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Forefront+System CenterでITプロの生産性を大幅に高める-米Microsoft


 マイクロソフト株式会社が、7月2日にForefront Client Securityを、8月1日にSystem Center Essentialsを、それぞれ国内投入すると発表した。ForefrontとSystem Centerの組み合わせによって、ITプロフェッショナル、エンドユーザー、そして、ビジネスパートナーは、どんなメリットを享受できるのか。製品発表にあわせて来日したForefrontを担当する米Microsoftセキュリティプロダクトマーケティング担当シニアディレクターのマーガレット・アラカワ氏と、System Centerを担当する米Microsoft Windowsエンタープライズマネジメント本部ディレクターのカール・コーキン氏に話を聞いた。


米Microsoftセキュリティプロダクトマーケティング担当シニアディレクターのマーガレット・アラカワ氏 米Microsoft Windowsエンタープライズマネジメント本部ディレクターのカール・コーキン氏

―いま、ITプロフェッショナルはどんな課題を抱えていると認識していますか。そのなかで、ForefrontとSystem Centerの組み合わせによって、ITプロフェッショナルあるいはエンドユーザーは、どんなメリットを得られますか。

アラカワ氏
 多くのエンドユーザーが求めているのは、すべての企業リソースに対して、どんな環境からも共通にアクセスできるようにしたい、ということです。例えば、モバイルワーカーは、空港にいても、オフィスと同じ環境で、モバイルPCや携帯ツールを利用したいと思っているはずです。

 ところが、ITプロフェッショナルにとっては、セキュアな環境で、あらゆるデバイスから、しかもパフォーマンスを落とさずに、利用できる環境を実現するというのは、極めて大変なこと。しかも、エンドユーザーは、セキュリティに関する設定は、自分たちでは、なにもやらずに利用したい、パフォーマンスを維持するという観点でも、常に最速のネットワークになにも意識せずに接続できるようにしてほしい、となる。

コーキン氏
 一方、ITプロフェッショナルは、こうしたエンドユーザーの要求に応えながらも、それを一元的に管理できる環境を求めている。作業工数や管理工数を抑えながら、ビジネスワーカーの要求を満たす製品が必要なのです。そこに、ForefrontとSystem Centerによる組み合わせ提案のメリットがある。エンドユーザーからは、設定に関知したくないという要求があり、ITプロフェッショナルは、そのための作業を増やしたくないという要求や、それを最低限のコストで実現したいという要求がある。そうしたメリットを享受できるのが、われわれが提供するツールということになります。


―例えば、現時点で、セキュアにモバイル環境を提供してほしいというエンドユーザーの高い要求に応えることができるスキルを持ったITプロフェッショナルを擁している企業、あるいは、セキュアなビジネスワーカーの環境を一元的に管理できている企業というのはどれぐらいあると考えていますか。

アラカワ氏
 モバイル環境でEメールを見るという点では、大半の企業では達成できていると思います。しかし、企業のリソースに対して、あらゆる環境やデバイスからシームレスにアクセスするという環境は、まだまだできていない企業が多い。

 現在、Microsoftでは15万台のPCが利用されています。これらのPCを、すべての社員がセキュアな環境で利用するためには、やはり一定の認証作業が必要です。スマートカードをPCに挿入し、ユーザー名を入れ、パスワードを入れ、さらに2次的な認証をしてから、ログインする。PCを立ち上げて、認証をし、利用できるようになるまでは2~3分かかることになりますが、これによって、社員はすべてのネットワークにアクセスできるようになる。私は、どこにいても、どんな時間でも、スパムやウイルスを気にせず、必要な情報だけを得ることができる。Microsoftの社員すべてが安心して利用できるようになるのです。

 エンタープライズカスタマーのなかには、ユーザー名とパスワードの入力による認証だけという企業が多いかもしれません。スマートカードの採用や、2つ目の認証という方法はなかなか採用していないようです。また、パスワードを書き記して、机のなかにしまっておいたり、誰にでもわかるような簡単なパスワードを採用しているユーザーを容認している企業もありますが、それでは、セキュアな環境を実現しているとはいえません。


―一般的にセキュリティの徹底と効率的な運用管理というのは、相反するものといえます。ForefrontとSystem Centerでそれは解決できるのですか。

コーキン氏
 Forefrontでは、ウイルスやワーム、スパイウェアやルートキットなどのあらゆる脅威にも対応するとともに、Active Directoryとの統合によって、Microsoftが既存のセキュリティ技術を補完し、強力な保護と制御を実現します。また、Forefrontでは、集中管理による高い管理性および脅威や脆弱性の迅速な検出によって、信頼性と効率性のもとに、企業ビジネスを支援することができる。この組み合わせによって、企業における包括的なセキュリティと運用管理を実現することができるのです。エンドトゥエンドでの強固なセキュリティ環境の実現とともに、ITプロフェッショナルの効率的な運用管理を可能にするのが、ForefrontとSystem Centerといえます。

アラカワ氏
 箱から出したら、すぐに管理運用が可能になり、目に見えるメリットを得ることができるというのもForefrontとSystem Centerの特徴です。2つの製品は、セキュリティと運用管理に関わる包括的なラインアップを実現することになります。そして、ITプロフェッショナルの生産性をあげるとともに、社内のサーバーやデスクトップの健康状態を監視し、一元的な管理ができるようになる。Forefrontでは、グローバルマーケティングのキーワードとして、「You're in Control」を掲げています。ITプロフェッショナルに対して、コントロールしているのはあなたですよ、というメッセージです。これはまさに、ITプロフェッショナルが求めている環境ではないでしょうか。


―ForefrontとSystem Centerによって、脅威への対応や、信頼性の実現、あるいは運用管理の効率化といった点を実現できるとしていますが、最大の特徴を、ひとつだけあげるとすればなんでしょうか。

アラカワ氏
 私は、「生産性の向上」に尽きると思っています。エンドユーザーが求める高い要求に対して、ITプロフェッショナルがそれを実現するためには、大変な努力を伴う。これを効率よく実現することができるようになる。最新のドライバ、ファームウェア、パッチといったものが、配布および更新されるべきところに、確実に行きわたり、しかも、それを自動化することができる。こうした環境の実現は、同時に、エンドユーザーにとっても、ビジネスを高い生産性のもとで実行できるようになることにつながる。企業にとって、生産性をあげるというのは大変重要な課題となっています。これを強力に支援することができるといえるでしょう。


―生産性があがれば、ITプロフェッショナルの時間が空きますね(笑)。その時間はなにに使ったらいいですか。

アラカワ氏
 ITプロフェッショナルは、情報システムをダウンさせないために大変な労力をしているが、本来は、顧客のためにどんなベネフィットを提供できるかといったことを考えることが必要なのです。それによって、顧客のための新たな商品やサービスを創出できるからです。だが、多くのITプロフェッショナルは、顧客のニーズを評価するための時間的な余力を持っていない。ウイルスの駆除に追われているという状況では、とても、そんな時間は捻出(ねんしゅつ)できないですね。生産性を高め、管理を簡素化し、効率的な運用管理を実現することで、ITプロフェッショナルの役割も変化してくると思います。それによって、企業の競争力を高め、企業を成功に導くことができるのではないでしょうか。


―日本のユーザー企業にとってのメリットはどんな点でしょうか。

アラカワ氏
 今回、いくつかの日本のユーザー企業とお話をする機会を持ちましたが、日本の大手企業が抱えている課題のなかに、日本版SOX法への対応をどうするか、あるいはコンプライアンスをどうするかという課題に直面していることがわかりました。米国では、すでにSOX法がスタートし、これにどう対応するかということに数年にわたって取り組んできました。同じようなことが、いま、日本でも求められています。ここでは、いかに一元的に管理するか、いかにシステム統合を図るか、コンプライアンスを一元化できるかといった課題があがっています。いわば、これはActive Directoryとの統合をどうするか、という課題でもあります。日本の大手企業ではActive Directoryを導入し、それによるコントロールを行っている企業が多い。そこに、コンプライアンスという観点からどう付加価値を提供できるか、しかも、それを高い生産性を維持しながら、いかに提供できるかが求められています。

コーキン氏
 ユーザーは、常に、コンプライアンスに対するニーズを持ち、それの解決を製品に求めています。また、IT部門では、ITILをベースとした仕組みにどう移行するか、これをどう確立していくか、という点にも関心がある。社内ポリシーをどう確立していくか、というのも大きな課題です。日本のユーザーもそうした課題を持っています。Microsoftは、テクノロジーだけでなく、プロセスも重視している。これもあわせて提供していくことができるという点も、ぜひお伝えしたい。


―SOX法への対応をはじめ、企業情報システムは大きな転換期を迎えているといえますが、これらのすべての企業情報システムの転換がうまくいっているとは限りません。ITプロフェッショナルが、いま気をつけておくべき要件はありますか。

アラカワ氏
 企業情報システムは、基本、標準化、合理化、動的といった進化を遂げていきますが、標準化の段階に到達した企業の多くは、大がかりなアプリケーションを導入しようとする傾向が強くなる。その際に、システムの成熟度やシステムライフサイクルの実態、社員の教育レベル、自らの運用管理の能力を見極めずに、実行に移す企業がある。これは大変危険です。製品、人、プロセスといったものが、それぞれどのレベルにあるのかを、しっかりと見極めることが大切です。

コーキン氏
 Microsoftは、多くのベストプラクティスをドキュメント化して提供しています。インフラストラクチャの最適化モデルとはどういうものか、という提案も可能になっている。また、導入事例を通じて、さまざまな情報をお伝えしたり、ツールやセンターを活用してパートナーに対する人材教育の支援をしている。その取り組みのひとつとして、情報システムに関して、製品、人、プロセスがどのレベルにあるのかを推し量ることもできます。


―ForefrontとSystem Centerのビジネスにおいて、日本のビジネスパートナーに対するメッセージはありますか。

アラカワ氏
 ビジネスパートナーは、顧客が抱える未解決の課題を、どう解決していくかという点で日夜戦っている。とくに、セキュリティ環境の強化や、複雑化する運用管理に対するニーズは、満たされていないのが実状でしょう。私は、セキュリティと運用管理とを統合することで、パートナーとともに新たなビジネスを創出できると考えています。パートナーが新たなビジネスに取り組む上で、人材の育成や、ニーズの掘り起こしといった点で補完すべき部分があれば、Microsoftは協力することもできる。なにかあれば、積極的にMicrosoftに声をかけてほしい。

コーキン氏
 System Centerによって、ITプロフェッショナルが運用をコントロールできるようになる。この点をぜひ訴えていただきたい。また、ForefrontとSystem Centerの組み合わせによって、顧客ニーズの実現や課題解決を実現できるだけでなく、新たな付加価値を提供できるようになる。新たなソリューションや付加価値を、パートナーとともに構築していきたい。顧客、パートナーの声を聞きながら、ニーズを満たすことができる製品を引き続き提供していきます。



URL
  マイクロソフト株式会社
  http://www.microsoft.com/japan/

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( 大河原 克行 )
2007/06/27 08:49

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