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ジュニパー、セキュリティ製品向けOS「Screen OS」の「JUNOS」統合を計画

中小向けNetScreen製品はSSGシリーズに一本化、製品終息へ

ソリューションマーケティングマネージャ、中村真氏

SSG 320M/350M
 ジュニパーネットワークス株式会社(以下、ジュニパー)は7月25日、ファイアウォール/VPNアプライアンス「NetScreenシリーズ」やUTMアプライアンス「SSGシリーズ」などで利用されているOS「Screen OS」を、ルータ製品共通のOS「JUNOS」へ統合する方針であることを明らかにした。同日行われた報道向けの説明会で、ソリューションマーケティングマネージャ、中村真氏が言及したもの。

 米Juniper Networksはもともとルータのメーカーとしてスタートした企業であり、その根幹となるルータ製品には、モジュラー型OSであるJUNOSを一貫して採用してきた。一方でここ5年の間に、セキュリティ製品やSSL-VPN製品を扱う米NetScreenや、WAN最適化製品を提供する米Peribit Networks、アプリケーション最適化製品の米Redline Networksなどを次々に買収し、製品ポートフォリオを拡充している。

 その中でジュニパーは、NetScreenシリーズに代わる次世代セキュリティアプライアンスとして提供されているSSGシリーズと、企業向けのサービスルータ「Jシリーズ」のハードウェアプラットフォームを共通化する動きを進めてきた。すでに、中規模オフィス向けの「SSG 520M」と「J4350」、「SSG 550M」と「J6350」で共通プラットフォーム化が行われており、Screen OSを搭載すればセキュリティ製品として、JUNOSを搭載すればルーティング製品として使用できるという。また、9月の提供開始が予定されている「SSG 320M」と「J2320」、「SSG 350M」と「J2350」でも共通の筐体を利用することが、7月17日に発表された。

 こうして、ハードウェアではすでに共通化を実現しているが、中村氏によれば「JUNOSにもセキュリティ機能を搭載しているところで、将来的にはUTM機能も搭載する予定。JUNOSとScreenOSの両者について、“いいとこどり”で機能を統合する動きが進んでいる」とのこと。2~3年の短いスパンではなく、もっと長い期間をかけて統合が行われる計画で、将来的にはセキュリティ製品でも搭載OSはJUNOSに統一される見込みという。

 また、管理コンソールの共通化も進めていく。ポートフォリオを買収によって拡大した関係上、現状は製品ごとに管理コンソールが異なっている状態であり、NetScreenシリーズ、SSGシリーズなどの旧NetScreen系製品は「NetScreen-Security Manager(NSM)」という管理ツールを用いているが、2008年にはJシリーズもこの管理ツールで管理できるようにする。さらに、Jシリーズ向けの拡張モジュール化が計画されているWAN最適化アプライアンス「WXシリーズ」も、将来的にはNSMで管理可能とする予定であり、これが実現すれば、機能面だけでなく管理面でも複数のプラットフォームが統合されることになる。


SSGシリーズもフルラインアップそろう、中小向けNetScreen製品は近く廃番に

フルラインアップがそろったという、SSGシリーズのラインアップ。新しく提供されている製品は、Jシリーズルータとの共通プラットフォーム化が行われている
 なおSSGシリーズにおいて、より小規模向けのSSG 140と、より大規模向けのSSG 520Mの間を埋めるSSG 320M/350Mがラインアップに加わったことについて、中村氏は「これでSSGシリーズのフルラインアップがそろった」とコメント。中小規模オフィスの新規顧客については、SSGシリーズのみで提案できるようになったとした。

 SSG 320M/350Mは1000BASE-T/100BASE-TX/10BASE-Tポート×4を標準で搭載。それぞれ3基、5基のPIMスロットを備えており、1000BASE-T/100BASE-TX/10BASE-T×8、同×16、SFP×6などのPIMモジュールを拡張できる。Gigabit Ethernetポートを多数増設すれば、島HUBを不要にし、1台で中小規模オフィスのネットワークをアグリゲーションすることも可能という。

 またSSGシリーズのフルラインアップ化に伴い、既存の中小規模向けNetScreenシリーズから徐々に移行を促していく。「SSGシリーズも、NSシリーズも同じScreenOSを利用しているので、使い勝手は変わらない。性能も、SSGシリーズではすべてのUTM機能を利用できるし、スループットも旧製品より高い。(移行に伴う)混乱はないと考えている」(中村氏)と述べている。現在、大規模向けに提供されている「NetScreen 5000シリーズ」はしばらく残るため、同ブランドがすぐになくなるわけではないが、将来的にはブランド自体の切り替えも行われる予定という。

 一方管理製品では、NSMのアプライアンス版「NSMXpress」と、NSM製品群を束ねて管理するためのアプライアンス「NSMセントラルマネージャ」を同時に発表している。1台のNSMXpressでは、IDPのみで50台、ファイアウォール/VPN製品のみで500台、双方の混在環境ではIDP25台とファイアウォール/VPN製品200台までを管理可能。複数のNSM製品を設置してNSMセントラルマネージャで階層管理すれば、最大3万台のファイアウォール/VPN製品を一元管理できるスケーラビリティを備え、管理対象が増加したとしても、管理を統合して行えるインフラをきちんと構築できるようにしている。



URL
  ジュニパーネットワークス株式会社
  http://juniper.co.jp/

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( 石井 一志 )
2007/07/25 16:14

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