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富士通、2007年度第1四半期は147億円の赤字-会計方針変更の影響で


代表取締役副社長CFOの小倉正道氏
 富士通株式会社は7月26日、2007年度第1四半期の連結決算を発表した。売上高は前年同期比639億円増の1兆1668億円、営業利益は同116億円減の29億円、経常利益は同28億円減の34億円。当期純損益は前年同期から154億円悪化して147億円の赤字となった。

 ただしこれは、「会計方針の変更を実施し、特別損失250億円などを計上した結果」(代表取締役副社長CFOの小倉正道氏)であり、この影響を除くと、当期純利益は6億円の黒字だという。なお4月公表値と比べると、売上高は168億円、営業利益は29億円、それぞれ上積みしているとのこと。

 セグメント別にみると、テクノロジーソリューションの売上高は前年同期比5.2%増の6831億円、営業利益は同15億円増の39億円と増収増益。このうちシステムプラットフォーム分野は、売上高が前年同期比12.2%減の1406億円、営業損益は前年同期から53億円悪化した111億円の赤字になっている。

 国内ではIAサーバーを中心に堅調に推移し、海外では米Sunとの統合ブランドによる新しいUNIXサーバーの販売開始などによって増収となった。しかしネットワークプロダクトが、顧客の投資の一巡と投資環境の変化の影響を受け、基地局、光伝送システムで伸び悩んだ。営業利益は、ネットワークプロダクトの減収影響や、Super 3Gの無線基地局での先行投資、英国での次世代ネットワークの開発負担などが継続した関係で赤字幅が膨らんだ。

 テクノロジーソリューションのサービス分野は、売上高が前年同期比10.9%増の5425億円、営業利益が同69億円増の150億円。増収に加えて、国内SI事業でもプロジェクト損益の収益性向上などによって増益を達成した。

 ユビキタスプロダクトソリューションでは、売上高が前年同期比8.8%増の2746億円、営業利益が同22億円増の123億円。HDDで価格競争が継続したが、携帯電話や海外向けPCで伸長した。

 デバイスソリューションは、売上高が前年同期比5.1%増の1890億円、営業損益は150億円悪化した36億円の赤字となっている。所要回復が遅れているLSIの基盤ロジック製品は減収となったが、先端ロジック製品は三重工場第1棟の増産効果などで増収となった。一方で、先端ロジック製品の減価償却費や開発費の増加をカバーできず、また基盤ロジック製品における操業悪化の影響もあり赤字となった。

 また富士通では、会計方針の変更影響を加味し、中間・通期の業績見通しを修正した。中間期については、当期純損益を期初の見通しから200億円下方修正し、200億円の赤字へ変更。一方通期は、営業利益を50億円増の1950億円、経常利益を100億円増の1600億円と上方修正したものの、当期純利益は100億円減の650億円へ下方修正している。

 なお、この会計方針の変更については、「これまでは日本基準が許容する範囲で国際財務報告基準との整合性をとってきたが、この取り組みの一環として当年度では、ビジネス管理の仕組みの見直しとあわせて、棚卸資産評価基準、有形固定資産の減価償却方法などの変更を行った」(小倉氏)と説明している。



URL
  富士通株式会社
  http://jp.fujitsu.com/
  2007年度第1四半期連結決算概要
  http://pr.fujitsu.com/jp/ir/finance/2007q1/


( 石井 一志 )
2007/07/27 00:00

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