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「競合の5年先10年先を行っていたい」、Oracle DB 11gの先進性をアピール

Oracle OpenWorld 2007基調講演

サーバーテクノロジー担当上席副社長のアンディ・メンデルソン氏
 米Oracleの伝統的なビジネスであるデータベース製品では、今年、4年ぶりとなる新版「Oracle Database 11g」(以下、11g)がリリースされた。多くの革新的機能を盛り込み、競合に対して先へ進もうとしているこの製品は、顧客からの関心も当然高いものがある。今回のOracle OpenWorld 2007の中でも、11月12日(米国時間)に行われた基調講演の1つが、11gに対して割り振られ、サーバーテクノロジー担当シニアバイスプレジデントのアンディ・メンデルソン氏がその特徴を説明した。

 メンデルソン氏によると、IT管理者を対象にしたアンケートでもっとも多く課題に挙げられたのは、「変化に対する対応」。また、「コスト」「24×7×365の可用性」も大きな課題として上位にランクされたが、これらは互いに相反するものであり、状況の変化にあわせてシステムを変更しつつ、可用性を確保するのは非常に困難なことだ。しかしOracle Database 11gでは、この課題にきちんと対応できるという。

 例えば、XMLをはじめあらゆるデータの格納に対応するなど、格納可能なデータの種類を増加させたことや、Oracle Secure Filesによる高速処理もその1つ。また、パーティショニング機能の強化、圧縮機能の強化なども、増え続ける膨大なデータ量に対応するためには非常に大きな強化点であり、この両機能を利用したILM(情報ライフサイクル管理)を活用すると、大きなコスト削減を実現できるという。

 また管理機能の強化も、先に挙げられたIT管理者の課題解決のためには重要な要素。Oracleでは以前からデータベース管理の自動化に対する取り組みを行ってきたが、11gではさらに、メモリチューニングなど多くの分野で自動化を推進した。メンデルソン氏はこうした自動化の成果について、「11gでは、基礎的なデータベース管理プロセスを自動化し、26%の時間削減、47%のプロセス削減を実現した」と具体的な数字を挙げて効果を示す。

 一方、近年関心が高まっているセキュリティについても、11gでは暗号化関連機能の強化を実施。すでに提供されているオプション製品「Audit Vault」と「Data Vault」によって監査機能を充実させることも可能になっている。


 そして最後に、11gでもっとも大きな価値があると紹介されたものが、「Oracle Real Application Testing」だ。7月の米国発表時や9月の国内発表時にも大々的に取りあげられているこの機能では、本番環境で発生するワークロードそのものをキャプチャし、テスト環境で再現できるようにしているため、変更を本番環境へ移す前の正確な調整が可能になる。

 一般的なテストで用いられる疑似ワークロードではなく実際のワークロードを用いてリプレイでき、さらに作業工程を自動化できることから、工数の大幅な削減と、非常に精度の高いテストが可能。しかも、データベース同期オプション「Oracle Data Guard」との連携で、通常時は利用されないバックアップサイトのリソースを用いることもできる。メンデルソン氏は、「Real Application Testingは革命的な技術だ。バージョンを変更した場合や、RAC未使用環境からRAC構成へ変更した場合でも、きちんとテストして信頼性を確認できる」とこれをアピールした。

 なおメンデルソン氏はQ&Aセッションでも、Real Application Testingの先進性を強調。また、「顧客の鍵となる挑戦課題を受け止め、革新的な技術でそれに応えていく。できるだけ競合の5年先、10年先を行きたい」と述べ、常にデータベース製品ではリーダー的位置でありたいとしている。



URL
  Oracle OpenWorld 2007
  http://www.oracle.com/openworld/


( 石井 一志 )
2007/11/14 11:51

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