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情報・通信グループ CSO兼経営戦略室長の北野昌宏氏
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省電力化の重点分野
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CO2削減ロードマップ
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株式会社日立製作所(以下、日立)は11月5日、IT製品の消費電力削減による環境問題への取り組み「Harmonious Greenプラン」を発表した。同プランに沿った製品開発を推進し、今後5年間で累計約33万トンのCO2削減をめざす。
Harmonious Greenは、IT機器の消費電力低減、未使用リソースの電源断、システム統合による熱だまりの解消などを行っていくのが主な内容。IT機器の消費電力低減などにおいては、以前より「Harmonious Computing」などの取り組みを実施してきた日立だが、今回のHarmonious Greenプランでは、機器だけでなくシステム全体として効率の良い運用技術の開発に取り組む点が特長となる。
「機器そのものの省電力化も進めていくのは今後も同じだが、それだけではあまり効率が上がらない。環境問題に対しては、運用レベルでの省電力化が何より重要」と語るのは、情報・通信グループ CSO兼経営戦略室長の北野昌宏氏。
具体的には、サーバー、ストレージ、ネットワークなど主要なIT機器において、「部品」「装置」「運用」の3つのレベルを重点分野として省電力技術の開発に取り組んでいくという。
部品レベルでは、電源モジュールおよびLSIの省電力化などを重点的に推進する。装置レベルでは、記憶媒体の組み合わせ、電源、冷却をはじめとした省電力化への技術開発を行う。具体的には、ヒートシンクの熱抵抗改善や電源損失の削減などをめざす。「ヒートシンクの効率向上としてはすでに、熱抵抗を40%改善した“気化熱”冷却方式を開発している。今後はさらに70%の改善を目標に開発を進めていく。電源損失においては、最新の回路技術により、すでに電源損失15%を達成している。これをさらに改善し10%以下をめざす」(北野氏)とのこと。
装置レベルでの取り組みとしてはこのほか、HDDの回転を制御する「MAID(Massive Array of Idle Disks)技術」、仮想化技術を利用した省電力機能などの開発を推進していく。さらに同プランに沿った具体的な新製品として、省電力部品を採用したエコロジーサーバー「BladeSymphony320 esサーバーブレード」と、低消費電力のテープライブラリを統合したディスクアレイ装置「Hitachi Tape Modular Storage(以下、TMS)」を投入する予定。
BS320 esサーバーブレードでは、低消費電力で動作するクアッドコアのXeon L5320(1.86GHz)と、省電力タイプのメモリモジュールを採用することで、ブレード単体で最大25%の消費電力低減を実現した。価格は32万5500円からで、12月17日より提供を開始する。一方のTMSでは、旧世代のデータをテープ装置に保管することで、HDDの消費電力を40%削減することに成功した。価格は3419万3250円からで、12月25日より提供を開始する。
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仮想化技術を利用した省電力化-複数のサーバーのタスクを負荷状況に応じて集中化し、余ったサーバーの電源をダイナミックに切る
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MAID技術の概要。長時間アクセスしないHDD群の回転を停止
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BS320 esサーバーブレードの概要
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CoolCenter50への活用
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こうした部品、装置レベルでの省電力化を土台に、運用レベルでの省電力化をめざす。具体的には、「電力量監視」「電力制御自動化」「使用リソース最適化」の3階層で省電力運用技術を開発していく方針だ。
この狙いについて北野氏は、「システムの中には普段使用されていない部分や、使用頻度の低い部分が存在する。そうした部分への電力供給を停止したり、動作速度を落としたりするだけでも、だいぶ省電力化が果たせる。これを“自動化する”のが、運用レベルでの取り組みの目的。システムを監視したり、電力制御を自動化する仕組みを開発していく。さらにデータセンターなどにおいてはシステムの統合化によって、熱だまりの発生が問題となっている。それを解消するようなフロア単位での省電力化にも努めていく」と説明。
こうした施策により、5年間のCO2排出量を33万トン削減するとともに、今回のHarmonious Greenプランを、9月27日に発表した5年後のデータセンター消費電力量を50%削減するプロジェクト「CoolCenter50」にも適用し、その実現をさらに加速していく意向だ。
■ URL
株式会社日立製作所
http://www.hitachi.co.jp/
ニュースリリース
http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2007/11/1105.html
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( 川島 弘之 )
2007/11/05 15:34
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