|
営業本部 テクノロジースペシャリストグループ Linux担当マネージャの岡本剛和氏
|
|
Xenでは、フルバーチャルとパラバーチャルの2つの仮想化方式をサポートする
|
|
ノベルでは、フルバーチャル環境向けにパラバーチャルドライバを順次提供し、速度の改善を図る
|
ノベル株式会社は6月15日、提供を予定しているSUSE Linux Enterprise 10のサービスパック1(SP1)に関する説明会を開催。営業本部 テクノロジースペシャリストグループ Linux担当マネージャの岡本剛和氏より、新機能の説明が行われた。
SUSE Linux Enterprise 10 SP1は、これまで提供されてきたセキュリティパッチ、修正パッチの集積を行うとともに、新機能を追加したもの。サーバー製品とデスクトップ製品共通のソースコードで提供される。
サーバー製品のSUSE Linux Enterprise Server(SLES) 10 SP1では、同梱される仮想化機能「Xen」の機能拡張がもっとも大きな変更点。Xenでは、OSを変更しない代わりに仮想マシンモニタに負荷がかかる完全仮想化(フルバーチャル)と、仮想マシンモニタと協調することで高速に動作する準仮想化(パラバーチャル)の、2つのモードをサポートしている。
ノベルではSLES 10 SP1ではじめて、フルバーチャル環境をサポート。Windows Server 2003 R2やSLES 10 SP1、SLES 10 SP3、発売予定のOpen Enterprise Server 2(NetWareベース、Linuxベース)などが利用できる。またWindows 2000/XPも、マイクロソフト側のサポートはないものの、ノベルとしてはハイパーバイザーの修正などを提供するという。
このフルバーチャル環境では、IOエミュレーションが遅いためパフォーマンス面で限界があった。今回ノベルではこれを改善するため、パラバーチャル環境と同じ仕組みのドライバをフルバーチャル環境で動いているOSに対して提供し、動作速度の改善を実現したという。
まずは、SLES 10 SP1用のドライバを同梱するほか、Windows Server 2003 R2/Server 2000/XP用のものを数カ月以内に提供する。また今後は、SLES 9 SP3向けとRed Hat Enterprise Linux 4/5向けを提供する予定。岡本氏は、ホストOSにSLES 10 SP1、ゲストOSにWindows XPを用いて、このドライバの効果を示すデモを実演して見せたが、ネットワークの速度差は、未使用時の20倍以上だった。
なお今後は、パラバーチャル環境でのゲストOSとして、Windows Server 2008をサポートする予定。こうしたマイクロソフトのOSへの対応は、米Novellと米Microsoftとのアライアンスの結果だという。
仮想化以外の機能では、インテル、AMDのクアッドコアCPUとPOWER 6への対応や、高可用ストレージ基盤を実現するためのコンポーネントのアップデート、セキュリティ機能「AppArmor 2.0」のApache Tomcatサポートなどが拡張されている。
一方SUSE Linux Enterprise Desktop(SLED) 10 SP1では、デスクトップインターフェイスを更新したほか、デスクトップの固定化を行えるロックダウンツール、ホームディレクトリの暗号化機能などが追加されている。また、同梱されるOpenOffice.org 2.1についても、Microsoft Officeとの互換性強化といった改善が行われたことに加えて、未サポートながらXenが同梱されるようになるとのことである。
■ URL
ノベル株式会社
http://www.novell.com/ja-jp/
( 石井 一志 )
2007/06/18 10:21
|