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「企業のIT化が遅れている日本にはビジネスチャンスがある」マイクロソフト社長

Microsoft Tech・Ed 2007 Yokohama基調講演

 マイクロソフト株式会社主催の技術者向けカンファレンス「Microsoft Tech・Ed 2007 Yokohama」が8月21日から4日間、横浜市のパシフィコ横浜で開催されている。初日には、同社代表執行役社長のダレン・ヒューストン氏および米Microsoft Windows Serverプログラム マネージメントディレクターのイアン・マクドナルド氏が登壇し、「Dynamic IT for the People-Ready Business」と題した基調講演が行われた。


代表執行役社長のダレン・ヒューストン氏
米Microsoft Windows Serverプログラム マネージメントディレクターのイアン・マクドナルド氏

ITエンジニアを支援する「Power to the PRO」
 3度目の基調講演となるヒューストン氏は、これまで行ってきたPlan-Jによる取り組みで日本への投資を積極的に行ってきたと説明。「デジタルライフスタイルは先進的ではあるものの、デジタルワークスタイルに関しては、欧米に比べ遅れている。生産性という点では、欧米の半分程度」と指摘。

 特に日本企業でまだまだ使われているメインフレームなどのレガシーシステムが事業継続性の面で問題を与えているとした。「しかし、逆に言えば日本市場には大きなチャンスがあるといえる。IT活用を推進することで、生産性の向上を実現可能だ」と、ビジネスチャンスがあると述べた。

 こうしたチャンスを生かすためにも、ITエンジニアの役割は大きいと説明する。「昨年、この場でITエンジニアの職場を3Kから楽しいものにすると発表したが、今年はそれをすすめ、4S(Skill、Solution、Satisfaction、Synergy)をキーワードに支援していく」と、ITエンジニアに対するコミットメントを発表した。


 続いて登壇したマクドナルド氏からは、「仮想化と統合」「プロセス主導・モデル主導」「サービスの実現」「ユーザー視点」の4つをテーマに、Windows Server 2008などこれから発売される製品のデモを交えながら説明が行われた。

 仮想化と統合では、Windows VirtualizationやVirtual PCなどOSレイヤーの仮想化のほか、SoftGridによるアプリケーションレイヤーの仮想化、Windows Terminalによるプレゼンテーションレイヤーの仮想化の、3つのレイヤーで取り組んでいると説明。「現状では、システム全体の5%程度が仮想化されているのみだが、今後増加していくだろう。Microsoftとしては、この仮想化分野に積極的に投資していく」と、同社として最優先の事項として取り組んでいるとした。

 また、サーバー統合の特長的な機能として、ダイナミックパーティショニングを紹介。稼働しているサーバーを停止することなく交換可能なホットリプレースや、負荷状況に応じて再起動することなくCPUの追加が可能なホットアドなどの機能を紹介した。

 プロセス主導・モデル主導では、ビジネスアナリストが設計したものを、いかに容易に開発者が開発できるかという点に注目していると説明。問題発生時に一カ所ずつ問題を洗い出すという作業から、モデル化により問題点を視覚的に把握できるSystem Centerでの管理方法などを紹介した。


リレーションシップを設定することで、簡単にモデル化を実現 障害個所などはモデル図で容易に判断可能。また、クリックすることで解決策なども表示される

 サービスの実現では、SQL Server 2008などサービスを実現するアプリケーションプラットフォームの重要性を紹介。SQL Serve 2008で新たに採用された宣言型管理フレームワークでは、ポリシーを事前に設定することで、テーブルの作成やデータベースの作成などを自動的に管理することが可能になると紹介。これにより、データベースに求められるIT統制を容易に実現できるとした。

 ユーザー視点では、Visual Studio 2008によるユーザー視点のUI開発が容易に行える点を紹介。たとえば、Webアプリケーションで使われるAjaxなどをタグベースで開発でしたり、インテリセンス機能を利用したJavaScript開発支援機能など、開発そのものの品質向上を支援する機能を強化している。また、Visual Studio 2008では、Outlook用のアドイン開発環境を用意するなど、Office 2007とシームレスな統合を実現している点なども強調した。

 製品の具体的な出荷日は発表されなかったが、「System Centerはまもなく出荷される。Windows Server 2008とVisual Studio 2008は年内に開発が完了し、来年2月にはSQL Server 2008とともに発表できるだろう」(マクドナルド氏)と語った。


ポリシーに違反したコードは実行されず、問題点が表示される 航空機のチケット予約サイトの例を紹介し、ビジネス利用でもSilverlightは有効とアピール ロードマップ


URL
  マイクロソフト株式会社
  http://www.microsoft.com/japan/
  Microsoft Tech・Ed 2006 Yokohama
  http://www.microsoft.com/japan/teched/

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( 福浦 一広 )
2007/08/21 17:22

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