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IntelオッテリーニCEO、「ムーアの法則を今後も続けていく」

Oracle OpenWorld 2007基調講演

米Intelのポール・オッテリーニCEO
 11月13日(米国時間)で3日目をむかえたOracle OpenWorld 2007。この日は、米Intel ポール・オッテリーニCEOの基調講演でスタートした。

 オッテリーニCEOはまず、「エンタープライズはユニークな形で差別化をする必要があり、それはIntelのアーキテクチャをもとに実現される」と主張。そのためのイノベーションを常に行ってきたと話す。この成果としては、直近では11月13日(日本時間)に国内でも発表された、45nmプロセス世代の新CPU(開発コードネーム:Penryn)が挙げられるというが、オッテリーニCEOが「業界初のブレイクスルーの製品」と表現し、「業界の2年先を行っている」と誇るこの世代のCPUでは、「過去40年で最大の発明だといえる」ハフニウムベースの新素材採用など、新技術がふんだんに盛り込まれており、パフォーマンスの向上とともに消費電力の削減を実現した。

 さらに2008年には、製品ラインをさらに拡張しクアッドコアのノート用CPUや、次世代アーキテクチャ「Nehalem」(開発コード名)も登場する予定。加えて、次世代プロセス技術である32nmプロセスの開発もすでに始まっており、2009年ごろに提供開始となる見込み。オッテリーニCEOは、このような絶え間ない技術開発により、「今後も一環した製品を次から次へ出し、イノベーションが皆様に大きな恩恵をもたらせるようにする。ムーアの法則が今後も生きていくようにイノベーションを続けていく」と述べた。


性能の向上を示すデモの様子。Harpertownベースのクラスタ(右)は、Woodcrestベースのクラスタ(左)に対して半分の物理サーバー数でも、30%上の数字をたたき出した
 講演内では、Penryn世代の先進性を示すためのデモも行われた。前世代のXeonである、ConroeベースのXeon(開発コード名:Woodcrest)搭載サーバーと、PenrynベースのXeon(開発コード名:Harpertown)搭載サーバーでそれぞれデータグリッドを構築。株価情報アプリケーションを走らせた結果、Harpertown側は3台だけを稼働させた状態で、6台を稼働させたWoodcrest側と比べて30%高い数字をはじき出してみせた。

 「エンタープライズの中では、パフォーマンスと消費電力の妥協をしなくてはいけない。ワークロードでどうバランスを取るかが重要だ」としたオッテリーニCEOは、「15年間トータルのIT出資は平坦で、かけられるお金は変わっていないが、プロプライエタリなRISCベースからIntelベースへの移行で、システム価格が50%下がった。この6年で性能は20倍になり、支出は平坦だが大きな進化だ」と述べた。

 一方、このような性能の向上に加えて、45nmプロセスのPenryn世代では消費電力の削減も実現しているという。エネルギーについては、「電力消費はこの6年間で倍になり、米国の580万世帯へのエネルギー供給量に匹敵する量が増えた」という状況であり、消費電力の効率化が業界全体の課題であることは、広く認識されている。そこでIntelでも、電力削減についての取り組みを進め、Penryn世代のHarpertownでは、それまでのCPUより省電力型であったWoodcrestと比べても、消費電力のさらなる削減を実現したという。

 会場では、両世代のクアッドコアXeon搭載サーバーでのデモを実施し、Harpertown搭載サーバーが44%のパフォーマンス向上を達成しながら、消費電力が15%減少したという結果を示した。ワットあたり性能の向上は、実に67%にもおよぶ。「低消費電力化によって、発熱・放熱の問題が避けられた。2004年と比べて、同じワークロードを実行するのに、床面積が83%、エネルギーコストが87%削減でき、年間5万3000ドル相当のコストが削減できる。Intelでは、6月にGoogleらとともに共同組織『「Climate Savers Computing Initiative』を発足させ、業界全体で、熱効率のよい、消費電力をあまり使わない環境を実現しようとしている」(オッテリーニCEO)。

 またオッテリーニCEOは、仮想化の重要性にも言及し、エコシステム全体で取り組みを進めているとしたほか、今後の方向性として、ITをリードするのはコンシューマになると指摘。「Web 2.0型のサービスの普及で、リッチな環境でインタラクションが起きるようになった結果、2008年にはコンシューマのトラフィックが企業のそれを超えると言われている。ネットワークの社会化に力を入れ、24×7の年中無休体制にしなくてはいけない。その中で、当社のイノベーションは、皆さんの将来にとって中心的な存在になっていくだろう」と述べ、講演を締めくくった。



URL
  米Intel
  http://www.intel.com/
  Oracle OpenWorld 2007
  http://www.oracle.com/openworld/

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( 石井 一志 )
2007/11/14 09:14

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