「あ、起動した!」。VMworld 2007では発表されたばかりの「VMware ESX Server 3i」のベータ版を納めた1GBのUSBメモリが参加者に配布された。そのUSBメモリを記事執筆用のノートPCに差して電源を入れたときの発言が冒頭の言葉だ。
VMworld 2007会場で配布されたVMware ESX Server 3iベータ版。1GBのUSBメモリに納められている
VMware ESX Server 3iは、これまでのVMware ESX Serverで使われていたRed Hat Linuxベースのサービスコンソールを利用せず、独自環境で動作するように改良されたのが特長。ハイパーバイザだけでなく、各種デバイスドライバなど仮想環境を構築するのに必要な機能をすべて納めて32MBとごく小さなサイズになっている。軽量化により、これまでのようにインストールすることなく、USBメモリなどから直接起動することができる。
では、会場で配布されたUSBメモリはどのような構造になっているのだろうか。内部はいくつかのパーティションで区切られており、起動用パーティション、VMware ESX Server 3iのハイパーバイザが納められた32MBのパーティションが2つ、そしてユーザー用のパーティションとなっている。ハイパーバイザ部分が2つ搭載されているのは、可用性を確保するため。ユーザー用パーティションには、設定内容の保存領域のほか、管理用のVirtual Infrastructure Clientや、仮想環境で実行する各OS用のツールセット「VMware Tools」のイメージファイルなどが納められている。
USBメモリ内の構成は非常にシンプル
今回配布されたベータ版は、VMware ESX Server 3.0.1のハードウェア互換リストに掲載されているサーバーであれば利用可能となっている。とはいえ、実際は特定の要件をクリアしていれば動作するとおもわれる。冒頭、ノートPCで実験したように、対応ネットワークカードを搭載していれば、最低限のアクセスは可能ということだ。
起動自体はいたってシンプル。USBメモリを差して、数分待てば利用可能になる。起動後の操作は、Webブラウザ経由で行うため、VMware ESX Server 3iが動作するサーバーを直接操作することはほとんどない。実際設定できる項目も、IPアドレスの設定や管理者パスワードの設定といった基本的なものだけだ。
なお、USBメモリで起動する点を中心に紹介したが、VMware ESX Server 3iの意義はそれだけではない。軽量化したことで、サーバーベンダーはあらかじめVMware ESX Server 3iをハードウェア的に組み込んだ仮想環境対応済みサーバーを提供しやすくなったのだ。実際、会場で配布されたUSBメモリの構成はあくまでも一例であり、同社では各サーバーベンダーが構成内容を決めるだろうと説明している。個別取材の席でも、サーバーの内部にVMware ESX Server 3iが組み込まれた図を描いて説明しているので、何らかの形で内部(または外部)に組み込まれるのは明らかだ。
VMware ESX Server 3iは年内の出荷を予定しており、早ければ年末にも仮想環境対応サーバーを購入できるのかもしれない。