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マーケティング本部 ソリューションマーケティング部 マーケットインテリジェンス&アナリストリレーションズマネージャー、金崎裕己氏
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株式会社シマンテックは7月2日、ストレージ関連ソリューションのプレス向けセミナーを開催。マーケティング本部 ソリューションマーケティング部 マーケットインテリジェンス&アナリストリレーションズマネージャー、金崎裕己氏が日本市場におけるストレージの今後の展望を開設した。
金崎氏によれば、今後1~3年程度の中期的な視野で見た場合のキーメッセージは、1)バックアップにHDDを用いるD2D(Disk to Disk)のさらなる加速、2)増加するフィクスドデータへの対応、3)ストレージ管理ツールの統合・統一化の3つだという。
このうち1)の背景としては、SATA HDDを用いるストレージの普及により、容量単価がここ数年非常に安価になっているという点が挙げられる。金崎氏は、「テープライブラリとディスクストレージを比べた場合に、初期導入コストをディスクの方が安くなっている」という状況に触れたほか、SATA HDDを使った安い構成の信頼性が向上している点も、D2Dソリューションが普及していることの理由として指摘した。さらに、「特にリカバリを意識した場合はディスク(バックアップ)になる。バックアップシステムの再構築も必要になってきている」とも述べている。
次の、2)でいうフィクスドデータとは、一回書き込まれるとアップデートされることのないデータのことで、主にログがこれにあたる。金崎氏によれば、「日本版SOX法に関連したイベントに行くと、アクセスログやネットワーク、データベースのログなど、ありとあらゆるログを証跡として取っておこうという製品が目立つ」と話し、これは、内部統制システムがきちんと動いているかどうかを示す証跡としてログが使われるためだと説明する。その上で、これまではログを中長期で保存することを考慮していなかったため、こうしたデータが増えてきた場合にどう管理するかが問題になるという点を指摘。金崎氏はこれについて、「非改ざんの証明や、不必要な人間がアクセスできないようにするなど、セキュリティの対策が必須。ストレージに保存されるこれらのデータをどう管理するかが問題になる」とした。
また3)では、「内部統制が進んでくると、全社の統一的な環境でシステム運用が管理・管理される必要があり、中央集権的な管理が求められる。こうした際に違うツールを使うのであれば手間がかかってしまう」として、統一化の必要を強調する。さらに、「バックアップソフトウェアをポリシーベースで束ねるようなツールが、システムの上に来る必要性も増えている。ストレージツールの統一化・統合はこの1年で加速するだろう」と述べた。
一方3~5年のスパンで見た場合の長期的なキーメッセージは、4)統合的なストレージ管理からストレージオートメーションへ、5)ILMの本格化、6)コストコントロールの再燃、の3つが挙げられるという。
このうち4)は、ストレージツールの統一化・統合の先にあるもの。金崎氏は、「日本ではまだ少ないが、ITIL(IT Infrastructure Library)やITSM(IT Service Management)の導入率は今後上がってくる。その際にこれと呼応する形でポリシーベースでのシステム全体の運用管理が進み、全体統合的なストレージデータの管理が行われるようになる」と予測。そうした場合、大量のデータを対象に管理者がいちいち作業を行うのではミスも起きるので、「オートメーションという考え方が重要になる。さらに長期的には、キャパシティプランニングなども含んだ形で全体が自動化されるようになるのではないか」とした。
5)のILMは、2~3年前に一度関心が高まったソリューションである。近ごろでは、そのころと比べて露出は減っているようだが、金崎氏は「これから必要になってくること。管理する対象のデータをいかに少なくするかがキーワード。オンラインストレージ上のデータが多ければ多いほど複雑になるし、管理コストがかかってくるので、ここをいかに減らしていくかが今後の鍵になる」とし、重要性は変わっていないと主張。「不必要なデータを置かないことによるセキュリティの強化、コストのコントロールが可能になる」とした。
最後の6)では、「コストに対する意識がグローバルで強くなっている」との現状を紹介。「コストをコントロールするためにここまで触れたソリューションが必要になってきている、という言い方もできる。ストレージにかかるコストはなかなか減っていかないが、根本を考えることでコストの最適化を図るという考え方がますます強くなるだろう」と述べている。
■ URL
株式会社シマンテック
http://www.symantec.co.jp/
( 石井 一志 )
2007/07/02 17:08
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