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マイクロソフト、エンタープライズサービス事業を強化

4つの重点項目で体制強化、3年間で人員倍増を図る

代表執行役兼COO兼ゼネラルビジネス担当の樋口泰行氏
 マイクロソフト株式会社は7月26日、7月から始まった同社新年度における重点注力分野のひとつに掲げているエンタープライズサービス事業について説明会を開催。同事業の強化策などについて明らかにした。

 代表執行役兼COO兼ゼネラルビジネス担当の樋口泰行氏は、「3年目を迎えたPLAN-Jでは、法人向けのデジタルワークスタイルと、個人向けのデジタルホームスタイルに分離し、会社組織、事業戦略、パートナー戦略をそれぞれに適した形にしていくことを掲げている。マイクロソフトは、これまでプロダクトアウトの観点からの提案が多かったが、実は、3年以上にわたって、経営レベルの高い視点での課題解決に取り組んできた。法人向けビジネスにおいては、サービスが牽引役になる。マイクロソフトのサービス部門には、MCSという精鋭部隊があり、エンドトゥエンドで提供できる体制が整っているが、7月から始まった新年度においては、さらに、サービスに対する投資を強化していく」とした。


サービスビジネスの重点項目

執行役常務 エンタープライズサービス担当の平野拓也氏
 同社では、現在250人強のエンタープライズサービス部門の体制を、今後3年間で倍増となる500人体制へと増員。さらに、「オファリングによるサービスの提供」、「基幹システム向けサービスの提供」、「パートナー連携の強化」、「製品品質、機能の向上」の4点を重点項目として取り組む姿勢を示した。

 「オファリングによるサービス(パッケージ化されたサービス)の提供」では、わかりやすさと使いやすさの追求を掲げ、パッケージ化されたサービスにより、プロジェクトの具体的な成果を顧客、パートナー各社に明示するとともに、新製品や新技術におけるリスクを低減する。

 「現時点では、お客様ごとに個別のコンサルティングやサポートを提供してきているが、サービスに対する顧客の期待と満足を維持できないのが実態。また、プロジェクトやサポートが複雑化し、カスタマイズ化によるコストが増加するという問題に直面している。こうした課題を捉え、今年度は適正な価格体系を示すとともに、顧客や市場で有効であったサービスをベースに、IP化およびオファリングの開発を目指す。これを、顧客やパートナーに対して提供していく」(執行役常務 エンタープライズサービス担当の平野拓也氏)とする。

 同社では、長期的なIT投資計画の策定を行う「ITアーキテクチャ&プランニング」のほか、データ保護などまでを含む「コアインフラストラクチャ」、コラボレーションやBIなどの「ビジネスプロダクティビティ」、ビジネスプロセス、SOAなどの「アプリケーションプラットフォーム」、ERPやCRMの展開ノウハウなどの「ビジネスアプリケーション」、業種ごとのサポートとなる「業種特化ソリューション」、運用フェーズまでを含む「サポート&ヘルス」という7つのサポートラインを定義し、このなかに当てはまるオファリングを開発するという。

 「国内のみならが、海外の成功事例も取り入れ、日本の市場に合致した形で提供していく」(平野執行役常務)とした。

 リリースを計画しているオファリングとして、「アプリケーションライフサイクルマネジメント」、「アーキテクチャ&プランニングアドバイザ」、「エンタープライズサーチ導入のためのOffice SharePoint Server 2007の展開」、「Windows Vistaと2007 Office Systemによるデスクトップ最適化」をあげ、これらは、今後6~9カ月以内に提供。今年度中には、最低でも10個のオファリングを取り揃える予定だという。


オファリングが目指すもの 7つのサポートライン リリース予定のオファリング

 「基幹システム向けサービスの提供」では、本社製品開発部門やパートナー各社との連携し、Windowsプラットフォームベースでのミッションクリティカルシステムの設計(要件定義、基本設計)、開発(詳細設計、開発)、展開(テスト)、運用までをカバーする包括的サービスを提供する。

 「局所的なサービスではなく、包括的なサービスを提供してほしいという顧客の声があり、MCSとプレミアサポートとの連携によってこれに対応する。米国の開発部門とも連携し、日本のチームとのコラボレーション体制も取れるようにしているほか、パートナーともノウハウを共有していく。マイクロソフトのここ数年の積み重ねをベースにして、体制をさらに整えて強化していく」とした。

 「パートナー連携の強化」としては、マイクロソフトが持つ知的財産をパートナー各社に対して積極的に提供することで、技術移転を推進し、パートナー各社のビジネスを支援する。パートナーの協業推進のために専任チームを設置する計画も明らかにした。

 「製品品質、機能の向上」では、「お客様本位の品質改善活動の推進」を掲げ、TAP(早期導入プログラム)などを通じて、顧客およびパートナー各社との協力関係を深め、製品開発および運用の各段階における製品品質および機能の向上を図るとした。

 「製品開発、製品展開、製品運用のすべてにおいて、品質向上を図る。早期導入プログラムなどにより、利用ノウハウの共有や、課題の改善などに生かす。この点では、いまは次期Windows Serverや次期SQL Serverが対象になる」とした。


基幹システム向けサービスの提供 パートナー連携の強化 製品品質、機能の向上

執行役専務 エンタープライズビジネス担当の平井康文氏
 一方、執行役専務 エンタープライズビジネス担当の平井康文氏は、One Microsoftの観点から、エンタープライズ事業を説明。「現在、マイクロソフトでは、業種別の顧客対応を図り、業種別の担当営業、担当SE、インダストリースペシャリストを配置している。これらのチームとサービス部門との連携によって、エンタープライズユーザーの満足度向上に取り組む。サービスラインと業種、職種といった角度から顧客をサポートしていく。満足度が高い顧客は、MCSやプレミアサポートと緊密な連携ができている例が多い。サービス部門との連携で、広義の意味でアカウントチームを形成したい」とした。

 なお、同社では、サービス事業における具体的な事業目標については明らかにしなかったが、「3年で人員を倍増させるという観点からは、これに沿った事業拡大が見込まれる」(平野執行役常務)とした。




URL
  マイクロソフト株式会社
  http://www.microsoft.com/japan/
  プレスリリース
  http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=3143


( 大河原 克行 )
2007/07/26 17:08

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