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スパム対策サービスは本当に有効か?-バウンシングバック認証のユーザーに聞く


 迷惑メール(スパム)の被害は海外から深刻化したが、ここ数年、国内でもその被害は大きくなっており、対策ソリューションも数多く提供されるようになった。対策手法としてもさまざまなやり方が存在するが、その1つに「バウンシングバック認証」という方法がある。これは、初めてメールを送ってきたユーザーからのメールを一度保留して、送信者自身に認証作業をしてもらい、その後に送り先へ届けるという方法で、ネオジャパンのASPサービス「Opt Plus」などで利用されている。今回はそのOpt Plusのユーザーであるキズナジャパン株式会社 代表取締役の高崎義一氏に、バウンシングバック認証の効果を聞いた。


キズナジャパン 代表取締役の高崎義一氏
―まずキズナジャパンがどんな会社なのかについて、読者に教えていただけますか?

高崎氏
 「勤怠管理というキーワードでナンバーワンになりたい!」と思って会社を設立してから12年間、勤怠に関わるソリューションを徹底的に追求してやってきました。当社のサービスには、同じジャンルの会社にはないさまざまな機能があります。例えば、勤怠というとふつうは労働時間の管理がメインで、人件費の管理まではできないのですが、当社ではそれができる。こうした強みもあって、サービス業での利用がかなり多いですね。また、OEMでの提供も行っており、キングジム、ソニー、富士ソフト、DIS、OKIといった企業のサービスで当社のエンジンが利用されています。


―そもそも、スパム対策製品を導入したきっかけは何だったのでしょうか?

高崎氏
 当社ではネオジャパンのグループウェア「desknet's」をもともと6~7年使っていて、ビジネスパートナーでもありますので、スパム対策製品もテストで導入してもらっていたんですね。でも、最初のうちはまったく使っていなかった(笑)。

 それが先日、総務省などがスパムに対して本格的な対策をするというニュースをテレビで見たんですが、そこでたまたまネオジャパンの方がインタビューに答えていて、それで、「そうだ、うちにも対策製品が入っているはずじゃないか」ということを思い出したわけです。


―忘れていたということは、スパムによる被害はなかったんですか?

高崎氏
 いえ、スパムの処理にはとても苦労していました。毎日、PCを起動してから15~20分はスパムを削除する時間だったんです。10年以上も使っているメールアドレスですから、国内外のいろいろなところからスパムが来るんですが、プライベート用と違って仕事で使っているものですと、なかなか変えられない。そんな状況だったので、思い出してから、すぐ事業者に連絡して設定を教えてもらいました。


―対策製品の導入にあたって、不安はありましたか?

高崎氏
 ASP型でしたので、特にはありませんでした。ASP型サービスの魅力というのは、すぐに使えるということ。また実際に試してみて、いいか悪いかを判断でき、その上で購入できます。当社もASPをやっており、初期費用がいらない、いつでも始めていつでも解約できる、といったASPの良さはよく分かっていますからね。パッケージ版であっても試用版などはありますが、機能制限があることが多いですし、ASPならではの良さはなかなかまねできません。


―バウンシングバック認証の効果のほどはいかがでしょう。

高崎氏
 実際に使ったらスパムはほとんどゼロ、いっさいこないと言っていい状況ですね。導入前は、土日にメールを使わないで月曜の朝に会社へ来たら、だいたい300件のメールが来ていました。それが今朝は、金曜の夕方以降のメールを含めて50件ほどです。朝、時間をかけてスパム対策の作業をしなくてよくなったので、非常に効率が良くなりました。


―300通と50通ということは、つまり以前は250通がスパムだったということですね。

高崎氏
 そうです。今は本当に来なくなりました。


―社内では、どのように利用されていますか?

高崎氏
 導入時には全員を集めて簡単な研修を行って、使い方の説明をしました。簡単なものなので、それで理解してくれましたね。現在、従業員が20数名いますが、すべての人間がこのサービスを使っていて、効果に納得してくれているようです。

 また、問い合わせ用アドレスについても設定はしていますが、ルールを緩くしてあります。ここは、初めてのお客様がコンタクトをしてくるアドレスであり、そのメールが届かないと困りますから。


Opt Plusのユーザーに初めてメールを送ると、バウンシングバック認証を求めるメールが送られてくる

バウンシングバック認証の画面。こちらから認証を行うと、保留されていたメールが送り先に対して送信される
―全社で効果的に利用されているということですか。それでは逆に、使ってみて悪かった点があれば教えてください。

高崎氏
 不満は特にないのですが、そうですね。たまに、初めて名刺交換した方からメールをいただくときに、(Webにアクセスして)承諾していただく作業が必要になるのですが、ほとんどの方は初めてご覧になる画面なので、それについて「これは本当に承諾していいの?」という確認の電話をいただくことがあります。今までの1カ月で2件くらいですかね。

 それ以外は、本当にスパムが来なくなっているので、不満はありません。認証せずにはじかれたブラックリストの件数が1カ月ちょっとで1700件すでにありまして、それを見るだけで、これだけスパムが来ているんだなぁというのがわかります。以前はそれをいちいち消していたんだと思うと、気が遠くなるような話ですね。


―なるほど、効果に納得されているわけですね。お話にあるように、バウンシングバック認証では相手の方に認証してもらうことが必要になりますが、そのために必要なメールが届かなくなったなど、何かトラブルが発生したことはありませんか?

高崎氏
 私がもともとメールアドレスを知っている人については、あらかじめホワイトリストにいれてしまっているので、これまで通りでメールを受信できています。リストの中に、なぜか変なアドレスがいくつか登録されていたので、チェックしたのはいい機会でした(笑)。

 また、お客様のメールがスパムと判定されてはまずいですから、いったん保留されたメールを閲覧する機能から確認をしていますが、今のところ誤判定されたメールはないようです。


―御社では、こうして効果的に使っていらっしゃいますが、ほかの企業に対してお勧めできるものなのでしょうか?

 はい。実際にはまだ積極的に勧めたことはありませんが、十分な効果が上がっていますし、問題ないと思いますよ。(バウンシングバック認証に)課題があるとすれば、まだまだ普及していないことですから、広がってくれればうれしいですね。みんなが返信の承諾をすることを知ってしまえば、いちいち電話がかかってくることもなくなります(笑)。


―ありがとうございました。



URL
  株式会社ネオジャパン
  http://www.neo.co.jp/
  キズナジャパン株式会社
  http://www.kizuna.co.jp/

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