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GBDe、第9回世界総会の開催に先立ち説明会を開催

2007年の活動状況、総会の概要など発表

GBDeの組織

GBDe世界議長の河村敏郎氏
 Global Business Dialogue on e-Commerce(以下、GBDe)は10月29日、今年で第9回目となる世界総会を11月9日に東京で開催すると発表。これに先立ち、GBDeの2007年の活動内容や世界総会の概要に関する事前説明会を開催した。

 GBDeは、安全で信頼性の高いインターネットベースの電子商取引を実現するための課題を議論し、政府や関係機関に施策の提言を行う世界の民間企業団体。1999年1月にダイムラークライスラーの提唱によって設立し、企業の経営者同志の国際的な会話を通じて、健全なeコマースの発展を目指している。現在の加入メンバーは、米国、日本、台湾、マレーシア、香港から21社となっている。

 GBDe世界議長の河村敏郎氏(日本電気特別顧問)は、これまでの活動を振り返り、「設立して8年間が経過するが、前半の4年と後半の4年では大きくメンバー構成が様変わりした。前半の4年間は欧米企業が中心となり、世界の名だたるITベンダー、テレコムベンダーが加入していたが、ITバブルがはじけた後は、当初参加していた欧米企業の経営陣のほとんどが入れ替わり、国際的な課題解決よりも自社の建て直しに力を注ぐようになった。これを受け、最近の4年間はアジアパシフィックの企業が中心となって、来るべきユビキタスネットワーク時代に向けたさまざまな課題を国際間で議論する取り組みを続けている」と述べた。

 また、GBDe日本BSCリーダーで、NTTデータ取締役相談役を務めている浜口友一氏は、「GBDeは、APECやOECD、ECなど多くの国際的な機関から認められている団体であり、日本の企業としても、こうした枠組みを今後もうまく活用していきたい」と語った。


GBDe日本BSCリーダーの浜口友一氏 ステークホルダーとの関係を示した概略図

 2007年の主な活動としては、「Digital Home(デジタルホーム)」「International Micro Payment(国際少額決済)」「Consumer Confidence(消費者信頼)」「Ubiquitous Network Society(ユビキタスネットワークソサエティ)」「Cyber Security(サイバーセキュリティ)」という5つのIssue Group(部会)が設立され、提言に向けて議論を重ねているという。

 各部会の検討内容は、「デジタルホーム」では、デジタル化された家庭におけるさまざまなサービス(エンタテインメント、公的サービス、ヘルスケアなど)の技術、ビジネスモデル、標準化について検討。「国際少額決済」では、国際流通性のある少額決済の仕組み、および国際間取引の際の税金、安全なプロトコル、課金方法の検討を行った。また、「消費者信頼」では、国境を越えた安全な電子商取引実現のための仕組み、および国際共通基準に基づくWebサイト信頼マーク付与システムの検討を実施。「ユビキタスネットワークソサエティ」では、ユビキタス社会の健全な発展と安心して使えるITネットワーク実現に向けての課題と技術を検討。そして、「サイバーセキュリティ」では、国境を越えて発生する電子商取引上のトラブルを防止するシステム構築について議論するとともに、組み込み型ソフトに内在する脅威と対応策の検討を行っている。


GBDe Summit(総会)と世界議長の変遷
 11月9日に開催される「GBDe第9回世界総会」では、「Web Commerce 2.0」をテーマに、これら5つの部会における活動成果の報告およびディスカッションを行うほか、多数のゲストスピーチ、特別講演などが予定されている。

 世界総会のスケジュールとしては、まずオープニングで増田寛也総務大臣、APEC事務総長のC.Heseltine氏、OECD副事務総長のP.Padoan氏によるゲストスピーチ、慶應義塾大学の竹中平蔵教授によるキーノートスピーチを行う予定。午前中は、セッション1「Web Commerce 2.0:電子商取引市場の拡大と充実に向けての約束」として、「デジタルホーム」「国際少額決済」の部会活動報告とゲストスピーチ、ディスカッションを行う。

 午後からは、甘利明経済産業大臣、米国FTCコミッショナーのP.Harbour氏、EC副局長のA.Peltomaki氏、台湾政府代表を招いた特別講演を予定。

 特別講演の後は、セッション2「信頼性とガバナンス:直面する課題、国際議論と強調」として、「サイバーセキュリティ」「ユビキタスネットワークソサエティ」「消費者信頼」についての部会活動報告とゲストスピーチ、ディスカッションを実施する。

 なお、今回の世界総会のテーマともなっている「Web2.0」時代のGBDeの意義については、Web2.0の世代に入り、インターネットビジネスの議論が「ソフトウェア」から「サービス」に移行するなか、これからの企業は、新ビジネスの強化・拡大とそれにともなう脅威・リスクの軽減という両面からの取り組みが重要になると指摘。GBDeでは、この両面からの取り組みをグローバルな視点で議論する場を提供していくとしている。



URL
  Global Business Dialogue on e-Commerce
  http://www.gbd-e.org/
  第9回世界総会(英文)
  http://www.gbd-e.org/events/2007/Summit2007/events_summit2007.html


( 唐沢 正和 )
2007/10/29 18:15

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