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ポリコム、“バーチャルリアリティ会議室”のデモルームを公開


ポリコムの代表取締役社長、奥田智巳氏。プレゼンテーションは米国にいる奥田氏がRPX HD経由で行った
 ポリコムジャパン株式会社(以下、ポリコム)は11月9日、テレプレゼンスソリューション「Polycom RPX HD」の本格的な販売を開始するのに合わせ、デモルームを東京オフィス内に開設したと発表。報道陣に内部を公開した。

 RPX HDは、リアルな会議室に近い遠隔会議環境を提供するテレプレゼンスソリューション。大型のシネマビジョン型スクリーンに遠隔地の参加者を鮮明な画像で映し出すとともに、ステレオサラウンド音声技術を用いて、臨場感のある音響を提供する。

 通常のビデオ会議(テレビ会議)システムとの最大の違いは、部屋そのものが会議システムの一部になっている点。ライティング、壁、机など、会議室の構成要素もその中で重要な役割を果たしており、これについてポリコムの代表取締役社長、奥田智巳氏は、「各会議室の机、壁の色や形状がまったく同じ対称性を持たせることで、バーチャルリアリティ的な、同じ空間を共有しているような感覚を高めている。疲労度、集中度が通常のビデオ会議システムとまったく異なる」と説明した。

 ポリコムではこの仮想空間実現にあたり、前述のような対称環境を基本とするほか、枠線の目立たない横長画面のシネマティックビューを採用したり、カメラ、マイクをユーザーの目に入らないようにしたりするなど、さまざまな工夫を凝らした。さらに、顧客の手を煩わせずに会議を開催できるようにするためマネージドサービスも用意し、「会議に没入できる『イマーシブテレプレゼンス』ソリューション」として展開したい意向だ。


部屋は暗く見えるが、「会議に集中できる適切な明るさにしている」(奥田社長)とのこと。4面のスクリーンは、接ぎ目が目立たないシームレスな構造になっている 天井からつられている集音用マイクは、着席時にはまったく気にならない。また資料表示用のモニタを参加者の手元に配置するなど、人間行動的に自然な状態で会議に参加できるよう工夫しているという 管理端末からの操作も可能だが、マネージドサービスをあわせて提供し、ユーザーに負担をかけずに会議を開催できるようにしている点もポイント。管理センターへの依頼はこの端末からのコールでも可能だ。

もちろん、多地点接続も可能で、1つのスクリーンに複数の映像を分割表示する機能も備える。マネージドサービスを契約していれば、多地点会議開催に必要な操作などをすべて管理センターが代行してくれる
 すでに米国では100以上の導入例があるとのことだが、役員会議、教育、医療といった分野が、これまでの導入のほとんどを占めるという。奥田社長は、「長時間になることが多い役員会議では、疲労が極端に違うので、役員の疲労・負担を減らすのには大きな効果がある」点を指摘。通常のビデオ会議システムと比べると高価なソリューションであっても、その効果が実感できる分野では、導入する十分な意義があるとした。なお医療分野では、手術室に導入して医師の手術を遠隔で見学する、といった導入事例もあるという。

 またRPX HDはHDビデオ会議システム「Polycom HDX 9000」をベースにしているため、「必要とあらば、ほかのシステムと接続できる」(奥田社長)点もメリット。同じHDXシリーズだけでなく、SDビデオ会議のVSXシリーズやPCベースのPVXシリーズ、または業界標準ベースの他社製品との接続も可能という。加えて、4人用から28人用まで、利用形態にあわせて幅広いラインアップを取りそろえているほか、一部小規模向けを除き、通常の会議室としても利用できる汎用性の高さも特筆できるとした。

 具体的なラインアップとしては、スクリーン2面タイプと4面タイプを用意し、2面タイプでは4~18名用、4面タイプでは8~28名用を提供する。1サイトあたりの価格は、2面タイプが3000万円台から、4面タイプが5000万円台から。導入に際しては顧客の環境調査も行うため、おおよそ4~6カ月必要とのことである。

 なおシステムはHDX 9000を2台~4台使用し、20Mbps程度の帯域を必要とする。また遅延やジッタ(ゆらぎ)などが極力少ないことが望まれるので、安定した会議品質で利用するためには、ネットワーク側の品質も相応のものが求められるとしている。



URL
  ポリコムジャパン株式会社
  http://www.polycom.co.jp/
  プレスリリース
  http://www.polycom.co.jp/news/release/2007/1109.html

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( 石井 一志 )
2007/11/09 14:08

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