株式会社(以下、アダプテック)は2007年3月に、ユニファイドシリアル(Unified Serial)という新しいアーキテクチャのもとで、PC向けRAIDアダプタの新製品シリーズを発表した。今回は、SATA(Serial ATA)とSAS(Serial Attached SCSI)に両対応するユニファイドシリアルのアーキテクチャで、両分野に対してどういった取り組みを行っていくのかを、米Adaptecのブランド・プロダクトディレクター、スラッシュ・パニカー氏に話を聞いた。


米Adaptecのブランド・プロダクトディレクター、スラッシュ・パニカー氏
―ユニファイドシリアルアーキテクチャを採用した製品は、市場に受け入れられていますか?

パニカー氏
 パラレルに変わる、SATAとSASというシリアルの市場で、これまでの成功をベースにさらにプレゼンスを強化したいと考え、SATAとSASの両方のニーズを満たせるユニファイドシリアルアーキテクチャを投入したのです。この製品では、SATAとSASのRAIDをしっかりとできるようにというニーズを、1枚で満たせるようになりました。エンタープライズレベルでもSMBでも使ってもらえますし、WindowsやLinuxなどすべてのOSをサポートできます。

 製品の価格付けにしても、SAS製品を念頭に置くのではなくSATAを基準にしていますので、非常に安価であり、予想を上回る需要がありました。製品の評判もとても良い状況です。シリアルの市場でも、これまでの成功をベースに、さらにプレゼンスを強化したいですね。


―SASとSATAについては、市場ではどのようにとらえているのでしょう。

パニカー氏
 市場サイズはSASよりもSATAの方が圧倒的に大きく、9:1くらいの割合です。ユニファイドシリアルアーキテクチャの製品ではどちらでも使っていただけますが、当社では、市場のフォーカスが大きなSATAに対して、一番に注力しています。一方SASは、採用される度合いが(SATAに比べて)遅いことが特徴で、SATAでは市場の参加者すべてが興味を持っていますが、SASも、OEM側での許容度が上がってきています。

 つまり、ハイパフォーマンスが求められる中では、SASの構成が増えてきました。例えば、IBMが自社製品を中心に構成を組んで金融業向けに提供するような、特定の顧客の中で利用されるものです。ただしこれは、汎用環境で使われるものではないですね。SASが使われる部分はまだ限定されているので、市場への浸透度では低いレベルにとどまってしまっています。ホワイトボックスを提供するベンダや、一般のSIerなども含めて、SASは基本的に使われません。ドライブベンダのレベルで見ても、SAS対応製品はドライブ数を絞り込んでおり、SATA対応のものをより多く出そうという動きの方が一般的でしょう。ドライブがどう違うというよりも、SATAがSASよりも使い勝手がよいということで、エンドユーザーがSATAの方を好んでいるのです。

 SATAが好まれるのは価格面に加えて、容量が高いという面も指摘できるでしょう。マルチメディアの容量ニーズは高く、ビデオ、写真、メールなどの大容量データが社会に浸透すれば、ストレージの容量はますます重要になります。そういう面で容量は重要になってくるでしょう。

 こうした状況の中で、シリアル製品の普及については、まず、しっかりした製品を提供するのはもちろんですが、エコシステムの中で互換性を確保したものを出していく必要があります。はっきりと申し上げますが、シリアルの市場の中でも当社では特にSATAを重視しており、SATAをサポートしながらSASもサポートしていくというスタンスをとっています。そうした姿勢で、ストレージI/O関連のエリアでは、リーダー的な立場を守っていきたいと考えます。


3月には、ユニファイドシリアルアーキテクチャにもとづく5製品を発表した
―しかし、AdaptecといえばまずSCSI製品が思い浮かぶように、これまではSCSIの領域で成功してきたように思いますが?

パニカー氏
 確かに、Adaptecの名前はSCSIの会社だという認識度は高いでしょう。しかし最近は、SATAとSASを提供するベンダだという認知度が上がっています。ブランドはおっしゃる通り、人々が持っている信頼感や安心感によって決まってくるでしょうから、最初のうちはそういう感じで始まったとしても、しだいに定着してくるのではないでしょうか。 先ほどお話ししたように、価格設定がSATA製品を中心に考えられていますので、安価なSATAレベルの製品を提供しているという認識も上がってきているのです。秋葉原に行って実際に製品を見ていただければ、SATA向けとしても、どこよりも安いはずですよ(笑)。

 ユニファイドシリアルアーキテクチャは、「SASとSATA向け」なのではなく、「SATAとSAS向け」という言い方にしてもらいたいですね。確かに両方のマーケットが伸びることを念頭に置いて、SATAとSASの両方をサポートしていますし、伸びの割合はSASの方が速いかもしれませんが、実際のボリュームはSATAの方が圧倒的に多いのです。従って、一番にフォーカスしているのはSATAなのです。


―近年、DAS(Direct Attached Storage)はSANやNASに比べて押されているように思いますが、このビジネスの拡大はまだ期待できるのでしょうか?

パニカー氏
 現在の市場をDASとSAN、NASという形で分けるのであれば、DASが60~70%、SANが20~25%、NASは5~10%といった割合になりますが、全体的な市場規模が成長しており、より価格の高いものの割合が増えるでしょうから、DASが落ちてNASが増え、SANは横ばいといったように市場が変化するでしょう。しかし、DASの比率自体は減るかもしれないが、売り上げに占める貢献度、つまり生の売り上げとしては増えていくだろうと考えられます。

 それにDASでは、実際には新しいインテグレータを中心として、独自の構成が生まれています。例えばGoogleがストレージとサーバーを一体化しようとする動きをしていますが、それがどこに分類されるかといえばDASなのです。OEMも含めて、この領域でしっかりとビジネスを行っていけるでしょう。



URL
  アダプテックジャパン株式会社
  http://www.adaptec.co.jp/

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( 石井 一志 )
2007/06/13 11:39

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