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ファストサーチ、企業向け検索の新コンセプトと国内事業戦略を発表

Google対抗の検索広告サービスも予定

徳末哲一代表取締役社長
 ファストサーチ&トランスファ株式会社(以下、ファストサーチ)は9月19日、エンタープライズサーチの進化形コンセプトとして「ゼロ・ターム サーチ」を発表するとともに、国内におけるエンタープライズサーチ市場開拓に向けた3つの事業戦略を明らかにした。

 同社は、エンタープライズ検索テクノロジーおよびソリューション開発のリーディングカンパニーで、高い柔軟性と拡張性、検索のリアルタイム性を備えたエンタープライズサーチプラットフォーム「FAST ESP」を展開しており、国内ではカカクコム、ぐるなび、日産自動車、ヨドバシカメラ、楽天、リクルートなどが顧客となっている。

 今回発表したゼロ・ターム サーチは、従来のキーワードによる検索の概念を超えた、新しい形のエンタープライズサーチコンセプト。このコンセプトは、検索の中心を“キーワード”ではなく、検索する“人”に置くことで、その人物のプロファイリングや過去の各種行動履歴やログなどから、より一層パーソナライズされた情報(パーソナライゼーション)に基づいた検索結果を提示するとともに、関連情報をサーチエンジン自体が能動的に推奨(レコメンデーション)していくというもの。

 徳末哲一代表取締役社長はゼロ・ターム サーチについて、「ここ数年のインターネットの普及、ブログ利用者の増大などを受けて、爆発的に情報量が増加しているなか、これに対応する検索サービスも第一世代が終わろうとしている。今回、当社が提唱するゼロ・ターム サーチは、キーワードを入力せずにどこまで情報検索できるかを目指した新たなコンセプト。直感的なインターフェイスを使ったナビゲートを主体として、企業内やSNSの膨大な情報の中から、個人一人ひとりにより適した情報検索を実現していく」と説明した。とくに、日本市場では、携帯電話などのモバイル情報端末が普及していることから、キーワード入力を必要としないゼロ・ターム サーチの重要性が今後さらに高まるものと見込んでいる。


FAST ESPと各種オプションモジュール ゼロ・ターム サーチのコンセプト

ファストサーチにおける3つの方向性の展開方法

日本市場におけるパートナー戦略の方向性
 また同社では、この新コンセプトの発表にあわせ、国内エンタープライズサーチ市場開拓に向けた3つの事業戦略として、「事業の収益化(Monetization)」、「企業内検索(Infomation Discovery)による業務効率の向上」、「サーチを基盤とするビジネスインテリジェンス(BI built on Search)による経営支援」を積極展開し、国内企業の事業活動および情報マネジメントを支援していく方針を掲げた。

 「事業の収益化(Monetization)」では、FAST ESPの特長を生かし、顧客企業の既存事業および新規事業の事業機会の創出や収益性の向上を実現していく。ターゲット市場は、主にメディア・エンターテイメント、通信、流通などで、リセラーとの協業を中心に展開し、市場におけるポジショニングをさらに強化していく考え。

 「企業内検索(Infomation Discovery)による業務効率の向上」としては、FAST ESPをベースにした企業内検索によって、社内外の情報を融合するとともに、企業の情報資産の有効活用を推進することで、業務効率の向上・改善を支援する。ここでは、主に金融、製造、自治体などの市場にフォーカスし、ソリューションプロバイダとの協業を推進していく。

 「サーチを基盤とするビジネスインテリジェンス(BI built on Search)による経営支援」については、エンタープライズサーチとBI(ビジネスインテリジェンス)は補完関係にあるとの考えのもと、FAST ESPによって社内外の情報をリアルタイムに収集、融合、整備、分析することで、経営判断に役立つ経営支援のための環境を実現していく。業種・業態を問わず全業界をターゲットに、コンサルティング会社などの戦略パートナー企業との協業を進め、市場開拓を図る。

 この3つの事業戦略は、今後の製品開発、ソリューション展開にも直結しており、「来月には“事業の収益化”に関する新サービスとして、『アドモメンタム』というGoogle AdWordsやGoogle AdSenseに対抗する製品を国内で出荷する予定」(徳末社長)としている。徳末社長は、「Googleは、BtoCで一般ユーザーに向けて検索サービスを展開しているが、当社はBtoBの検索サービスが中心。新しいソリューションでは、BtoBtoCのモデルを確立し、パートナー企業と協力しながら、いままでGoogleが独占的に扱ってきた検索広告の市場を切り崩したい」と意欲を述べた。さらに、「今年末から来年始めにかけて、さまざまなパートナーとの協業体制が発表できるようになるだろう」との見通しを示した。



URL
  ファスト サーチ&トランスファ株式会社
  http://www.fastsearch.co.jp/
  プレスリリース(PDF)
  http://www.fastsearch.co.jp/news&events/pdf/070919_press_release.pdf


( 唐沢 正和 )
2007/09/19 15:59

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