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キヤノンMJ、過去最高業績に向け好調な第3四半期決算

アルゴ21の買収効果でITソリューションが伸張

 キヤノンマーケティングジャパン株式会社(以下、キヤノンMJ)は10月23日、2007年度第3四半期(7~9月)連結決算を発表した。ITソリューションやデジタルカメラなどの売り上げ伸張が影響し、売上高は前年同期比4.0%増の6407億8300万円。営業利益は4.3%増の240億3400万円、経常利益は3.1%増の243億7500万円、当期純利益は4.4%増の135億3700万円となった。

 売上の拡大を目的とした広告宣伝費や販売促進費は増加したものの売上増加に伴い利益は増加したという。

 また、売上高の93億円増のうち、73億円の増加がアルゴ21などの買収効果によるものとなっている。


 ビジネスソリューション事業は、売上高が7%増の1257億円。営業利益は4%減の27億円。

 そのうち、ドキュメントビジネスの売上高は前年並の846億円。ITソリューションの売上高はアルゴ21などのM&A効果があり、26%増の411億円となった。

 モノクロMFPは、市場全体が前年同期比11%減という厳しい状況が続くものの、キヤノンは1けたの減少にとどまっているほか、カラーMFPは中高速機を中心に堅調に推移。今後の重点事業と位置づけるデジタル商業印刷機が、「imagePRESS C1」に加えて、「imagePRESS C7000VP」を第2四半期に投入し、これが業績に寄与しはじめたことで、ドキュメント事業の安定した売り上げを確保した。LBPが前年同期に、保険会社からの大型案件を獲得した反動が影響するという減少要因もあったが、「通期では13年連続でのトップシェアを維持することができる」と意欲を見せた。また保守サービスでは前年同期比2%増と成長している。

 ITソリューション事業では、企業の内部統制およびセキュリティ関連案件や、金融機関向けのソフトウェアの開発を中心に好調に推移。4月からキヤノンソフト情報システム(旧・蝶理情報システム)が、さらに、6月からアルゴ21が連結子会社となったことが業績に寄与した。

 上期までは足を引っ張っていたITプロダクトも前年同期比11%増と成長に転じた点も見逃せない。

 「ITソリューションでは、第4四半期にはまとまった案件がある。今後、ITソリューション事業関連会社の売上高増加も見込める」とした。


 コンスーマ機器事業は、売上高が5%増の637億円、営業利益は2%減の30億円。

 デジタル一眼レフカメラ市場が拡大。EOSブランド20周年を記念した新製品「EOS 40D」が、発売直後からの垂直立ち上げが成功。第3四半期のデジタル一眼レフカメラの販売台数は36.6%増となった。だが、EOS 40Dの発売に伴うキャッシュバックキャンペーンの実施が第3四半期の利益に影響したものの、「このマイナスは計画通り」(川崎正己専務取締役)とした。第4四半期も、デジタル一眼レフカメラの販促費を増やす計画だという。

 「Enjoy Photo」をキーワードにホームプリンタの楽しさを訴求している家庭用プリンタでは、インクジェットプリンタの第3四半期の販売台数が3.1%増。年末商戦でも前年を上回る本体台数の増加を見込んでいる。また、昇華型コンパクトフォトプリンタも販売台数は14.7%増と大幅に増加。ホームフォトプリントの需要増加により消耗品も順調に増えているという。インクジェットプリンタ用のカートリッジの販売金額は第3四半期実績で4.1%増となっている。

 一方で、デジタルビデオカメラは苦戦。第3四半期の販売台数は34.7%減となっている。


 産業機器事業は、売上高が10%減の237億円、営業利益は86%増の13億円。

 半導体露光装置は、前年同期には7台の販売実績があったが、今四半期は0台だったことが大きく影響。「通期でも、国内市場における半導体露光装置の出荷台数が前年を下回ることが懸念される」(川崎専務取締役)という。

 第4四半期には、戦略製品であるArFの出荷を開始することになるが、売り上げ計上が来年度以降になり、経費先行となることも、通期業績に影響するとしている。

 しかし、中古機ビジネスや、医療機器、放送用機器が伸張。利益増加とともに、経費削減効果が、第3四半期の営業利益の大幅な増加に影響した。


 なお、2007年12月期の業績予想は、7月公表時から変更はなく、連結売上高は4.9%増の9100億円、経常利益が前年比4.9%増の360億円、経常利益は5.9%増の360億円、当期純利益が6.4%増の200億円としたが、ビジネスソリューション事業におけるドキュメントビジネスの売上高で15億円減、ITソリューションで15億円増とした。

 キヤノンMJでは、2010年に連結売上高1兆1000億円、経常利益率5.2%以上を目指す5か年計画「長期経営構想2006~2010」に取り組んでおり、今年が2年度目。「5期連続増収増益、過去最高売上高および利益の3期連続更新に向けて、順調に推移している」(川崎専務取締役)としている。



URL
  キヤノンマーケティングジャパン株式会社
  http://canon.jp/


( 大河原 克行 )
2007/10/23 12:40

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