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プロフェッショナル・サービス本部の本庄朗人氏
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サイベース株式会社は10月19日、データウェアハウス(DWH)構築に関する説明会を開催。DWH構築における重要な検討ポイントなどを説明した。
DWHを構成する要素は、ETLツール、データベース(DB)、クライアントツールの3つ。シンプルな構成のため、構築は簡単であるとイメージされやすいが、「現場では、いまだに多くの質問が投げかけられている」とプロフェッショナル・サービス本部の本庄朗人氏は語る。
しかもその疑問は、「データマートを分散構築していくべきか、それともデータマートを束ねるセントラルウェアハウスを構築するべきか、どんなスキーマが適しているのか、キューブとは何か、DWHは恒常的でなければいけないというが、一切更新してはいけないのかといった、そもそもDWHとは何であるかを問うような根本的なものばかり」(同氏)というのだ。
DWHという考え方が生まれたのは1990年代初頭。以来、実際の構築が始まってからも10年以上が経過しようというのに、なぜいまだにこうした根本的な疑問が、実際にDWHを構築しようとする現場から出てくるのか。
その原因は「(DWHが必要となる)BIを構築する際、クライアントツールの使い勝手のみが検討されて、肝心のDB設計の検討がすっぽり抜け落ちているためだ」と本庄氏は指摘する。
セントラルウェアハウス、従属型データマート、独立データマートなどDWHにはいくつかの形態が存在する。構築時にはこの違いを理解し、データモデルを明確にする必要がある。また、マスタデータが変更された場合の対応方法やデータの保持期間などを定義し、OLAPを利用する場合は、キューブ作成要否および作成場所を明確にしなければならない。DWHを構築する際には、こうした忘れてはならない検討ポイントがある。これらが省みられないまま、クライアントツールの優劣ばかりがクローズアップされているために、根本的な疑問が後を絶たないのではないか、というわけだ。
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DWH構築に際して、現場で投げられるさまざまな疑問
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BI導入時の関心事がクライアントツールに集まりすぎている
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DWH構築時に検討すべきポイント
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基幹系業務システムと情報系システムでは求めるスペックが異なる
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問題はもう1つある。それは基幹系業務システムと情報系システムで要求するスペックが違うという事実が認知されていないことだ。
基幹系業務システムは、情報が常に刷新される更新系のシステムである。同時実行ユーザー数は多く、反面扱うデータ量は数カ月から1年分と比較的少ない。最も必要とされる性能は“スループット”で、I/Oサイズは小さいほうが良い。
一方、参照がメインの情報系システムでは、同時実行ユーザー数は少なく、反面扱うデータ量が多くなる。重要な性能は“応答時間”であり、I/Oサイズとしては大きなものが要求される。
両システムにはこうした違いがあるが、問題は、「両方の条件を満たすRDBMSは存在しない。構築するシステム形態を理解して、まずは、最適なRDBMSを選択しなければならないのだが、この事実が意外と知られていないことだ」と本庄氏は述べる。
サイベースには主力製品となる2種類のRDBMS、「Adaptive Server Enterprise(ASE)」と「Sybase IQ(SIQ)」がある。それぞれ基幹業務系、情報系のシステム向けに最適化された製品で、I/Oサイズをみると、ASEが2KB、SIQが128KBとその違いは明白。これらを適材適所に提供できるのが同社の強みだという。
特にSIQは、「データをカラム単位で情報を読み出すという大きな特長を持っており、ロー単位で読み出す従来のDBとは、根本的にデータの扱い方が異なる」(同氏)。ロー単位で情報を読み出すと、必要ではないカラムまで引っ張ってきてしまうことになる。例えば、「商品名」と「金額」というカラムのみが必要でも、「利用者」や「利用日」などのすべてのカラムを読み込んでしまうという具合だ。当然、ボトルネックを生じることとなる。
SIQでは、カラム単位でテーブルを作成し、カラム単位で情報を読み込めるため、こうした無駄な処理が発生しない。このため従来の100倍の検索スピード、10分の1のデータロード時間、4分の1のストレージ容量という、高い性能を発揮できるのだという。
経営にスピードが求められる昨今、業務システムが変化の早さに対応しきれていない状況だ。サイベースでは、その原因はDBにこそありと指摘している。「BIやETLツールは進化しているのに、なぜかDBだけは進化しない」(マーケティング本部長の冨樫明氏)。
今後、日本版SOX法などの影響によるデータ保持の長期化、デジタルフォレンジックなどのニーズにより、DHWの重要性は増していくものと思われる。DWH構築は今以上にスピードが求められるであろう。課題は多いが、その解決策として、同社が提供するのが、ASEとSIQである。
■ URL
サイベース株式会社
http://www.sybase.jp/
( 川島 弘之 )
2007/10/22 11:25
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