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ソフトウェアAG、ウェブメソッド製品との統合計画を明らかに

レガシーモダナイゼーション戦略を本格展開

独Software AGのマーケットディベロップメント担当副社長、マット・ダーハム氏

レガシーモダナイゼーションによって、同じサービスをさまざまな形で再利用できる、柔軟なシステム構築を実現するという
 ソフトウェア・エー・ジー株式会社(以下、ソフトウェアAG)は7月18日、独Software AGのマーケットディベロップメント担当副社長、マット・ダーハム氏の来日に合わせ、プレス向けブリーフィングを開催。同社の推進する「SOAガバナンスとレガシーモダナイゼーション」への取り組みを中心に、米webMethodsとの合併にともなう今後の事業展開および製品戦略などを説明した。

 まず、ダーハム氏は、webMethodsとの合併メリットとして、1)合併によって4000以上の企業顧客を確保、2)総収益が約6億5000万ユーロ(2007年見込み)に拡大、3)北米、EMEA(欧州・中東・アフリカ)、アジア/太平洋諸国/日本を始め、東欧、南米、南アフリカ、中東などの新興マーケットにもビジネス拡大、4)グローバルな支援体制のもとプロフェッショナルサービスやサポート組織を拡大、といった点を挙げた。

 そして、「現在、企業のIT予算は70%が既存システムのメンテナンスに使われ、ビジネス革新に使われるのは残りの30%にすぎない。この比率を50:50の均衡状態にもっていき、顧客企業の事業革新を支援していくためのキーワードが、SOAガバナンスとレガシーモダナイゼーションであり、webMethodsとの製品統合によって、今後その取り組みを本格展開する。両社の技術を結集することで、現在の顧客だけでなく、新しい将来に向けた顧客にもアプローチし、サポートしていく」(ダーハム氏)との展望を述べた。

 同社の推進するレガシーモダナイゼーションとは、顧客企業において20年以上前から稼動している既存システム(レガシーシステム)を、SOA対応のモダンなシステムに置き換える取り組みで、「垂直構造で柔軟性がないレガシーシステムに対し、モダナイズされたSOA環境では、同じサービスを社内だけでなくパートナーやWeb 2.0ポータルなど、さまざまな場所で再利用できる柔軟なシステムが構築できる」(ダーハム氏)という。そして、その移行にともなう各フェーズでSOAガバナンスが必須になることから、レガシーモダナイゼーション戦略の中核としてwebMethods製品を位置づけ、Software AG製品との統合を進めていく方針。


ソフトウェアAGの湯本敏久マーケティング部長

ソフトウェアAGの福島徹代表取締役
 製品統合のロードマップについて、ソフトウェアAGの湯本敏久マーケティング部長は、「合併手続きが完了した6月の時点で、すでに両社のSOA関連製品を“webMethodsブランド”に統一しているが、今後、実際の製品・技術ベースでの統合を進めていく」としている。具体的には、12月までを第1フェーズとして、9月をめどに両社のSOA統合ソフト「webMethods」(webMethods)と「Crossvision」(Software AG)の相互運用性を確立させるとともに、両社のSOAガバナンスソリューション「CentraSite」(Software AG)と「Infravio」(webMethods)のLook&Feelを統一。2008年6月には、webMethodsとCrossvisionを1つのスイート製品に統合、CentraSiteとInfravioについてもSOAガバナンスプラットフォーム製品として統合するほか、両社の技術を融合した新たな製品も順次投入していく計画だ。

 両社の技術を組み合わせたSOA製品の第1弾としては、CentraSiteのガバナンスエディション(英語版)を9月に発売する予定。この製品は、フリー版のCentraSite コミュニケーションエディション、商用版のCentraSite エンタープライズエディションに加わる新エディションとなるもので、ダーハム氏は、「メタデータの管理に優れたCentraSiteをベースに、ポリシー管理に優れたInfravioの機能を加えることで、より充実したSOAガバナンスソリューションを提供できるようになる。顧客企業からも、CentraSiteとInfravioの両方の機能が欲しいという要望が多く、こうしたニーズに応えられる製品だ」と、レガシーモダナイゼーションの推進に向けた新製品に期待を寄せている。

 なお、プレスブリーフィングの最後にソフトウェアAGの福島徹代表取締役があいさつし、「日本法人は、昨年10月に営業を開始してから約1年が経とうとしているが、国内でのビジネスは順調に推移しており、webMethodsとの合併も決まるなど、プラスの方向で成長している。今後も、webMethodsと統合した新しい製品によって、顧客企業にビジネスバリューのあるソリューションを提供できるように活動を続けていく」と述べた。



URL
  ソフトウェア・エー・ジー株式会社
  http://www.softwareag.com/jp/

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  ・ 米webMethodsマツムラ副社長、SOAガバナンスの必要性をアピール(2007/07/11)


( 唐沢 正和 )
2007/07/18 19:14

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