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代表取締役社長の新宅正明氏
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日本オラクル株式会社は7月6日、プレス・アナリスト向けの戦略説明会を開催。代表取締役社長の新宅正明氏らが登壇し、企業の方針などを説明した。
新宅社長はまず、昨日決算発表を行った2007年5月期を振り返って、「当社が市場に対して約束したところはあらかたできた。全体としては及第点」と評す。その上で特筆すべきこととして、「各事業部門で増収を目指すと目標に掲げた成果が出て、4年連続でマイナス成長だった研修サービス部門も増収を達成した」と述べた。
新年度に関しては、PeopleSoft以降に米Oracleが取得した製品を日本で扱っている、日本オラクルインフォメーションシステムズ(OIS)との協業体制を強化することを説明した。これまで、日本オラクルを通じて販売されていたのは、OISが持つ製品の一部に限られていたが、新体制ではすべての製品が扱えるようになる。またそれと同時に、サポート・研修・コンサルティングのすべてを1つの組織の中で運営できるようにするという。「お客様やパートナーからすると、今後は日本オラクルが主たる窓口になる」(新宅社長)。
この協業強化に伴い、人員も増強する。OISからは270名の社員が日本オラクルへ出向させるほか、新規採用も拡大し、今年度に400名強の増員を予定する。日本オラクルでは、従来のビジネス領域のみでは2008年5月期に11.1%の売上高成長を見込むが、この協業強化によってさらに6ポイント強を上積みし、全体では17.4%の成長を目指す。「世界のOracleが大きな成長を遂げている背景には、この2年半におよぶ買収した製品・サービスと既存製品のシナジーが効いていることがある。そのシナジーを日本市場においても最大限に発揮する体制ができあがった。12~13%のCAGR(年平均成長率)が達成できると、2010年5月期には売上高1500億円、経常利益500億円という、1つのめどを超えるところに到達すると思っている」(新宅社長)。
また新宅社長は、「今後買収をこの領域で多くすると思うが、日本においても金融・流通の領域では体制が固まりつつあるので、お客様により近いソリューションを提供できる企業へステップアップしたい」と述べ、産業別ソリューションの整備も進める意向を強調。加えて、「製品ラインアップが整い、サービス部門の協業体制が高まっていくにつれてコンサルティング部隊が非常に重要になる」として、コンサルタントもここ3年で倍増させ、1000名体制を作って製品ビジネスパートナービジネスを支援することを表明している。
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執行役員 事業戦略統括 経営企画室長の吉川剛史氏
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続いて登壇した執行役員 事業戦略統括 経営企画室長の吉川剛史氏は、「さまざまなソフトウェア産業がサービス化していくと考えているが、一方で自社運用が残る部分もある」として、通常のソフトウェアモデルとSaaSモデルのハイブリッド型のアプローチが必要と主張。その双方の領域でナンバーワンを目指すと語った。
その上で、新宅社長同様、業種ごとに特化したアプリケーションを強化し、業種別のノウハウを付加したソリューションを提供できるような体制を作るとしたほか、プロセス統合、セキュリティ強化、見える化などを推進するためのミドルウェアの強化が必要とし、そのために買収を通じてポートフォリオを拡充する方向性を示した。
「(米Oracleによる)M&Aはまだ数年続くだろう。当社ではこれを通じて顧客基盤、競合優位性、ポートフォリオを拡大しているが、お客様にそのメリットを早くお届けするとともに、それまでの投資は無駄にならないようにする」(吉川氏)。
■ URL
日本オラクル株式会社
http://www.oracle.co.jp/
( 石井 一志 )
2007/07/06 15:35
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