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「XenSourceで新たな仮想化市場を開拓」-CitrixテンプルトンCEO


米CitrixのCEO、マーク・テンプルトン氏
 シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社は9月5日、米CitrixのCEO、マーク・テンプルトン氏の来日に伴う記者会見を開催した。Citrixは8月に、オープンソースの仮想化ソフト「Xen」関連ビジネスを手がけるXenSourceを買収しているが、この件についてテンプルトンCEOは、「さまざま行ってきた投資を、数倍に拡大する意味がある」などと述べた。

 テンプルトンCEOは会見の中で、自らのCitrixでの12年について「今まで何をやってきたのかを振り返るなら、アプリケーションの仮想化をしてきた」と話す。そのために、仮想化におけるもっとも幅広い品ぞろえを技術面で持つことが、同社にとって非常に重要なことだったとのことで、テンプルトンCEOは「だからこそ、インフラの中でアプリケーションとユーザーをつなぐことを、もっとも柔軟に、コスト効果のある形で、もっとも高い性能で、しかもセキュリティを担保した形で、ユーザーに実現していただけるのだ」と述べた。

 このようなアプリケーション仮想化の市場では同社は非常に大きなポジションを占めているが、さらにサーバー仮想化、デスクトップ仮想化という2つの市場にも、積極的に参入しようとしている。そのための大きな武器になるのが、XenSourceだったというわけだ。

 テンプルトンCEOは、「Citrixには、お客様に対して大きく手を伸ばしてソリューションを提供できる能力があるし、チャネルパートナーや、マイクロソフトなどの戦略的パートナーに対しても手の届く位置にある」と、自社の強みを述べるとともに、「XenSourceはコアとなる技術があり、当社やパートナーが必要としている強い製品があり、マイクロソフトとの強い関係もある」と、XenSourceの強みに言及。「非常に大きな顧客ベースに対し、優秀なパートナーの力を借りて、パワフルな製品を納入することが実現する」とした。

 「IDCによれば、(アプリケーション、サーバー、デスクトップの各仮想化の)3市場を合わせて5年後には80億ドル市場になるという。もっとも成長著しいのがサーバー仮想化だが、デスクトップ仮想化もそれに次ぐ可能性がある。このように市場だけを見ても大きなチャンスがあり、潜在的なチャンスもあるだろう。また、ネットワークを介してアプリケーションをデリバリする、完全なインフラを作り上げるという戦略的な構想を強化することにもつながる。この買収は当社にとって、さまざまな意味での成長をもたらすだろう」(テンプルトンCEO)。


 サーバー仮想化分野では、米VMwareが大きな競合として存在する。これについてテンプルトンCEOは、機能面で一歩譲ることは認めつつ「設定がシンプルで導入が速い、管理が容易、所有コストが低減できる」といったメリットを挙げ、「必要な機能性は備えているので、シンプルかつ高性能、コスト効果を求める顧客向けには十分だと思う。選択肢を増やすことも顧客にとって重要だ」と語っている。

 なおテンプルトンCEOは、Xenのオープンソースコミュニティについて、支援を継続することを明言した。仮想化を車に例えた同CEOは、「(オープンソースで開発されているXenの)ハイパーバイザーはいわばレース用のエンジンで、XenSource製品はその周りに部品を取り付けた車そのものにあたる。車を買うときには、速さや乗り心地などをもとに選ぶだろうが、その根底には高性能・高信頼のエンジンが搭載されているということももちろんあるだろう。当社では積極的に支援を行い、今後もエンジンが十分な性能と信頼性を発揮できるようにしていく」と述べた。Citrixでは、体制を整え、オペレーションを明確にするなどの目的で、組織を法人化することなども視野に入れて検討を進めている。



URL
  シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社
  http://www.citrix.co.jp/

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( 石井 一志 )
2007/09/05 18:05

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