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マイクロソフト、企業におけるVista導入支援に新施策

来年6月までに30万台のVista PCを大企業に導入

 マイクロソフト株式会社は10月22日、Windows Vistaおよびthe 2007 Office system(Office 2007)の企業における導入支援施策として、10月31日から、「デスクトップ導入計画」サービスを新たに提供することを明らかにした。

 これは、ユーザー企業の導入/展開計画の立案を、ソフトウェアアシュアランスの特典のひとつとして、無償で提供するもので、顧客に適した導入/展開計画の立案とともに、最新の手法により、最小のコストでの導入/展開ができる仕組みの提案、将来を見据えた環境構築などを実現するという。

 具体的には、マイクロソフト認定パートナーと協力しながら、ユーザー企業のビジネス要件および既存環境を調査。さらにプレゼンテーションとデモンストレーションにより、Microsoft Solution Accelerator for Business Desktop Deploymentをはじめとする最新の展開手法を紹介。Vistaなどの導入/展開に向けた検証環境を構築支援するとともに、環境移行コストや各PCへの展開コストを算出して、ユーザー企業の環境にあわせたITインフラストラクチャの最適化提案を行う。

 同サービスを利用するユーザー企業は、マイクロソフトボリュームライセンスサービス(MVLS)にアクセスし、同サービスを選択。申し込みを行うとともに、サービスを行う認定パートナーを選択することができる。


デスクトップの導入・展開の課題 最新のイメージ展開手法 クライアント展開パッケージの概要

Windows本部本部長の大場章弘業務執行役員

コンサルティングサービス統括本部統括本部長の畑義和業務執行役員
 マイクロソフトWindows本部本部長の大場章弘業務執行役員は、「デスクトップの導入/展開手法には、インストールメディアと、イメージを複製していくという手法があるが、今回新たに提案する手法では、複数の機種にも単一のイメージを利用可能なイメージX、これをユーザーごとにあわせた環境で自動配信するWindows展開サービス、System Center Configration Managerによるイメージ展開後の作業の自動化などによって、より効率的、効果的な展開ができる。さらに、仮想化テクノロジーであるSoftGridを活用し、クライアントに負荷をかけずにアプリケーションの集中管理がサーバーで行えるといったメリットも提供できる」とした。

 同社では、計画、検証と移行、導入と展開といった各フェーズにおいて、サービスのパッケージ化を進め、これをパートナーを通じて、ユーザーに提供していく。

 マイクロソフトのコンサルティングサービス統括本部統括本部長の畑義和業務執行役員は、「まずは、マイクロソフトが主導で先行顧客の事例を蓄積し、パートナーに対して、これらの技術およびナレッジの移転を進める。その後、パートナー主導による独自アプリケーションなどの提案により、パートナーにおけるビジネス拡大につなげる。当社では、パートナーと共同でコンサルティングサービスを提供する共同エンゲージメント、マイクロソフトの膨大な事例をもとにコンサルティングのためのエッセンスを提供するコンサルティングエキスプレス、パートナーの運用・保守ビジネスを支援するパートナーアドバンテージを用意し、パートナーを支援する」と語る。

 また、大場業務執行役員は、「クライアントデスクトップの導入支援は、これまでのように製品ごとや、製品およびサービスといった組織が分割した対応では限界がある。複数部門が連携をして、ユーザー、パートナーに対して継続した支援を行っていく」とし、今後、Vistaの導入支援に向けて、横断的な体制とサービスメニューで対応していく姿勢を見せた。

 なお、同社では、10月30日、31日の2日間にわたり、デスクトップ環境移行セミナーを都内で開催する。30日は、ビジネスパートナーが対象となり、31日はエンドユーザーが対象になるという。


インフォメーションワーカービジネス本部本部長・横井伸好業務執行役員
 一方、マイクロソフトでは、2008年6月末までに、大企業におけるWindows VistaおよびOffice 2007の導入が約30万台に達する見込みを明らかにした。

 マイクロソフトのインフォメーションワーカービジネス本部本部長・横井伸好業務執行役員は、「Windows VistaおよびOffice 2007は、法人向けの製品提供開始から約11カ月を経過したが、Windows XPの発売時よりも導入は早く進んでいる。毎年5~6月にかけて企業の導入実態調査を行っているが、2007年5月の調査では、企業におけるVistaの導入比率は0.8%、Office 2007は4.4%。これが来年同期に予定されている調査ではVistaは5~10%、Office 2007は15~20%になると予想している。これまでは、検証をはじめたか、これからはじめる企業が多かったが、約1年を経過したこと、日本の多くの企業の期末を迎えることで、デスクトップの移行が本格化してくるだろう。これから大きな波が訪れようとしている」と語った。

 同社によると、Windwos Vista Enterpriseの動作確認がされているWindwos Vista Enterprise Ready PCは、10月現在、137機種が出荷されているという。

 なお、今年5月の調査では、コンシューマ分野におけるVistaの導入は6.6%、Office 2007は8.9%に達していたという。

 さらに、マイクロソフトでは、広島市が、約3300台のPCを対象にWindows Vista EnterprideおよびOffice Enterprise 2007を導入し、2008年3月から稼働させる計画も発表した。

 庁内LANシステムにおける情報セキュリティの向上および質の高い行政サービスの提供を目的としたもので、HDDの暗号化機能「Windows BitLocker」、ファイルのアクセス制限を管理する「Information Rights Management」などのVistaならではの機能を用いることで、情報の安全性を高めるという。

 さらに、広島市では、行政事務の向上を目指して、Exchange Server 2007およびOffice SharePoint Server 2007も導入する予定であり、2001年に策定した「e-市役所推進計画」にのっとったe-市役所の実現を目指す考えだという。


Windows Vista/Office 2007の導入状況 広島市の導入例


URL
  マイクロソフト株式会社
  http://www.microsoft.com/japan/
  プレスリリース
  http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=3233


( 大河原 克行 )
2007/10/22 16:02

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