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「WiMAXで2010年には全所帯にブロードバンド環境を」-WiMAX Forum

日本オフィス代表らが国内の活動を説明

WiMAX Forum マーケティング担当副代表のモハンマド・シャクリ氏
 WiMAX Forumは9月3日、日本オフィスの活動に関する記者説明会を開催。国内におけるWiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)活動の近況などが説明された。

 WiMAXとは、IEEE 802.16-2004、IEEE 802.16e(Mobile WiMAX)などの規格に代表される、ブロードバンド利用が困難な地域での通信手段として期待される無線通信技術の一規格。その製品の相互接続性を確保するために活動を行うのが、2003年4月に設立された業界団体・WiMAX Forumだ。2006年6月21日には日本オフィスが設立され、代表に東京大学名誉教授の齋藤忠夫氏、副代表に慶応技術区大学大学院 政策・メディア研究科教授の小檜山賢二氏(技術担当)、およびインテル株式会社 研究開発本部主幹研究員の庄納崇氏(企画担当)が着任している。

 説明会ではまず、同Forum マーケティング担当副代表のモハンマド・シャクリ氏が登壇。WiMAXが現状のインターネットモデルのネットワークを実現するなどと発言した。「YouTubeなどをはじめとした昨今のインターネットサービスの急増によりトラフィック量は日々増えている。また複雑なサービスゆえに価格設定をどうするか、コンテンツ管理をいかに行い、どう収益につなげるかといった点が問題となっている。現状では、残念ながらインターネットへの投資とそれによる収益が比例していない。WiMAXが新しいアプリケーションとデバイスを実現することで、こうした点を克服できるかもしれない」(同氏)。

 さらにWiMAXの加入者予想にも触れ、全世界で2012年には5000万人に及ぶとし、2007年の夏が終わるころには同Forumの参加会員メンバーを500社にまで増やすことが目標と述べた。


KDDI、執行役員技術渉外室長の沖中秀夫氏

日本オフィス代表、東京大学名誉教授の齋藤忠夫氏
 続いて同Forum ボードメンバーのKDDI株式会社より、執行役員技術渉外室長の沖中秀夫氏が登壇。「日本のモバイルは、日本に閉じており、ワールドワイドに成功しているとはいえない。それに対して、各国で相互接続性の検証が進み、周波数も2.5GHz近辺に集約できるWiMAXは、一気に普及する可能性がある」(同氏)と発言。WiMAX Forumについて、「日本ではとっつきにくい団体かもしれないが、日本オフィスを設立したことで、今後はメディアなどへの露出なども増やして認識を改善していくことができるのでは」などと語った。

 続いて、「WiMAXが一気に普及するには、何よりもWiMAX製品間での相互接続性が重要」と語ったのが日本オフィス代表の齋藤氏。同Forumの目標が、まさに世界で共通に使えるBWA環境の実現にあると説明した上で、そのためには世界共通の無線規則やサービス提供におけるオープン性が必要であると指摘。

 「各社がWiMAXを取り入れた製品を作る際、規格に準じていれば接続できるというものでもない。実際のところは、実装後のコンフォーマンステストや相互接続試験をしてみなければ分からないのが現状。今後は仕様を標準化したのち、プロファイリングを行って、この仕様であれば必ず接続可能というものを作る必要がある」(齋藤氏)。

 その結果、「2010年には国内のすべての所帯でブロードバンドが利用できる環境が整うだろう」(同氏)と語った。


日本オフィス副代表、インテル 研究開発本部主幹研究員の庄納崇氏
 続いて登壇した日本オフィス副代表の庄納氏は、日本オフィスの近況を報告。「ワールドワイドで500名のメンバーに拡充するのが目標という話があったが、現在すでに491社で、目標はもう目前。日本オフィスでも20社のメンバー企業がすでに名を連ねている」と活動の順調さを物語った。

 また日本オフィスの目的は、「WBAをいつでも、どこでも使えるように国内におけるWiMAXの技術とサービスの普及促進を図ること」と説明。そのために当面は、全国規模でのWiMAX展開をめざした活動に重点を置くとした。

 具体的な組織形態としては、日本オフィスの配下に「テクニカル&レギュラトリーWG」「アプリケーション&マーケティングWG」の2つのワーキンググループが配置済みだという。

 テクニカル&レギュラトリーWGでは、オープンなWiMAXネットワークの普及に障害となる規制の問題や技術的な課題を明らかにするとともに、その解決策を見いだし、規制当局への働きかけを任務とする。具体的には、端末スペクトルマスクの国際的調和や電波利用料、ユーザー認証・端末認証などの課題を解決していく。一方のアプリケーション&マーケティングWGでは、魅力的なアプリケーションを見いだすとともに、積極的なマーケティング活動を行うことが任務となる。10月第1週にはセミナーを予定するほか、さまざまなイベント企画を行っていくという。

 「こうした活動に関して、本日語った内容の詳細をホワイトペーパーとして発行もしている。日本オフィスの設立と並行して、現在Webサイトの準備を進めているが、そちらからダウンロードできる。今回話し足りなかった所々に関しては、ホワイトペーパーで補完して頂きたい」(庄納氏)。


組織図 日本オフィスメンバー企業


URL
  WiMAX Forum
  http://www.wimaxforum.org/


( 川島 弘之 )
2007/09/03 15:50

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