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郵政公社4万人がSaaSユーザーに、日立ソフトとセールスフォースがシステムを構築


日立ソフト 産業システム事業部 事業部長の植村明氏

セールスフォース代表取締役社長の宇陀栄次氏
 日立ソフトウェアエンジニアリング株式会社(以下、日立ソフト)と株式会社セールスフォース・ドットコム(以下、セールスフォース)は9月6日、日本郵政公社向けにセールスフォースのSaaSプラットフォームを採用した「お問い合わせ等報告システム」を日立ソフトが構築したと発表した。利用ユーザー数は4万人と、SaaS利用数で世界最大規模になる。

 日立ソフトが構築したお問い合わせ等報告システムは、セールスフォースの「Salesforce Platform Edition」を基盤として構築したシステム。Salesforce Platform Editionは、Salesforceで提供されているCRMなどのアプリケーション部分を取り除き、SaaSのプラットフォーム部分を提供するサービス。今回、Salesforce Platform Editionを採用したことで、開発期間の短縮・導入コストの削減に加えて、今後のカスタマイズを容易に行えるシステムとなったと説明する。

 日立ソフト 産業システム事業部 事業部長の植村明氏は、「今回構築したお問い合わせ等報告システムは、郵便局の窓口や本社・支社で行われた対応を記録するもの。これを利用することで、現場の声を集計し分析することができる。また、ログイン管理や監査証跡の記録による内部統制の強化や、Salesforceが提供する高いセキュリティ機能を利用できるのも特長」と紹介。Salesforceを基盤としたことについては、「開発後にソフトの改変を行うことなく機能のカスタマイズが行えるため、導入後に現場のニーズにあわせた変更が容易に行えることが選択のポイント」とした。


システムの概要 システムの特長 システム開発における両社の役割

 6月22日に6億1000万円で落札し、8月末には開発を終了している。「従来の開発方法の場合、プラットフォームの選択から始めると1年以上の期間が必要。今回の開発は10名体制で行ったが、従来型であれば10倍以上の人数が必要」と、開発期間においてもコスト面でも有効だったと説明する。

 なお、今回の落札価格には、開発費・保守費のほか、19カ月分のSalesforce Platform Editionのライセンス料が含まれている。セールスフォース代表取締役社長の宇陀栄次氏は、「定価ベースでみると3分の1くらいのライセンス料となっているが、これは利用人数が多いことと、機能を限定して利用しているという点で設定している」と説明する。

 植村氏は、「2006年よりSaaS事業を手がけており、今年に入ってからはSalesforceに対応した独自サービスも発表している。今後は、SaaSの特長を生かしたトータルサービスを提供していく」とした。

 宇陀氏は、「弊社にとっては、大手である日立ソフト様がサービスを提供していただいたことと、SFAとしてではなくプラットフォームとしてSalesforceを採用していただいたことが大きなポイント。CRMやSFAでは企業の10%程度でしか利用されないが、プラットフォームとして利用されることで多様なユーザーが利用できるようになる。また、パートナーにとってもソリューション展開できるメリットも大きい。今回の郵政公社様での導入は、プラットフォームとしての利用が大きなビジネスにつながることを証明したといえる」と、SaaSの新たな可能性を開いたとした。



URL
  日立ソフトウェアエンジニアリング株式会社
  http://www.hitachi-sk.co.jp/
  株式会社セールスフォース・ドットコム
  http://www.salesforce.com/jp/
  プレスリリース
  http://www.salesforce.com/jp/company/news-press/press-releases/2007/09/070906.jsp


( 福浦 一広 )
2007/09/06 13:47

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