Enterprise Watch
最新ニュース

マイクロソフト、ITプロ向けのVisio活用キャンペーンを開始

「文書化」「見える化」ツールとしての新しい価値もアピール

インフォメーションワーカービジネス本部の高田修一シニアプロダクトマネージャ(右)と、システムテクノロジー統括本部の杉山彰エグゼクティブアドバイザー(左)
 マイクロソフト株式会社は11月20日、Visioユーザーを支援する「IT ProがトクするVisio活用キャンペーン」を開始すると発表した。ITプロフェッショナル向け図形や技術文書などを無償で提供するこのキャンペーンをなぜ実施するのか。今回はその背景や、ここ最近におけるVisioの利用シーンなどを同社の担当者に聞いた。

 今回のキャンペーン対象は、ボリュームライセンス(Enterprise Agreement、Select、Open License、Open Value)でVisio Professional 2007を購入したユーザーで、期間は11月20日から2008年1月31日まで。インフォメーションワーカービジネス本部 Office製品マーケティンググループ シニアプロダクトマネージャ、高田修一氏は、このキャンペーンの主旨を「ワールドワイドで1000万のユーザーのうち、ITプロフェッショナルが約4割を占め、かなりの浸透を見せている。こうしたユーザーに、新しい2007を使っていただきたいと思い、こうしたキャンペーンを行っている」と説明する。

 また、企業向けということでボリュームライセンスを対象としているが、これについては「ITプロフェッショナルでは部門使用が多く、Enterprise Agreementなど大規模向けライセンスだけを対象とすると、ニーズと異なってしまう。各部門で必要になる方に購入していただけるよう、対象を決めた」と言及。3本分のライセンス(SAを同時購入した場合)から購入できるOpen Licenseも対象とすることで、中小企業や部門での小規模利用を含めた幅広いユーザーにメリットを提供できるとした。

 今回のキャンペーンでは全部で5種類の特典を提供するが、そのうち、“目玉”となるのは、大手ベンダーのルータやファイアウォール、サーバーといった、実に2000種類にも及ぶシェイプ(図形)の提供だ。ネットワーク図の作図ではVisioが利用されるケースが非常に多く、こうした図形は重宝される。事実、「昨年、CDで同様の配布を限定的に行った際にとても好評だったので、顧客やパートナーからの強い要望に応えて今回実施した。かなり精巧にできており、ネットワーク図を作成するユーザーには、ぜひご活用いただきたい」(高田氏)という。

 また、1)Active DirectoryやSQL Server 2005、SharePoint Server 2007など、他システムとの統合に関する技術文書や、2)Visioがどういった製品なのか、どういったパートナーソリューションがあるのかを紹介するPowerPointのスライド、3)ネットワークのセキュリティ状態がどうなっているのかを視覚的に表示するツール「Microsoft Office Visio 2007 Connector for Microsoft Baseline Security Analyzer(MBSA) 2.0」、4)Visioでどういったことができるのかを解説した文書、も合わせて提供される。このうち、MBSAのスキャン結果を視覚化する3)については、英語版のツールに日本語のReadMe、英語版のSDKを付属したものとなっている。また1)については、MSDN経由でも同様のものが入手できるとのことだ。

 なおマイクロソフトでは、TechNet、MSBC(Microsoft Business Connection)の両Webサイトにおいて、提供するシェイプのサンプルや試用版を提供するキャンペーンも行っており、その効果を確かめることができる。


グラフィックツールを超える、“見える化ツール”としての価値も訴求

 前述したように、全ユーザーの約4割を占めるITプロフェッショナルは、古くからのVisioの伝統的なユーザーだが、システムテクノロジー統括本部 Visioグループ エグゼクティブアドバイザーの杉山彰氏によれば、現在のVisioの用途はそこだけにとどまらないという。

 そのうちの1つが、内部統制での用途だ。2008年からスタートする日本版SOX法をはじめ、内部統制は企業にとって重要な課題となっているが、その際に発生する業務プロセスの文書化作業で、Visioが利用されるケースが増えてきた。マイクロソフトでも、内部統制テンプレートを無償でWeb公開するなど、Visio活用の幅を広げる取り組みを積極的に行ってきたほか、パートナー企業からもVisioを活用したソリューションがいくつも登場してきている。

 「内部統制関係では、機能がたくさんあってプロでも使いこなせない複雑なツールが多いが、Visioは、誰でも使えて、Excel、Wordと同じ使い勝手できれいに書けるという点が評価されているようだ。文書化作業をする人はITに詳しい人間ばかりでない。そういうユーザーでも書きやすいものとして選択されている。また、内部統制関係でもすでに次のフェーズに進んだ企業が多く、利用が一段落するかもしれないと考えていたが、中堅以下の企業でも、内部統制整備の動きが始まっており、まだまだ活用され続けている」(杉山氏)。

 また、「可視化」「見える化」においても、有効なツールとしてアピールできるという。Visio Professional 2007から追加されたピボットダイヤグラム機能を利用すれば、Excelのピボットテーブルをビジュアルに表現可能。また、データを数字ではなく直感的なグラフ・図形で視覚的に表現するデータグラフィック機能も利用できる。高田氏はこれについて、「管理職は、詳細な数字をいちいち見たいわけではなく、全体の傾向や状況を大まかに確認して判断の材料にしたいもの。実績などをExcelで管理しているユーザーは多いが、Visioであれば、数ステップのウィザードでそうしたものを簡単に可視化できる。さらに、当社製品との連携をは実現しつつ、データソースを問わない点も大きな強み」と強調した。

 このような側面をアピールすれば、経理・総務職や営業職など、これまでVisioが対象としてこなかった新しいユーザーに対してもVisioの価値を訴求できる。マイクロソフトでは、ITプロフェッショナルに対して支援を行う一方で、単なるビジネスグラフィックを超えたツールとしても、Visioの展開を積極的に行う意向だ。



URL
  マイクロソフト株式会社
  http://www.microsoft.com/japan/
  プレスリリース
  http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=3276
  Visio 2007
  http://office.microsoft.com/ja-jp/visio/

関連記事
  ・ マイクロソフト、Vistaに対応したVisio向けの業務プロセス文書化支援ツール(2007/07/05)


( 石井 一志 )
2007/11/20 18:59

Enterprise Watch ホームページ
Copyright (c) 2007 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.