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インテル技術本部長の及川芳雄氏
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ダイサイズを小さくしながらもトランジスタ数は拡大される
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インテルは、四半期に一度開催しているエンタープライズ製品に搭載されている技術の現状と、今後の方向性を説明する「インテル・デジタル・エンタープライズ・アップデートミーティング」を開催した。
最初に、インテル技術本部長に就任した及川芳雄氏がエンタープライズ製品全般の方向性を説明。「インテルは高い性能と、優れた電力効率という相反する2つの要素を実現するために、プロセス技術、マイクロプロセッサの設計、製造施設のネットワークという3点に引き続き注力していく」と話した後、今後提供予定の製品のポイントを紹介した。
インテルでは、プロセステクノロジー分野でリーダーシップをとっていくため、今年中に提供予定の45nmのプロセステクノロジー「Penryn」の次の技術開発を積極的に進めている。同じく45nmで来年投入予定の「Nehalem」、さらにそれ以降に投入予定の32nmプロセステクノロジーの「Westmere」、「Sandy Bridge」の開発に着手している。
45nmプロセステクノロジーは、トランジスタの集積度の向上、トランジスタスイッチング速度の20%以上向上、トランジスタスイッチング電力を約30%削減することで、さらなる電力効率の向上を実現する。
ダイサイズについてもClovertownの143平方mmに対して、107平方mmと小サイズ化を実現しながら、搭載するトランジスタの数はClovertownが6億8100万トランジスタに、キャッシュが8MBであるのに対し、Penrynは8億2000万トランジスタに、キャッシュは12MBとなった。
65nmプロセッサと45nmプロセッサの出荷比率は、2008年の第3四半期に逆転する見通しで、それを実現するためにオレゴン、アリゾナ、イスラエル、ニューメキシコの4つの工場で45nmプロセッサを製造していく。
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プロダクト&プラットフォーム マーケティング本部の徳永貴士デジタル・エンタープライズ・グループ統括部長
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Itaniumの出荷金額は他社のサーバープラットフォームを上回ったと強調する
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Itaniumの次世代プラットフォーム「Tukwila」はデュアルコアItanium 2と比較し、最大で2倍の性能向上を実現する
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次に、プロダクト&プラットフォーム マーケティング本部の徳永貴士デジタル・エンタープライズ・グループ統括部長が、Itaniumのロードマップについて説明した。
まず、徳永統括部長はインテルがItanium開発に取り組んだ背景として、「開発を始めた1990年代は、1社がOS、プロセッサ、ハードウェアなど全てを提供し、ユーザーは特定メーカーの独占的なアーキテクチャに縛られていた。それを解放し、ユーザー自身が選択できるオープンな世界を作るためにItanium開発がスタートした。現在では、1社のアーキテクチャからの解放を実現することができたと考える。昨年末時点では、国内のItanium出荷金額はSPARCの1.5倍、POWERの1.1倍の出荷金額となった。これは、『1社が全て』のアーキテクチャからの解放をのぞまれるお客様が多かったことのあらわれではないか」と強調した。
Itaniumを導入している企業も特定業種にしばられることなく、幅広い業種での採用事例が生まれている。特に大企業での導入が顕著で、インテルがカウントする世界規模でビジネスを行うトップ企業100社のうち、75社への導入を実現しているという。
将来のロードマップとしては、次のプラットフォーム「Tukwila」、さらにその先のプラットフォーム「Poulson」を紹介。Tukwilaはクアッドコア化、大容量オンダイキャッシュを実現したハイパースレッディングテクノロジーで、デュアルコアItanium 2と比較し、2倍の性能を実現する。
システムとしての信頼性向上のために、RASの機能強化を行い、「Double Device Data Correction(DDDC)」を採用する。DDDCは、2つのメモリ素子がエラーを起こしても修復可能となり、システムのアップタイムを伸ばし、DIMM交換頻度を引き下げ、結果的にサービスコスト削減を実現する。米HPからも評価を受けるなど、ハードウェアベンダーはDDDCを好意的に受け止めているという。
さらにその先のプラットフォーム「Poulson」については、詳細は明らかになっていないものの、高次元の並列処理を実現。「先進のマルチコア・アーキテクチャーの採用により、Tukwilaに比べてもかなり高性能化を実現する。さらにその先には『Kittson』という現時点では開発コードネームのみ明らかにしているItaniumファミリの開発にも着手しており、技術革新はさらに続いていくものだと認識して欲しい」(インテル技術本部 本間康弘スペシャリスト・マネージャー)。
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Xeon 5300番台の公表性能値は「競合ベンダーを大きく上回る」とアピール
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プロダクト&プラットフォーム マーケティング本部ビジネス・クライアント・マーケティングの廣田洋一氏
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IT部門向けの第2世代vProのロードマップ
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ボリュームゾーンの製品であるXeonプロセッサについては、クアッドコアを実現したことで旧世代製品に比べ、大幅にパフォーマンスが向上しているが、5300番台の製品を投入することで、さらなる性能向上を実現する。
また、ハイエンドXeonとしてクアッドコアのTigertonを90日以内に投入する計画で、電力消費量が130W、80W、50Wの3種類を用意し、ブレードサーバー用など用途に合わせた選択を可能とする。
ビジネスPCについては、プロダクト&プラットフォーム マーケティング本部ビジネス・クライアント・マーケティングの廣田洋一氏が、新しい方向性を説明した。「これまでのビジネスPCは、利用者にとって使いやすいものを目指し、性能向上を続けてきた。しかし、昨年セキュリティや管理のための機能を強化したvProを投入。このvProのコンセプトをさらに進め、IT部門にとって使いやすいビジネスクライアントを提供していく」。
このIT部門に適した機能をもったビジネスクライアントPCのロードマップとしては、2007年の第2四半期に「Weibridge」を投入。この製品は、よりセキュリティ機能、管理機能を強化したものとなる。さらに、2008年に次世代のvPro、ワイヤレス向け「Montevista」を投入する計画だ。
またセキュリティと管理機能を強化するための新しいテクノロジーが「インテル トラステッド・エグゼキューション・テクノロジー(TXT)」だ。
現行のセキュリティ機能としては、クライアントの利用者を識別する指紋認証やICカードを使った認証が行われている。「しかし、ハードウェア自体が本当に正規のハードウェアか、中に入っているソフトウェアが正しくコンフィグレーションされたものなのか、確認する手段がなかった。そこでハードウェアとOS、アプリケーションの間に仮想化技術によって壁を作り、それぞれを分離した上で、その機器が正しいものなのかを認証する技術を実現する」(廣田氏)。
さらにTXTには、システムダウンなどが起こった際、残されたデータが読み込まれトラブルが起こることを解消するために、残ったデータを完全に消去する技術を搭載。より安全なコンピューティングを実現する基盤となるという。
■ URL
インテル株式会社
http://www.intel.co.jp/
( 三浦 優子 )
2007/06/27 18:47
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