サン・マイクロシステムズ株式会社(以下、サン)、株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)、ベリングポイント株式会社の3社は11月14日、民間企業を中心に12団体が参加する「地底空間トラステッド・エコ・データセンター・プロジェクト」を発足したと発表した。
同プロジェクトの目的は、日本政府が推進する「ITリロケーション政策」や「環境政策」の理念を具現化するとともに、事業として成立する次世代データセンターの理想モデルを提言すること。
具体的には、1)地球温暖化を最大限抑制するための大幅な省電力化、2)世界最高レベルの高セキュリティ、3)ユーザーが使用した分だけ利用料を払うIT活用モデルの実現をめざす。
1)のためには、まずサンの「CoolThreadsテクノロジ」により一般的なCPUの約5倍の環境性能を実現するなど、サーバー機器での省電力化を図る。さらにコンテナ型データセンター「PROJECT BLACKBOX」を全面採用し、ラック当たりの集積率を最大化して省スペース化を実現。
また、冷却方式を自然の地下水を用いた水冷とするほか、気温が冷涼で安定した“地底空間”にデータセンターを建設し、年間を通じて15度前後の室温を確保することで、空調用の電力削減を図る。こうした施策により最終的には、空調のための消費電力ゼロ化をめざすとのこと。
2)のためには、高セキュリティレベルのOS「Solaris 10」を標準採用するほか、東京ではなく地方にデータセンターを移すことで、防災上の安全対策を実施する。また、地下100メートルの岩盤に建設することで、偵察衛星に発見されず、地震などの影響も受けにくい高いセキュリティレベルを実現するとのこと。
サンでは現在、PROJECT BLACKBOX×30台を採用する第一期工事をめざし、調整作業を進めている。第一期工事設備費用としては、450億円(うちIT環境に200億円)を投じる予定。さらに同プロジェクトを事業化するための新会社も設立する予定で、サービス開始時期は2010年4月としている。その後、利用者数に応じて第二期工事を開始、処理能力を順次増強する方針。
参加表明団体は3社のほか、伊藤忠テクノソリューションズ、SAPジャパン、新日鉄ソリューションズ、ソフトバンクテレコム、日本AMD、富士ゼロックス、NTTコミュニケーションズ、プラネット、中央大学。そのほか、国土交通省、経済産業省、総務省、環境省もアドバイザリメンバーとして参画する。
元科学技術政策・IT担当大臣の松田岩夫参議院議員は、「(同プロジェクトは)世界初で、日本のIT立国としての軸を築くものである」と述べている。
■ URL
サン・マイクロシステムズ株式会社
http://jp.sun.com/
株式会社インターネットイニシアティブ
http://www.iij.ad.jp/
ベリングポイント株式会社
http://www.bearingpoint.co.jp/
プレスリリース
http://jp.sun.com/company/Press/release/2007/1114.html
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