マイクロソフト株式会社は6月18日、Windows Server 2008に関する記者説明会を開催。業務執行役員 サーバープラットフォームビジネス本部長の五十嵐光喜氏が同製品の基本コンセプトを説明するとともに、新機能のNAP(Network Access Protection)や仮想化技術に関するデモが実演された。
五十嵐氏はWindows Server 2008の特徴として、「管理機能の向上」「保護機能の向上」「柔軟性の向上」の3点を挙げた。同氏は過去5年間のTCOの60%以上は手作業による人件費であることに言及し、「管理機能の向上は、この手作業を削減することを目的としている」と述べた。
そのための具体的機能として、Windows Server 2008には強力なスクリプティング機能「PowerShell」が搭載される。テキストを受け付けて返す、そのほかのシェルと異なり、PowerShellは.NET共通言語ランタイム(CLR)および.NET Framework上に構築され、.NETオブジェクトを受け付けて返すのが特徴。複雑なタスクを実行する際に威力を発揮するという。
保護機能の向上としては、HDD暗号化を行う「BitLocker」が紹介された。Windows Vistaにはすでに搭載されている機能だが、Windows Server 2008にも実装される。用途としては、オフィスフロアに直接設置されていて、物理セキュリティが施されていないサーバーの保護を想定しているという。
柔軟性の向上としては、Windows Server 2008で可能となる多彩な仮想化技術が紹介された。1つ目は「ハードウェアの仮想化」。通常、ハードウェアの仮想化では、ホストOSの上に仮想化レイヤを創出し、その上に複数のゲストOSを作り上げる。しかし、Windows Server 2008の場合は、ホストOSを必要とせず、ハードウェア上に直接仮想レイヤを創出することが可能。このため、より柔軟なハードウェアの仮想化が実現できるという。
Windows Server 2008は、現在ベータ3が提供されている段階。2007年第3四半期には最終公開ベータとしてより広範な評価を行い、第4四半期には正式リリースを開始する予定だ。五十嵐氏によれば、日本でのベータ3の配布は、約1カ月半で2万5000を超え、約2500名がベータ3トレーニングをすでに受講しているという。同氏は「これは、これまででもっとも早い立ち上がりでの進ちょくだ」と語り、これまでの開発の順調さをうかがわせた。