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米webMethodsマツムラ副社長、SOAガバナンスの必要性をアピール


米webMethods SOAプロダクトマーティング担当副社長のミコ・マツムラ氏

webMethods Fabricの概念図
 ウェブメソッド株式会社は、米webMethods SOAプロダクトマーティング担当副社長のミコ・マツムラ氏が来日したことを機に、プレス向けにSOA(サービス指向アーキテクチャ)ガバナンスに関する説明会を開催した。説明会では、SOA市場の現状を踏まえた上で、SOAガバナンスの役割と必要性、および同社SOAガバナンスソリューションの「Infravio X-Registry」「同 X-Broker」の機能などが紹介された。

 まず、マツムラ氏はSOA市場について、「私はSOA市場の現状を説明するとき、何人かの目の見えない人が象を触っている状況に例えます。それぞれが象の別の部分を触ったとき、鼻を触った人はヘビ、しっぽを触った人は枝、胴体を触った人は壁など、人によって異なるイメージをもつはず。現在のSOAも同様で、大きな市場の中に、多くのベンダーが異なった考えをもって参入してきている。そのため、市場にはSOAに関連したさまざまな製品が生まれ、非常に複雑化しているのが現状」との見解を示した。

 webMethodsのSOAへのアプローチとしては、「SOAは、メインフレームやERPなどのあらゆるエンタープライズシステムを相互に接続する役割を担うもの。当社では、エンタープライズアプリケーションインテグレーション(EAI)を基盤として、その上にSOAを提供することでビジネスプロセスマネジメント(BPM)を実現。そしてビジネスアクティビティモニタリング(BAM)を可能にするという一連のソリューションをカバーする製品としてwebMethods Fabricを提供している」と説明する。

 こうした複雑化するSOA市場のなか、大企業がSOAを導入するにあたって課題となっているのがSOA環境における権限管理だという。マツムラ氏は、「大企業では、中央に大きな権限が1つある一方で、各部門や地域にもそれぞれ権限が分散されているケースが多い。たとえば、中央の権限としては本社のメインフレームがあり、分散された権限としては各部門、支社などのWebサーバーがあげられる。これらのサーバーを1つのシステムで管理するという考え方がWebサービスになるが、必ずしもうまくいっているとはいえないのが現状。そこで、必要とされているのがSOAガバナンスだ」と述べた。

 SOAガバナンスは、SOA環境におけるサービスのやりとりを統制・管理するという考え方。通常、企業がSOAを導入し、ネットワーク上で各種アプリケーションやサービスを接続していくと、非常に複雑な相互依存環境が生まれることになり、ユーザーからは「自分たちがコントロールできない環境ではサービスを稼動させたくない」「サービスが検出できないため利用できない」「他ベンダーのサービスとの相互運用ができない」など、多くの不満が出てきているという。

 SOAガバナンスでは、SOAのサービスプロバイダとユーザーの間に入ってランタイムのバランスをとり、サービスのやりとりを仲介する役割をもつ。マツムラ氏は、「SOAガバナンスは、水の流れをコントロールするレギュレータのようなもので、ここでリクエストとレスポンスのフローをコントロールしていく。これによって、可用性やパフォーマンスを確保したサービスが実現できる。SOAガバナンスが導入されていないSOAは、渋滞の発生している道路のようなもの。期待している効果は望めない」と指摘する。


Infravio X-RegistryとX-Brokerの機能
 ウェブメソッドでは、SOAレジストリソリューションとして「Infravio X-Registry」と「Infravio X-Broker」を提供している。具体的な機能としては、サービスプロバイダがX-Registryにサービスを登録すると、自動的にサービス内容やセキュリティ情報などが確認されて、SOAガバナンスがスタート。完了するとユーザーにサービスを提供できるようになる。この際、特定ユーザーの認証を行うことも可能で、認証に当たっては、サービスプロバイダとユーザーの間で締結されているサービスデリバリーコントラクトと照らし合わせてサービスを実行する。

 X-Brokerでは、このサービスデリバリーコントラクトに記述されている内容を確実に実行するための機能を提供する。X-Registryに入っているサービスデリバリーコントラクトのポリシーがX-Brokerに伝達され、そのポリシーに基づいてサービスを実行するという。「X-Registry側のデザインタイムガバナンス、そしてX-Broker側のランタイムガバナンス。この2つの要素をSOAにもたせることで、全体でライフサイクルガバナンスが可能になる」(マツムラ氏)としている。

 なお、マツムラ氏は、webMethodsの買収が決まっている独Software AGについても触れ、「Software AGは、ドイツを拠点にソフトウェア業界で長年の実績をもつ成熟した企業。当社とあわせると年間7億5000万ユーロの売上高に達し、世界第2位のインテグレーションベンダーになる。Software AG自体の業績も好調で、その株価は2003年の9ユーロから2007年には63ユーロにまで高まり、約600%の成長を遂げている。当社との統合により、今後、必ずSOA市場のリーダーになるだろう」との見解を示した。



URL
  ウェブメソッド株式会社
  http://www.webmethods.co.jp/

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( 唐沢 正和 )
2007/07/11 18:48

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