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NEC、2007年度上期連結決算-減収・最終赤字も順調な進ちょくと評価


小野隆男執行役員常務
 日本電気株式会社(NEC)は11月14日、2007年度上期連結決算を発表した。

 売上高は前年同期比3.6%減の2兆1406億円、営業利益は265.6%増の274億円、経常利益は前年同期のマイナス118億円の赤字から黒字転換し98億円、当期純損失は前年同期のマイナス99億円から、赤字脱却できずマイナス47億円の赤字となった。

 減収、最終赤字という決算とはいえ、NECの小野隆男執行役員常務は、「通期目標に向けて順調な進ちょくとなった」と総括。「課題事業であったモバイルターミナル、半導体が黒字化を達成し、営業利益では199億円の増加となった。また、NGN構築事業売上高が800億円となり、通期2000億円の達成に向けても計画通りに推移している」とした。営業利益を重要な経営指標にする同社にとって、上期の大幅な営業利益の回復を自己評価したといえる。

 売上高の減少については、昨年10月に欧州向けの個人向けPC事業の売却の影響、光ディスクドライブをソニーとの合弁会社に移管した影響などをあげた。


2007年度上期実績と通期予想
通期セグメント別予想

IT/NWソリューション事業の上期実績と通期予想
 セグメント別では、IT/NWソリューションは、売上高が前年同期比0.8%増の1兆2741億円、営業利益は204億円減少の352億円。

 IT/NWソリューションのうち、ITサービス/SI分野の売上高は前年同期比6.1%増の3648億円。営業利益は約150億円。ITプラットフォーム分野の売上高は、17.6%減の2574億円、営業損益はマイナス80億円の赤字。ネットワークシステム分野の売上高は6.0%増の5143億円、営業利益は前年から100億円減少し、約300億円。社会インフラ分野は、売上高が12.0%増の1376億円、営業利益はブレイクイーブンのレベルとした。

 ITプラットフォーム事業は、プロジェクトの端境期にあったことや光ディスク事業の移管の影響などを、上期低迷のマイナス要因にあげたが、「下期は、メインフレーム、HPC、UNIXなどによる大型案件があり、これらの出荷を確実に実行することで、売り上げ拡大と収益改善が見込める」として、下期巻き返しに自信を見せた。

 また、ネットワークシステムでは、国内のキャリアおよびノンキャリアにおける投資が一巡したことで、売り上げが減少したものの、同部門の営業利益100億円の減少は「想定した範囲内のもの」とした。また、海外におけるパソリンク事業が引き続き好調であること、NTTのNGN商用サービスが2008年3月に開始されること、加えて、ユニファイドコミュニケーション分野の強化を図ることで、通期計画の達成に意欲を見せた。

 ITサービス/SI分野は、マクロ景気のおだやかな回復によって、官公庁、金融など、ほぼすべての業種で売上高が伸張。SI領域における生産革新効果、外部費用および内部費用の削減による収益性の改善で好調な業績となった。

 社会インフラは、地上デジタル放送関連の設備投資が一巡したものの、航空宇宙防衛分野などで売り上げが増加したという。


モバイル/パーソナルソリューション事業の上期実績と通期予想
 PCを含むモバイル/パーソナルソリューション事業は、売上高が前年同期比17.5%減の4117億円、営業利益は前年の赤字から454億円改善し、81億円の黒字となった。

 PCおよびビッグローブ事業で構成されるパーソナルソリューション分野は、売上高が22.3%減の2613億円。営業利益は約30億円の黒字となった。

 PCの国内出荷台数は、前年同期比4.5%減の127万台。だが、企業向けに関しては横ばい、個人向けについては若干のマイナスとしている。また、第2四半期の実績だけを見ると、4.3%増の72万台となっている。

 「国内の店頭市場においてはナンバーワンシェアを維持している。ユビキタス社会におけるヒューマンインターフェイスとして、NECブランドの商品として重要なもの。製造コストの削減などを通じて、パソコン事業の黒字化が定着するなかで、撤退した企業のような立場とは異なる。通期は、前年並の出荷台数を目指す」とした。

 パーソナルソリューションの通期営業利益は30億円と黒字確保を目指す。

 携帯電話端末事業のモバイルターミナル分野は、売上高が前年同期比7.8%減の1504億円。営業利益は、約50億円の黒字。携帯電話の出荷台数は、前年同期比27.6%減の210万台。

 台数の減少は、国内向けに事業を集中し、海外事業を収束した影響によるものだが、国内でも出荷台数はやや減少している。「下期は、N905iなどの魅力ある新商品を展開し、出荷台数の増加と早期のシェア回復を目指す。だが、市場の不透明感、競争激化による出荷リスクもあり、慎重に見ている」などとした。


エレクトロンデバイス事業の上期実績と通期予想
 エレクトロンデバイス事業は、売上高が前年同期比1.5%減の4206億円、営業利益は前年同期の赤字から56億円改善し、14億円の黒字。そのうち、半導体分野の売上高は前年同期比2.3%増の3510億円、電子部品その他は17.1%減の696億円となった。


 なお、2007年度の通期見通しは、売上高が前年比1.0%増の4兆7000億円、営業利益は85.8%増の1300億円、経常利益は389.4%増の800億円、当期純利益は228.7%増の300億円という期初の見通しは変えない。

 「上期は上ぶれしたが、環境の不透明要素もあり据え置く。期初の営業利益目標1300億円の必達を目指す」とした。また、全社戦略費用として計上した200億円のうち、約100億円が案件として具体化し、IT/ネットワークセグメントに組み替えた」という。具体的案件としては、国家プロジェクトとして取り組む次世代コンピュータ事業への参画費用や、RFID関連事業への取り組みをあげた。



URL
  日本電気株式会社
  http://www.nec.co.jp/
  平成19年度(第170期)中間期 決算概要
  http://www.nec.co.jp/press/ja/0711/1401.html

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( 大河原 克行 )
2007/11/15 00:00

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