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富士通、2007年度上期連結決算は増収減益-売上高は過去最高、サーバー事業が好調


 富士通株式会社は、2007年度上期連結決算を発表した。

 売上高は前年同期比6.4%増の2兆5131億円、営業利益は同13.2%減の439億円、経常利益は同20.5%減の299億円。当期純損失はマイナス93億円で赤字となったが、会計方針の変更影響を除くと76億円の黒字となった。

 サービス事業が好調なテクノロジーソリューションをはじめとする全セグメントにおいて増収となったことで、売上高は2000年度中間期の実績を超え、過去最高となった。

 営業減益は、ノートパソコン向けHDDの価格下落の継続、第1四半期における基盤ロジック製品の需要回復の遅れなどが影響したという。

 国内では、金融分野を中心にSIビジネスが伸長し、アウトソーシングサービスも好調を持続するなどサービス事業が好調で、3.7%の増収となる1兆9667億円。海外売上高は、アウトソーシングサービス、UNIXサーバー、光伝送システム、HDDの増収に加え、為替の影響やサービス事業での買収影響があり、11.2%の増収となる1兆389億円となった。

 10月22日の公表値に比べて、経常利益は約20億円減少し、当期純損失が約7億円改善しているが、これは、表示区分の見直しなどを行ったことによるものとしている。

 セグメント別では、テクノロジーソリューションの売上高が前年同期比5.5%増の1兆5075億円、営業利益は前年同期から22億円増加の387億円。そのうち、システムプラットフォームの売上高は前年同期比6.3%減の3173億円、営業損失は赤字幅が拡大し、前年同期から41億円減のマイナス93億円となった。システムプラットフォームのうち、システムプロダクトの売上高は、前年同期比1.2%増の1637億円、ネットワークプロダクトの売上高は同13.2%減の1535億円。

 国内におけるIAサーバーの堅調な推移に加え、海外では米Sun Microsystemsとの統合ブランド製品「SPARC Enterprise」の販売開始により、サーバー関連の売り上げが伸張。ネットワークプロダクトにおいては、北米や英国における光伝送システムの伸長があった。しかし、国内顧客の投資一巡と投資内容の変化に伴い、携帯電話基地局や光伝送システムの伸び悩みが影響した。


小倉正道代表取締役副社長
 サービス事業の売上高は9.2%増の1兆1901億円、営業利益は64億円増加の481億円。そのうち、ソリューション/SIの売上高は17.0%増の5782億円、インフラサービスの売上高は11.6%増の5866億円。国内は保険、証券などの金融分野を中心にしたSIビジネスの伸長に加え、アウトソーシングサービスがけん引。海外でもアウトソーシングサービスが好調を持続した。営業利益に関しては、「徹底した管理にも取り組んでおり、それが、国内外での増収効果や、国内SIプロジェクト損益の収益性向上につながっている。通期でも1260億円規模の営業利益を見込める」(小倉正道代表取締役副社長)とした。

 同社では、中期計画の柱として「サービス事業の飛躍」を掲げており、同事業に営業利益の行方が注目されている。

 ユビキタスプロダクトソリューションの売上高は前年同期比8.8%増の5750億円。営業利益は前年同期から18億円増の218億円。そのうち、パソコン/携帯電話の売上高は前年同期比11.9%増の4069億円、HDDの売上高は同2.4%増の1592億円。

 パソコンの上期出荷台数は、前年同期比3.5%増の383万台、携帯電話の上期出荷台数は、同83.8%増の340万台となった。

 国内パソコン事業は、競争激化により伸び悩んだが、海外向けノートPCの販売が好調。さらに、国内携帯電話事業が大幅な伸長となった。また、HDD事業は、ノートパソコン向け製品の価格下落による悪化の影響があったが、海外向けHDD事業が、第2四半期には四半期ベースとしては過去最高となる販売台数を記録した。そのほか、部品のコストダウン推進効果などもプラスに影響した。

 デバイスソリューションは、売上高が前年同期比5.6%増の3979億円、営業利益は前年同期から98億円減の61億円。

 そのうち、LSIの売上高は前年同期比9.2%増の2579億円、電子部品その他の売上高は同0.5%減の1400億円。

 前年下半期に生産能力を増強した三重工場第1棟の増産効果により、90nmテクノロジーの先端ロジック製品が好調に推移。また、スパンション・ジャパンから購入した製造工場におけるフラッシュメモリの受託生産を開始したことにより売り上げを伸ばした。今後は、65nmに対応した三重工場第2棟が稼動したことで、先端ロジック製品の販売拡大につなげていく考えだ。

 なお、通期の業績見通しは、公表値からの変更はないとした。

 「売上高、営業利益では、7月公表値の計画を上回ったものの、営業利益では前年実績を下回っていること、第4四半期に売り上げ、利益が集中するシステムプラットフォーム事業において不確定要素が残っていること、LSIやHDDなどにおいて、需要動向の不透明さが残っていることから据え置く。ただし、セグメント別の営業利益で、テクノロジーソリューションで50億円の減額、ユビキタスプロダクトソリューションで50億円の増額とする」(小倉副社長)とした。

 同社では、通期見通しとして、売上高は5兆4000億円、営業利益は1950億円、経常利益は1600億円、当期純利益は650億円を掲げており、「期初に掲げた利益目標の達成を目指す」としている。



URL
  富士通株式会社
  http://jp.fujitsu.com/
  決算情報
  http://pr.fujitsu.com/jp/ir/finance/2007h/


( 大河原 克行 )
2007/11/22 18:42

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