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“レイヤ3ベンダ”がレイヤ2スイッチを手がけることの意味は?-米Extreme


米Extreme 社長兼CEOのマーク・カネパ氏

Summit X150
 エクストリームネットワークス株式会社(以下、エクストリーム)は11月6日、米Extreme Networks(以下、Extreme) 社長兼CEOのマーク・カネパ氏来日に伴う記者向け説明会を開催。同氏やエクストリームの代表取締役社長、久保田則夫氏が、日米における営業戦略などを解説した。

 冒頭、カネパCEOがまず説明したのはExtremeの業績について。同CEOは、「2年前、成長について苦労していたのは事実だ」と認めながらも、直近の5四半期は回復基調にあることを説明。特に2008年度第1四半期(2007年7~9月)については、製品売上高が前年同期比で9%、粗利益が同14%それぞれ増えていることに触れ、成長については問題ないことを強調した。これは、14カ月前にCEOへ就任したカネパCEOが立て直した結果だが、今後については、競合他社と差別化できる価値提案を行うとともに、強力な新製品の投入によってExtremeならではの価値を生み出していくという。

 その核となる製品の1つが、10月に発売されたばかりの新製品である「Summit X150」だ。レイヤ2のエッジ向けFast Ethernetスイッチであるこの製品は、ボックスタイプの小型スイッチでありながら、同社が積極的に導入を進めている最新のモジュラー型OS「ExtremeXOS」を搭載しており、コア製品と共通のソフトウェア機能を使える点が特徴。カネパCEOは、「XOSのラインアップをエッジ製品まで広げたことにより、顧客は当社製品のみで、エッジまでのシームレスな展開が行えるようになった。これまでのように、2社以上の製品を使うことになると、2つの異なるOS、コンソール、管理手法などを学ばねばならない。ExtremeXOSのみに統一できるメリットは計り知れない」という点を強調する。

 また久保田社長も、「レイヤ3スイッチの企業として知られてきた当社がレイヤ2スイッチを提供したのは、エッジに新しい定義付けを提供するため。これまでは帯域をPCへ配るだけだったエッジにある程度インテリジェンスを持たせることで、ネットワークログイン機能によるセキュリティの確保や、(ネットワークにUSBのような接続性を提供する)ユニバーサルポートなどが導入でき、リーズナブルな形でセキュアネットワークが構築できる」とアピールポイントを説明した。

 なおエクストリームでは、旧型OS「Extreme Ware」搭載スイッチを利用する顧客向けに特別価格で製品を提供する「XOSアップグレードキャンペーン」を国内で実施するとのことで、コアからエッジまでの領域で、一貫してExtremeXOS搭載製品を利用することのメリットを広く訴求したいとしている。


エクストリームの代表取締役社長、久保田則夫氏
 一方、業種別では、教育機関、ヘルスケア企業、ホテル・旅行業などに加えて、通信事業者へのアプローチも継続的に行っていくという。ワールドワイドでは売り上げの25%、日本ではそれを上回る35%を通信事業者向けビジネスが占めている状況で、ビデオやVoIPといった新しいサービスへの対応が求められる今日の通信事業者に対して、幅広いラインアップをそろえて対応していくとのこと。

 カネパCEOは、「Ethernetは低価格かつ高度なサービスを提供可能。通信事業者が直面している課題は複雑だが、当社は創業当時よりユニークなQoSなどの技術を持っており、音声グレードのEthernetを実現できる数少ないベンダーだ」と主張したほか、久保田社長は、通信事業者向け市場への取り組みとして「BlackDiamond 12000シリーズなどのMEF(メトロイーサネットフォーラム)標準対応製品を拡販するとともに、s-Flowを拡張したCLEAR-Flowをベースにするセキュアネットワークを積極的に提案していく」と述べた。

 あわせて、Automation Frameworkによる自動化の推進も、他社にない差別化ポイントとして進める考え。ExtremeXOSと管理プラットフォーム「EPICenter」を中核とするこのフレームワークでは、自社製品向けの自動化モジュールライブラリを無償提供し、ネットワークの導入や運用、インフラの最適化などの自動化が可能になる。Extremeでは、Summit X150による「バリュー・エッジ」戦略と、Automation Framework、さらにはエキスパートによるプロフェッショナルサービスの提供を3本柱として、継続的な業績の向上を図る狙いである。



URL
  エクストリームネットワークス株式会社
  http://www.extremenetworks.co.jp/

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( 石井 一志 )
2007/11/06 15:11

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