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矢野薫社長
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2006年度の目標と成果を紹介
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日本電気株式会社(NEC)は7月10日、経営方針説明会を開き、2007年度の事業方針を発表した。
同社・矢野薫社長は、冒頭、昨年度を振り返り、「不本意な1年だった」とコメント。「昨年の経営方針説明会では、飛躍のための基盤固めの年にするとしたが、半導体事業の赤字や、会計処理問題などもあり、目標を達成できなかった。今年度は、昨年の轍(てつ)は踏まない。掲げた目標はなんとしてでもやり遂げる」と語った。
本来、経営方針説明会では、中期計画が発表されるが、「先々の夢を語るよりも、まずは足下の結果を出すことが大切。それができない限り、信頼は回復しない。今年はこれだけやるということを示し、それをやり遂げる決意表明」と位置づけた。
2007年度の経営目標としては、すでに公表しているとおり、売上高が前年比1%増の4兆7000億円、営業利益は600億円増加の1300億円、経常利益は637億円増加の800億円、当期純利益は209億円増加の300億円を目指す。
「業績目標の確実な達成と成長施策の実行強化を行う。グローバルで戦うプレーヤーとしては、ROE 8%は、確実にクリアすべき目標であり、その先に2けた、できれば15%という目標がある。ROEを中心的な指標としてとらえ、努力目標ではなく絶対にやるべき目標として掲げる」として、中期的にはROE 10%以上を目指す姿勢を示した。
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2007年度の事業運営方針
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2007年度の事業運営方針としては、営業利益1300億円の確実な達成と、成長戦略の実行強化を掲げ、重点戦略として、中期的成長に向けた半導体事業の再建、モバイルターミナル事業の黒字化と再成長に向けた商品力強化、NGNを軸とした成長戦略の具体化、を打ち出した。
1300億円の営業利益目標に関しては、IT/ネットワークソリューション分野において、戦略開発費の投資というマイナス要因を含みながらも199億円のプラスを計画。前年度上期には大幅な赤字を計上していたモバイル・パーソナルソリューション分野では395億円のプラスを計画した。また、営業黒字化の必達を掲げるNECエレクトロニクスを中核とする電子デバイス事業においては、260億円の増加を見込んでおり、戦略投資費用などの254億円のマイナスを含めても、全社で600億円の増加を見込んでいる。
さらに成長力強化に向けて全社横断的取り組みを加速。「NECが持つ電子デバイス事業、企業・個人向け事業、社会基盤事業の3つの事業が独立してそれぞれに戦うのではなく、協力しあって、新たな力を生むことが大切。イノベーションは、境界と呼ばれるところで生まれると私は思っている。その境界の部分に対して、新たに組織を作るのではなく、それぞれの組織が相互作用して、豊かな社会を作るためのイノベーションを生み出していく」とした。同社では、全社横断的な成長戦略費用の投入を掲げており、NGN時代に向けたソリューション開発、グローバル販売体制の強化、次世代スパコンなどの世界最高レベルの先行技術の開発、などに振り向ける考えだ。
また、矢野社長は、横断的に取り組みを加速する上で、中央研究所に対するR&D投資が重要な要素になると位置づけ、「どんなに苦しくても年間500億円の研究開発投資は減らさない。その覚悟で投資を進め、グループ全体でその成果を活用していく」とした。このほか、研究開発分野では、C&Cイノベーション研究所を開設し、人間と社会が共生するC&C研究も行う。
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NGN構築事業の拡大
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ビジネスモデル改革の推進
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セグメント別では、主力のIT/ネットワークソリューション事業において、売上高で4%増の2兆8700億円、営業利益は12.9%増の1740億円を見込む。「好調な企業業績を受けて、国内IT市場は堅調だが、単価の下落が大きく影響しており、成長率は決して高くはない。だが、この1年間で、NGNの風を巻き起こせたと考えており、大きな流れがいよいよ顕在化してくる。2006年度は、NGN関連の売上高は約900億円だったが、これを2007年度は2000億円へと倍増させる。商用化に向けた投資が増え、その上で提供するサービスに対して投資したいという動きも顕在化してきた。NGNを活用した新たなサービプラットフォーム事業を拡大し、グループによる新ソリューションの創造にも力を注ぐ」とした。
また、アウトソーシング事業の売上高を、現在の2900億円から中期的には4500億円規模に拡大させるほか、ネットワークシステム売上高構成比に占めるソフト/SI/サービスの構成比を、現在の34%からさらに拡大させる方針を示した。
さらに、安定収益事業として、通信、製造、流通などのNECが強みを持つ業種やソリューションにおける事業拡大を打ち出し、「ITサービスおよびSIにおける6.4%の営業利益率を、今年度は約1ポイント高める計画」とした。
加えて、昨年度および一昨年度に売り上げ拡大の原動力となった地上デジタル放送向けシステムの特需を埋める「ポスト地デジ」事業として、地デジ事業で培った高度映像技術を活用した映像ソリューションの展開、軍需技術として採用されていた非冷却赤外線センサーの民需での活用促進、デジタル放送や衛星事業といった海外での大型プロジェクトの受注拡大を進めていく考えを示した。
一方、グローバル戦略では、パソリンクでの世界ナンバーワンシェアが視野に入ってきたほか、光IPネットワーク事業の拡大、欧米およびアジアにおけるシンクライアント販売体制の強化、HYDRAstorを中心としたストレージ製品の世界市場への投入などに取り組む姿勢を明らかにした。
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安定収益事業の基盤強化
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グローバル事業拡大への取り組み
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N904iを掲げる矢野社長
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モバイル/パーソナルソリューション事業は、昨年度の欧州のPC事業売却などの影響があり、売上高は前年比8%減の8900億円とするが、「前年度の335億円の営業赤字は、上期のモバイル事業が影響したものであり、なんとしてでも黒字化を目指す。携帯電話の事業部門に対しては、海外から一刻も早く撤退することと、デザインがダサいものになっていたので、外の力を入れて美しい携帯電話を作ってほしいと言ってきた。携帯電話は、ようやくNECらしいものが出てきたと考えている。課題だったインターフェイスも改善されている。きちっと指示を守ってくれた。デザイン、大きさ、使い勝手を、たった一年で改善してくれた。これからももっとよくなる」と、昨年度下期以降の携帯電話事業の改善を高く評価した。
パーソナルソリューションに関しては、「黒字の定着化と新たな成長事業の創出」を掲げ、品質改善による保守コストの効率化などを背景にした固定費削減、生産革新によるコストダウンおよび資本効率向上に取り組むほか、新成長事業として、NGNに対応したサービス、製品の創出を打ち出し、BIGLOBEによるプラットフォームサービス事業、ホームサーバーを中心とした新パーソナルソリューション製品の投入、ホームゲートウェイなどのホームネットワーク製品の投入などを計画していることを明らかにした。
「PCの買い換えサイクルが長期化しており、新たな製品の創出が求められている。当社では、ホームサーバーといった新たなコンセプトの製品を検討しており、今年秋には発表できる。家電メーカーにはできない、NECならではのホームサーバーを投入していく計画だ」とした。
さらに、「NECのブランドを一般消費者に浸透させることができるのは、パソコンと携帯電話だけ。ブランドを維持するために、パソコンは絶対にやめない。やめないためにはいい商品を作り続ける」と、パソコン事業の継続を力強く宣言した。
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モバイルターミナル事業
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パーソナルソリューション事業
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半導体事業の再生に向けて
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一方、エレクトロンデバイス事業は、2006年度末からの半導体事業の受注回復傾向や、電池事業の基盤強化によって、売上高は1%増の8700億円とするものの、230億円の営業赤字から、30億円の黒字転換を計画している。
「半導体事業は、NEC全体の中期的な売上げ、利益の成長ドライバーと位置づけている重要な事業。例えば、自動車メーカーに対しては、各種マイコンなどのデバイスのビジネスだけでなく、制御系および情報系を融合した次世代車載機でデバイス、ソフト、ハードの強みを融合して提案できる。さらに、ユビキタスゲートウェイによるネットワークインフラやITS、テレマテックスなどの車外サービスにつながる。バリューチェーンによるグループ一体型のアプローチが可能になる」などとし、半導体事業における営業損益ブレークイーブンの達成、足下の受注好調を持続し、中期的な成長へとつなげる姿勢を示した。
また、「NECエレクトニクスの中島俊雄社長には、2009年度に売上高8000億円、営業利益率5%というNECエレクトロニクスの中期計画に対して、私は満足していないと伝えている。成長と利益のドライバーとなる目標をつくってほしいと要望している」とコメントし、NECエレクトロニクスの新たな成長戦略の立案に期待を寄せた。
■ URL
日本電気株式会社
http://www.nec.co.jp/
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( 大河原 克行 )
2007/07/11 00:01
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