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企業は見える化から“魅せる化”へ-日本SGI和泉社長

日本SGIソリューション・キュービック・フォーラム 2008

日本SGI和泉社長
 日本SGI株式会社は6月14日、15日の両日、プライベートイベント「日本SGIソリューション・キュービック・フォーラム 2008」を開催した。2日目のゼネラルセッションでは、コンテンツの重要性、Web 2.0の次にくるものなどをテーマに、講演・パネルディスカッションが行われた。

 同社代表取締役社長CEOの和泉法夫氏は、「IT業界は一定の周期でパラダイムシフトが起こっている。まず、1970年代のメインフレームなどシステム中心の時代。このころ私はIBMに勤めており、マイクロソフトなどの動きを成功しないものと見下していた。しかし、結果はご承知の通りで、見る目がなかった」と、1980年代からPC中心の時代にシフトしたと紹介。「現在では、インターネットなどネットワークを中心とした時代となっている。そして次はコンテンツが中心の時代になる」と説明する。

 コンテンツ中心の時代を支える背景として、ストレスなく配信できる環境が整備された点を指摘。コンピュータの性能向上、ネットワークの帯域の拡大など、コンテンツを自在に配信できる状態になっていると説明する。「企業は、財務データだけでなく、設計データや営業データなど、自社が持っているすべてのコンテンツの重要性を理解すべき。今、企業は自社の業務の“見える化”を進めているが、自社が抱えるコンテンツの“魅せる化”が重要になってくる」と、企業の放送局化を同社として推進していくとした。


寺島実郎氏
 特別講演では、三井物産株式会社戦略研究所 所長、三井物産常務執行役員、財団法人 日本総合研究所 会長、早稲田大学アジア太平洋研究センター客員教授の寺島実郎氏が講演。21世紀に入ってからの動向に触れ、「この6年間の世界GDPは年平均3.5%で拡大している。そして、世界貿易は年平均7%で拡大している。このうち、半分がIT関連機材の貿易である点を見ると、ITが世界経済に影響を与えているのが理解できる。そして、株価に関しては、時価総額が14%伸びている」と紹介。時価総額が実体経済の4倍にも成長している点について、「ITがもたらしたもの。ITとFT(フィナンシャルテクノロジー)の結婚といってもいい状態」と、ITがマネーゲームを促進する要因になっていると指摘。ITバブルの崩壊にもこうしたマネーゲームの要素があった点をしっかりと理解すべきと警告した。

 今後注目すべきビジネスモデルとして寺島氏が掲げたのが“移動”をテコにしたビジネス。「2006年の中国の出国者数は、香港行きをのぞくと2000万人以上。日本は1750万人で、そのうち377万人が中国を訪問している。アジア大移動時代が始まっている」と紹介。この移動を支える技術として、携帯電話などモバイルデバイスが核になると述べた。「人口減が始まった日本において、定住人口を増やすのは困難。しかし、移動人口を増やすことはできる。ここに新しいビジネスモデルが存在する」とした。


 続いて「Web 2.0の次に来るものは?」と題したパネルディスカッションが行われた。東京電機大学未来科学部情報メディア学科 教授の安田浩氏をコーディネーターに、株式会社インプレスホールディングス代表取締役社長の塚本慶一郎氏、クアルコムジャパン株式会社代表取締役社長の山田純氏、株式会社Jストリーム代表取締役会長兼社長 社長執行役員の白石清氏、日本SGI執行役員コンテンツ・プラットフォーム事業本部長の山崎里仁氏、日本SGI和泉社長がパネリストとして登壇した。

 安田氏は、生命大爆発を起こしたカンブリア紀と、情報大爆発を起こしている現代とを比較。「カンブリア紀には、それまで霧に覆われていた地球が晴れ、光があふれかえったことを環境変化とし、これにより眼が誕生した。その結果、能動的捕食が行われるようになった」と紹介。「これと比較すると、1980年代から始まったブロードバンドやユビキタス環境の整備により、遠隔地の情報を容易に誰もが入手できるようになったのが大きな環境変化となっている」と述べ、これを要因として今後大きな変化が起こるだろうと説明。「すでに情報は膨大な数量となっている。これにより受け身の情報収集から能動的な情報収集ができないと淘汰される環境となってきた」と、情報化社会の功罪を説明しながら、いかに必要な情報を収集できるかがキーワードとなっているとした。


東京電機大学 安田教授、「相手を意識したITがWeb 2.0の次にくる。ハートウォーミングな社会に向けた努力が必要」
インプレスホールディングス塚本社長、「Web 2.0も始まったばかり。企業にとって最大の抵抗勢力は経営者。次世代に向けた意識改革を」
クアルコムジャパン山田社長、「コンテンツの生成など、携帯電話の役割はますます増大する。環境作りをお手伝いしたい」

Jストリーム白石会長兼社長、「企業のコミュニケーションの中心に映像を。企業放送局を一日でも早く実現したい」
日本SGI山崎事業本部長、「自分にとってふさわしいコンテンツを手に入れられる仕組み作りを」
日本SGI和泉社長、「コンテンツが主役の時代、自分の情報は自分で発信する世界に」


URL
  日本SGI株式会社
  http://www.sgi.co.jp/


( 福浦 一広 )
2007/06/18 09:05

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