Enterprise Watch
最新ニュース

SAPジャパンとアドビ、SAPアプリの操作性向上と販売強化で協業


左がアドビ、代表取締役社長のギャレット・イルグ氏。右がSAPジャパン、代表取締役社長のロバート・エンスリン氏

SAP Interactive Forms by Adobeの動作方法。あらかじめフォーマットのデザインを作成。SAPアプリケーション内のデータと連動した形で、PDFを出力。ユーザーがPDFに追加入力した情報も、再度アップロードすればSAPアプリケーションに反映される
 SAPジャパン株式会社とアドビシステムズ株式会社(以下、アドビ)は7月18日、SAPアプリケーションの操作性向上と販売強化に向けて協業すると発表した。

 両社は、2002年にアライアンス契約を締結。以降、アドビのPDF技術とSAPアプリケーションを連携させるソフト「SAP Interactive Forms by Adobe」の開発を共同で行ってきた。これは、SAPアプリケーションのフロントエンドとして、アドビのPDFやFlashといった技術を活用できるようにする製品。SAPアプリケーション内のデータを、PDF形式で出力することが可能になるため、「これまで高コストだった紙ベースの書類作成を完全にデータ化し、生産性を向上することが可能になる」(SAPジャパン、代表取締役社長のロバート・エンスリン氏)という。

 例えば、何らかの作業報告書を作成する場合を想定すると、従来は紙の用紙に手書きで作業内容を記入し、会社に戻ってからシステムに再入力するという運用方法が一般的であった。ここで、入力作業が二度手間となってしまうわけだが、SAP Interactive Forms by Adobeを利用すれば、PDF形式のフォームに一度入力をするだけ。あとはそのPDFデータを再度アップロードすれば、自動的にSAPアプリケーションにその内容が反映される。

 また、顧客名や製品名などのマスタ情報もPDFフォーム内のプルダウンメニューから選択できるようになるほか、紙とは違って計算式や関数なども埋め込むことができるため、見積もりなど計算が必要となる書類を作成する際にも大きな効果が望める。「そのほか、なるべく手入力を少なくすることで、入力ミスなども発生しにくくなる」とエンスリン氏はそのメリットを話す。

 今回の協業強化では、アドビの主要テクノロジをSAPプラットフォームに完全統合した形で出荷を開始するほか、製品の販売促進を図るため、SAPジャパン内に「アドビコンピテンスセンター」を設立。SAP Interactive Forms by Adobeのスキルを持つ両社の技術者およびプリセールス12名を配置し、7月初旬から運営を開始している。ここでは、両社共同で営業やトレーニング、マーケティング活動などを行っていく方針だ。

 具体的にはアドビが、SAPジャパンのパートナーを対象に同ソフトの特別トレーニングを実施。さらに常駐技術者を配置し、SAPジャパンの営業を支援する。共同マーケティングとしては、7月24日に開催予定の「SAP BUSINESS SYMPOSIUM」、11月に開催予定の「Adobe MAX JAPAN」など、今後の両社のイベントを共催という形で盛り上げていく。

 アドビ、代表取締役社長のギャレット・イルグ氏は、「SAPジャパンとは、お互いパートナーであり顧客であるという関係の下、信頼を築き上げてきた。今回、その関係をさらに強化することは、当社にとってはエンタープライズビジネスの拡充につながるチャンスとなるはず」と語った。



URL
  SAPジャパン株式会社
  http://www.sap.com/japan/
  アドビシステムズ株式会社
  http://www.adobe.com/jp/
  プレスリリース
  http://www30.sap.com/japan/company/press/press.epx?pressid=8030


( 川島 弘之 )
2007/07/18 15:36

Enterprise Watch ホームページ
Copyright (c) 2007 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.