Enterprise Watch
最新ニュース

「Microsoftの仮想化製品と比べ信頼性の高さが強み」-米VMware CEO


 今年で4回目となる米VMware主催の仮想化関連イベント「VMworld」。今回は過去最大の1万人以上の参加者を集めており、仮想化技術への関心の高さが伺える。日本でも、これまでのテストフェーズから導入フェーズに移行するなど、仮想化が身近なインフラとして定着しつつある。今回、基調講演直後に米VMwareプレジデント兼CEOのDiane Greene氏に、同社の戦略や今後の方向性に関して話を伺った。


米VMwareプレジデント兼CEOのDiane Greene氏
―8月にIPOされましたが、IPOで得た資金はどのように使われたのでしょうか。また、今後どのように使う予定でしょうか?

Greene氏
 IPOで得た資金ですが、(親会社である)EMCに対して配当金という形で支払ったほか、今後のM&Aで利用する予定です。

 M&Aの対象分野としては、仮想化技術に関するものになります。たとえば、今回発表したコネクションブローカーのVMware Virtual Desktop Manager 2は、買収したPropiro社の技術を採用した製品です。このように仮想化とのマッチングのよい分野を対象としています。


―IPOとほぼ同じ時期にCitrixのXenSource買収が発表されました。この件についてはどのような感想をお持ちでしょうか?

Greene氏
 Citrixとはパートナーの関係にあります。ただ、今回の発表により、Citrixはわれわれを競合とみているようです。しかし、製品面ではまだまだ比較にならないとおもいます。たとえば、VMwareではサーバーだけでなくデスクトップ製品も用意するなど仮想化のスーパーセットを持っています。しかし、XenSourceはまだまだです。ハイパーバイザそのもののレベルでも同様です。


―Microsoftはどうでしょうか? Windows Server 2008にバンドルする形でWindows Server Virtualizationを提供する予定ですが。

Greene氏
 VMwareの製品は、仮想化製品ではもっとも信頼性のあるものです。Microsoftの発表内容を見ると、VMotionのような仮想化で必要とされる機能すべてを提供するわけではなさそうです。

 われわれとしては、仮想化の市場は大きな市場と見ています。どちらかが残るというのではなく、両社が共存できるだけの規模はあるのではないでしょうか。Microsoftの動きについては、引き続き注目しています。


―今回、VMware ESX Server 3iを発表されましたが、今後の製品計画はどのようになっていますか?

Greene氏
 次期バージョンは作業中であり、まだ発表できる段階にはありません。いえるのは、コスト面でのさらなる効率化、信頼性の向上、そしてよりセキュアなものを目指して開発しています。

 既存製品との互換性は引き続き維持します。次期バージョンを待つ必要はありませんので、導入を検討している企業は今すぐ買うことをお勧めします。いち早く使うことで、VMwareの持つROIの高さなどを実感できるでしょう。


―ソフトウェアのライセンス体系に不安を抱いて導入を敬遠しているユーザー企業もいるようですが?

Greene氏
 VMwareでは、500以上のソフトウェアをサポートしています。その中でも、SAPやIBM、Microsoftといった有名なソフトウェアベンダーは、すでに仮想化を意識したライセンスモデルを採用しています。仮想化に未対応のベンダーとしては、Oracleがありますが、今後解決されるとおもっています。


―VMworldの基調講演では、クアッドコアOpteron搭載マシンを用いてVMware ESX Server 3iのデモを行っていました。ハードウェアベンダーとは密に協力されているのでしょうか?

Greene氏
 その通りです。パートナーとは相互依存の関係で開発を行っています。プロセッサベンダーであれば、新製品でどのような変更があるのかを確認しながら作業を行っています。またハードウェアベンダーとは、製品出荷のタイミングでVMwareの対応を表明できるように準備を行っています。今回のクアッドコアOpteronの場合も同様です。


―日本市場の動きについてはどのように見ていますか?

Greene氏
 日本市場に進出して7年が経過しましたが、多くの企業が(システムの)近代化を進めているといった印象を受けています。特に富士通やNECといったサーバーベンダーが仮想化を積極的に推し進めていただいています。詳しいことは、(日本法人社長の)三木に説明していただきます。

三木泰雄社長
 ここ数年でみてみると、昨年は仮想化に対して関心を示し、各社製品を比較・検討しているといった印象です。それが最近では、今導入したいという顧客が増えています。日本でも導入フェーズに入ったといえるのではないでしょうか。



URL
  米VMware
  http://www.vmware.com/

関連記事
  ・ 米VMware、USBメモリから起動可能な仮想環境「VMware ESX Server 3i」を発表(2007/09/12)


( 福浦 一広 )
2007/09/12 12:59

Enterprise Watch ホームページ
Copyright (c) 2007 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.