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「ソフト開発環境の課題解決に変更管理ツールは必要不可欠」-Telelogic


 スウェーデンに本社を置くTelelogic ABは、エンタープライズ・ライフサイクル・マネジメント(ELM)をサポートするソリューションの提供で全世界に実績をもち、この分野のリーディング・グローバル・プロバイダとして成長を続けている。7月19日には、その中核製品となる変更管理ツール「Telelogic Change」と構成管理ツール「Telelogic Synergy」に新バージョンを投入し、さらなる市場拡大に意欲を見せている。今回は、新バージョンの発表に合わせて来日した変更管理・構成管理製品部門 プロダクトマーケティング担当副社長のドミニク・タバソリ氏に、その戦略を聞いた。


Telelogic AB 変更管理・構成管理製品部門 プロダクトマーケティング担当副社長のドミニク・タバソリ氏
―「Telelogic Change」と「Telelogic Synergy」の新バージョンを発表されましたが、テレロジックにとって今回の製品はどんな位置づけをもつのでしょうか。

タバソリ氏
 この2つの製品は、当社が中核事業として展開しているELMソリューションのキーポイントになる製品と位置づけています。実際に、これまでも変更管理ツールの市場において非常によい実績を積み重ねてきました。ガートナーグループが発表した調査結果によると、変更管理ツール市場は、そのほとんどの製品が損失を計上し、かつ成長していないのが現状です。そのなかで、テレロジックの製品は年率で15~20%という高成長を遂げています。また、これらの製品は顧客からの評価も高く、とくに「Telelogic Synergy」については、業界最高の変更管理ソリューションとしてYphise賞を3年連続で受賞しており、今年も7月20日に、4年連続の受賞が決まったとの発表がありました。


―他社の変更管理ツールが伸びていないなかで、テレロジック製品が成長している理由はなんでしょう。

タバソリ氏
 他社製品と比べての大きな優位ポイントとしては、単なる変更管理ツールにとどまらないスケーラブルな機能を提供していることがあげられます。現在、企業のソフトウェア開発環境は非常に複雑化して、多くの課題を抱えています。とくに、ソフトウェア開発チームは今、常に高品質な成果物を生み出していかなければならない状況におかれています。なぜならば、開発したソフトウェアに不具合があった場合、その問題はインターネットからすぐに広く知れ渡ってしまうからです。また、企業が競争優位性を高めていく要素として、ソフトウェアの重要度が高まっている流れもあります。携帯電話でも、ハードの性能よりもソフトウェアの品質が購入を決定する大きな要因になってきているように。

 さらに、コンプライアンスへの対応、競合他社との激しい開発競争、ワールドワイドでの複数拠点による開発環境、オフショアやアウトソーシングでの開発体制など、ソフトウェア開発をとりまく環境にはさまざまな課題があり、こうした課題を解消していくためには、エンタープライズレベルで利用できる高水準の変更管理ソリューションが必要となるのです。これをサポートできるのが当社の製品であり、変更管理と要求管理、さらにはテストにいたるまでのスケーラブルな機能を実現するとともに、プロジェクトマネージャーやチームリーダーにとっても非常に役立つ機能を提供します。とくに今回の新バージョンでは、Enterprise Change Process(ECP)パッケージが新たに追加され、より幅広い顧客のニーズに応えられるソリューションとなりました。


―ECPパッケージは、Philips Applied Technologies社と共同開発した機能を採用したものですが、その経緯を教えてください。

タバソリ氏
 Philips社は、当社と長年取り引きのある重要な顧客の1社です。同社は、すべての組織において非常に市場競争の激しい開発プロジェクトがあり、それぞれの組織のニーズを満たすための変更管理ソリューションを協力して開発してきました。その中で生まれたのがECPパッケージです。

 当社が、大企業の経営層に調査したところ、「今後は、エンタープライズレベルの変更管理ソリューションが必要だ」という意見が多くの企業から出てきました。しかし、実際は、導入に至っていない企業がほとんどです。その理由としては、「現場に受け入れられない」、「導入までに時間がかかる」、「教育ができない」、「他のソリューションと統合できない」、「企業全体で導入できるのか」など、導入にあたってさまざま懸念を抱いていることがわかりました。この結果を見て、私自身がECPパッケージを新バージョンに導入しようと決めたのです。ECPパッケージこそが、こうした経営層の懸念を解決するソリューションであり、ECPパッケージを活用すれば変更管理ソリューションの導入がスムーズにいくと考えたからです。ECPパッケージは、Philips社に導入され、現実に成果を上げている信頼性の高いソリューションであり、これによって低リスクで高い投資回収率を達成することができるはずです。


―顧客企業と共同開発した機能を製品に導入したケースは、以前にもあったのでしょうか。

タバソリ氏
 これまでも、顧客企業がカスタマイズした機能を、バージョンアップなどの際に機能追加するといった取り組みを行っています。そのために当社では、顧客企業と非常に密接な関係を保つように努力しています。具体的には、米国、ヨーロッパ、アジアの各地域で毎年、主要な顧客を集めて意見交換を行う「リーダーシップカウンシルミーティング」を開催しています。このミーティングでは、当社が顧客企業に今後の製品ロードマップを示し、顧客企業からは製品に対する要望や意見を出してもらいます。これによって、顧客企業が求めている本当のニーズを知ることができます。そして、2~3年後に必要となるであろう機能をいち早く把握し、製品開発に生かすことができるのです。顧客企業との協力体制で生の声をヒアリングし、常にそのニーズを満たす製品を提供できることも、当社の成長を支える大きな原動力となっています。


―新バージョンへの期待は大きいようですね。

タバソリ氏
 ECPパッケージを備えた新バージョンは、中・大規模企業の高レベルの変更管理ニーズに応えられる強力なソリューションです。先ほどあげたような、ソフトウェア開発環境の複雑化にともなうさまざまな課題を解決したいと考えている企業にとって、このソリューションが最良の選択になることは間違いありません。また、ソフトウェア開発環境のSOA化を図るうえでも、当社の変更管理ソリューションが必要不可欠になると確信しています。今後、当社のターゲットとしているテレコム、自動車、医療機器、金融機関の中・大規模企業を中心に、さらなる変更管理ソリューション市場の拡大を進めていきたいと考えています。


―日本市場についてはどうみていますか。

タバソリ氏
 日本市場は、アジアの中でも特別なニーズをもっていると感じています。とくに、日本市場で展開するうえで欠かせないポイントとしては、品質とコンプライアンス、そして日本語環境への対応があげられます。新バージョンでは、先ほどのECPパッケージによって、品質とコンプライアンスの部分をしっかりサポートすると同時に、新たにアジアのユニコード文字をサポートし、ほぼすべての機能を日本語インターフェイスで利用できるようになりました。この新バージョンの投入は、日本市場のさらなる活性化にも弾みがつくと期待しています。



URL
  日本テレロジック株式会社
  http://www.telelogic.co.jp/

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( 唐沢 正和 )
2007/07/23 11:10

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