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マイクロソフト五十嵐氏に聞く、ORACLE MASTERリクルートキャンペーンの真実


 マイクロソフト株式会社は、SQL Server拡販のための各種施策を9月4日に発表した。ライバルであるオラクル製品への対抗策を前面に出すなど、かなり刺激的な内容となっている。今回の施策の背景などについて、同社サーバープラットフォームビジネス本部 業務執行役員 本部長の五十嵐光喜氏に話を伺った。


―今回の施策を見ると、オラクルが持つ市場を奪う戦略に見えるのですが、いかがでしょうか?

五十嵐氏
 それについては、イエスであり、ノーでもあります。

 われわれは、既存のパイを奪うだけではなく、新たなパイを作りたいと考えています。それが今回の施策のひとつの柱に挙げているBIといった新しいマーケットであり、次世代システムの提案でもあります。BIの場合、企業の全従業員が利用するとなると、既存のデータベースだけでなく新たなデータベースが必要になります。BI機能を提供するSQL Serverはこうしたニーズに対応できます。単純にオラクルから移行するといった需要だけを狙ったものではありません。


―ORACLE MASTER取得者に対するSQL Serverの資格取得支援策などは、一見するとオラクルが築き上げた市場を崩すように見えます。

五十嵐氏
 リクルートキャンペーンという名前は誤解を与えますが、開発者の方に対して、Oracle DatabaseだけでなくSQL Serverも理解していただきたいという目的で行うのがこのキャンペーンです。

 SI各社に話を伺うと、お客さまにとって最適なシステムとは何かという話が出ます。SIerにとって、Oracle Databaseだけに精通しているだけでは、ほかの選択肢をお客さまに提案できないという悩みを抱えているのです。SI各社にとっては、他のテクノロジーも理解した上で、提案できるエンジニアを増やしたいのです。

 今回のリクルートキャンペーンの一番の背景としては、SQL Server 7.0やSQL Server 2000といったエンタープライズクラスをサポートしきれていなかった旧バージョンの印象を持ったままのエンジニアが多いという点が挙げられます。SQL Server 2005以降は機能向上しているのですが、そうした現状をなかなか理解していただけていないということです。

 ですので、今回提供するリクルートキャンペーンで、SQL Serverを知ってもらいたい。そして、割引キャンペーンで実際にSQL Serverを選択していただきたいという気持ちでスタートしています。


―オラクル側もSMB市場開拓を目指した取り組みを発表しています。

五十嵐氏
 都市伝説キャンペーンなどは拝見しました。「オラクルは高い」という言う人がいる、というのが掲載されていますが、われわれからすると都市伝説でもなく事実ではないかといえます。確かにベースとなる価格は安く設定されてはいますが、SQL Serverで提供されている機能をOracle Databaseで実現しようとすると、結果的には高くなるからです。


―オラクルも、Oracle 8など旧バージョンからの移行を目指しています。

五十嵐氏
 われわれも同様です。Oracle 7や8を利用されている方に、SQL Serverの現実を理解していただきたいと考えています。移行ツールを用意はしましたが、最終的には手作業が必要になります。SIerのみなさまには、ORACLE MASTERだけを取得したままではなく、ぜひSQL Serverも理解していただきたいですね。そのための支援は行いますから。

  マイクロソフト株式会社
  http://www.microsoft.com/japan/
  ORACLE MASTER取得者向けセミナー
  http://www.microsoft.com/japan/sql/techinfo/spseminar.mspx
  ・ マイクロソフト、ORACLE MASTER取得者向け優遇策などSQL Server拡販策を発表(2007/09/04)


( 朝夷 剛士 )

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